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食い意地のはったかいぶつ(笑)

作者: 浜濱ハマー

19XX/X月XX日、とある県内の病院で産まれたごくごく普通の一般男児。

両親もこれまたごくごく普通の一般家庭で、背景に巨大財閥御曹司やどこかの社長令嬢でもなんでもない。

本当にごくごく普通にありふれた一般家庭なのである。

そして名付けられた名前も太郎という普通の名前であった。


そんな子供もすくすくと順調に育ち、7才になった時の事である。

隣近所に住むお友達から、クラブサッカーに誘われたのである。

そのお友達は人見知りの為、なかなか一人で行く勇気がわかなく、サッカーはしたいが一人だと・・と悩んでいた。

そんな悩んでいる姿を見た両親はママ友でもあり、息子の同級生でもある太郎の母に相談したのである。


相談を受けた太郎母は早速夫と話し合った。

息子太郎は特に変わった所もなく、順調に育ち、本当にごくごく普通の・・・運動神経が異様に高いが普通の男の子である・・が、一つだけ欠点をあげれば、ヤル気である。

自分から積極的に動く事がなく、消極的に見えるが、自分の意見が無い訳ではない。言う時にはちゃんとはっきりと示すのである。

ただ、普段は本当にボーッとしているように見えるのはご愛嬌。


なので小学校にあがる事もあり、そろそろ何か習い事か何かを勧めてみようと思っていた矢先の事であった。

これは渡りに船である!と両親は喜んだが・・・・

ただ懸念は、息子太郎が興味を持つかである。

そこは太郎の親である。

しっかりと息子の思考をよく分かっていた。


「ねぇ太郎、サッカーやってみない?」


「めんどう」


僅か4文字の拒否に両親は苦笑いであったが、直ぐさま次の手を打った。


「あら〜それは残念ね。あそこのサッカークラブの側には、美味しい美味しいケーキ屋さんがあるから、行ったらついでに買ってあげたのに・・」


「いく!」


ころりと落ちた。

この太郎、美味しい物に目がないのである。

そこからはトントン拍子で進んでいった。

直ぐさま次の週末には向かったのであった。


小学1年生という事と初心者でもあるという事で、早速試合とは難しいので、先ずはボールに慣れる事とサッカーを純粋に楽しんでもらう為にミニゲームをひらいたのである。

まあ子供という事もあり、ボールに集中してあっちに行ったりこっちに行ったりとしたゲームになっていた。

そんななか太郎は、ゴール付近でボーッと突っ立っていた。


それを見ていた両親やママ友も苦笑いをしていた。

流石にボールに一度も触れないのは・・とミニゲームに参加しているコーチは思ったので、パスを出してみたのである。

ついついいつもの癖でフライパスを出してしまった。

不味い!?と思った束の間、なんとそのフライパスを絶妙なトラップでいなし、右脚を振り抜いた。

その振り抜かれたボールは綺麗に弧を描き、ゴール右上に決まったのである。


守っていたキーパーも、パスを出した大人も、見ていた両親含め親御さん達も、顎が外れるほど驚いた!


「ええぇぇぇ〜〜〜!?」


まさに絶叫である。

初心者がいきなりのこのプレーである!

周りはざわざわと騒然としている中、もしかして偶々なのか?っと思った大人はもう一度パスを出してみたのである。

今度は相手チームに付いている大人がマークしている状態でである。

流石に今度は大人がマークしているという事がプレッシャーになり、上手くいかないと思っていたが・・


グラウンダーで出されたパスをマーカーを背に受けながら反転してちょこんと左脚のアウトサイドで触り、股抜きをしたのである。

そんな簡単に抜きさった太郎は、今度は逆にゴール左上にボールを振り抜いたのである。


「ええぇぇぇ〜〜〜!?」


またまた絶叫である。

見ていた大人達やコーチも同じ事を思った。

この子はもしかして"天才"なんじゃ!?っと。

まあその後のプレーは終始ほとんど動く事なく、ボールを受けた時にだけ俊敏に動くのである。

流石にその事に対し注意をしてみたが、本人はどこ吹く風といった感じであったが・・・・




家に帰って夕御飯を食べている時に太郎母が訪ねた。


「ねぇ太郎、どこでサッカーを覚えたの?」


太郎母が疑問に思った事を本人に聞いてみた。


「テレビでこのまえやってたのみた」


太郎母は何も言えなかった。

えっ!?テレビで見ただけでやれるの?!っと呆然としている所を"クイックイッ"と引っ張られた。


「けーき」


「あぁ・・そ、そうね!ケーキ食べましょうね」


そう言って目を輝かせながら、ケーキを食べる様を見てると、この子は本当は凄いのかどうなのか分からなくなってしまった。




その後、ケーキの為に通い続けた太郎は1年生ながらチームのエースとしてゴールを量産し続け、全国大会にまで登りつめていったのである。

その全国大会でも、太郎がゴールを量産しまくり、見事チームを優勝に導いたのであった。

その太郎本人は、大会記録を大幅に更新するゴールを挙げるなど目覚ましい活躍した事もあり、大会MVPに輝いた。

まあ太郎本人は優勝したら美味しいお肉!っという甘い言葉に釣られて頑張っただけなのだが・・・・




そんな太郎は目覚ましい活躍を挙げ続け、6年連続全国大会優勝&MVP受賞など、怪物ぶりを発揮したのである。

そんな太郎にある日、一つの電話が掛かってきたのである。

その電話は太郎をU-15代表に誘う電話であった。

当然、相手方も受けるものと思われたが、太郎本人は・・


「え?代表?父は普通の会社員ですので・・」


”ガチャ"っと受話器を置いたのであった。


哀れ日本サッカー協会。

その後も勘違いから電話を切り続けたら、代表に一切喚ばれる事もなく過ごしたが、その目覚ましい活躍が海外スカウトの目に止まり、見事セリエAでプレーする事になったであった。


「GO〜〜〜〜〜AL!!東洋の最果てからやってきたフェノーメノ、またまたGOAL!これで前半だけでドッピエッタの活躍だ〜!」


パスタやピザ、ティラミスなどに誘われてイタリアにやってきた太郎の姿がそこにあったのであった。



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