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座敷おっさん




 惑星(以下略)に降り立ったタカハシはめまいを覚えた。

 それは当然の事だ。気温、湿度と言った物が一定制御されていた室内にずっと住んでいたタカハシは外出など片手で数えられる程しかした事がない。その為、外気慣れをしていなかった。その上この惑星は基本気圧が少し低い為簡単な行動で体調不良を起こしてしまう。

 地面からむき出した岩に腰を下ろしてタカハシは口座を確認した。文字化けしているし上手に読み込めていない。

「連合所属では無いんだね。この惑星」

 タカハシは生まれてこの方カネなんて使った事がない。だが自分が生きてきた証がカネだった。タカハシが座敷童だ。前弊社の社長が独立する時に引っ付いていった時からイチ社員として働き続けた。

「あの社長と一緒に会社を立ち上げてからもう1万年くらいになるかなあ……。俺が外に出たら、あの会社はどれだけ持つのか」

 前弊社の情報を知ろうとしても通信手段はないしこの惑星から出る手段もない。

「それにしても何でバレたんだろうか。俺の能力が落ちている? でも会社は上手く回っていたし……」

 溜息を吐いて首を下に向けるとスーツ姿のおっさんが居た。どう見ても童では無い。言うなら座敷おじさんだ。

「あ、もしかしてこの姿(タカハシ)が定着したから出力が落ちたのかな」

 タカハシは天を仰ぎ再び溜息を吐いた。

「もう諦めるしか無いか。好きだったんだけどなあ。あの会社」

 童の姿には戻れそうもない。それだけヒト社会に順応してしまっている。タカハシはそう思った。少し運のいいおっさんのタカハシとして生きるしか道は無いと悟った瞬間だった。

 

「うじうじしててもしょうがないな。とりあえずヒトの住む領域まで行こうか」

 よっこらせと言う掛け声と共に立ち上がり気配を探る。

 座敷童だった頃に比べると格段に落ちているがヒトを敏感に感じる能力はただのヒトより鋭い。

「あっちに多くのヒト、か」

 自分の口に合う食べ物があるといいけど、などと思いながらヒトの多く居る方へと歩き出した。




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