天使の梯子に沈みながら~愉悦する受難~
「へぇ、ちゃんと女物の下着付けてるんだね」
背後から、男の笑い声が聞こえる。
執拗な程に、カメラのシャッターを切る音が部屋に響いていた。
きっと、いや、間違いなく、撮られている。音が身体を刺激する。
着替えている自分の姿を、動画で。そして、写真で。
「せっかくだからさ、ちょっとお尻に食い込ませてみてよ」
なんでそんな事まで……。
そう、言いたい気持ちをぐっと堪え、男の言葉に従った。
これは契約だった。だから、従わないといけない。
人よりも小さく縮こまった、赤子のままのそれが、膨らみを見せている。
膨らみの先端から僅かに滲んでいるのは、汗などではなく、恥辱に満ちたこの状況に、身体が悦んでいる証拠だった。
「あはは。本当にやっちゃったね。うん……良い子だ」
ちがう、悦んでなんていない。これは、ただ……。
背中に、ぬるりとした生暖かい舌が這う。
ぞくりと震える様な快感が背筋を撫で、膨らみが、苦しそうにぴくりと悶えた。
「可愛いおしりも、ちゃんと撮ってあげたからね。
はい、着替えていいよ。待たせちゃってごめんね。
……それ、自分で着たいって言ったセーラー服だもんね」
下着姿のまま、この男に見られ続けられたいとは思っていない。
しかし、男の用意した衣装に袖を通す事もまた、今この姿を見られるのと同等の、もしくはそれ以上の恥ずかしさを感じてしまう。
――はい。これ着てもらうから。好きでしょ、こういうの。
今日は素のままの姿よりも、恥ずかしがってる姿を見たい。
そう言いながら男が差し出してきたのは、白と黒の、2種類のセーラー服だった。
――着たい方を、選ばせてあげる。
配信でも、女装みたいな事してるから慣れてるよね、と。
慣れてなんていない。この男は、分かっていて言っている。
女装と言っても、例えばアニメやゲームのキャラクタの衣装を着たりはしないし、こんな制服は着たりしない。
ただ、女性用の下着を付けて、女性用の服を着て、派手過ぎない、簡単なメイクをする。
コスプレにならないように、極力、ナチュラルに見える様に、やってきたつもりだった。
でもこれじゃあまるで。
「……どう?」
白のセーラー服に袖を通し、振り返る。
身体が、震えていた。悦びに。緊張に。恐怖に。
「似合ってるよ、とっても」
頬を撫でられる。指が唇を撫で、侵す。
気が付けば、舌を愛撫する指先に唾液を絡ませていた。
「でも……でも、こんなの……お、おじさんが着ても……似合わない……」
あぁ、やっぱり、可愛い。こんな子が学生時代にいてくれたらな。
濡れた指が、引き抜かれる。少女は、なんで、と、思った。
腕はスカート越しに、男を求める愉悦の膨らみを撫でた。
おれの、メスになってよ。
ねぇ、チョモラちゃん。
頷く代わりに、ただ身体の力を抜いて、その全てを、目の前の男に預けるのだった。