あなたの頃
若葉の頃が過ぎ、
日当の近くにいると
熱っぽくなる。
あっ、感染したかと、
思いをめぐらす。
もう感染している
かもしれない。
涼しい日陰にゆく。
まだ熱っぽいが、
また肌寒くもある。
季節の間にいると、
体も心も具合が、
乱れてしまう。
あなたに会えなくて、
不安だから尚更。
夏になる頃には
必ず会えるよと。
たとえ会えなくっても、
一番大切に思って
いるからねと。
わずかな記憶も
ないまんまだけど。
確かに聞いた言葉を
信じて、掴まっている。
記憶の声にずっと。
あなたがいてくれる、
あなたがいてくれるから。
毎日、自分を守れる。
眠るまでに丸くなれる。
あなたの夢に戻れる。
誰も知らないことは、
誰にだってある。
目に見えていることが、
事のすべてだと勘違い。
あの頃もこの頃も。
大きな鯉が泳いでいる、
屋根よりも高く、
おおらかに、綺羅びやかに。
そのまま見ていたら、
心の屋根より高く、
あなたが微笑んでいる。
ここに帰るんだよと。
ここにいるからねと。
いつかまた会いたい、
いつかまた帰りたい。
今朝、天気予報の通り。
雨降り、空が泣いている。