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混血の竜騎士  作者: サガロワ
~序章~ 血は全ての始まり
3/10

潜在魔力

せんざいまりょく?体の中?

ひょっとしたら、僕達の体の中には新種の洗剤があるのか?体は洗剤でできていたのか……。


なんて。

そんな冗談はともかく。

初めて聞いたな、そんな単語。


「隊長。その[せんざいまりょく]ってなんですか?」

僕は質問してみた。


「ああ。潜在魔力というのは、体内に流れている魔力のことだ。その力は個人によって種類が違う。いや、属性と言った方が正しいのかな」


「……余計に分からなくなりました」


「すまない。私はこの類いの説明は苦手でな…詳しくは次に行く所で分かる。付いてこい」


言われたままに僕達は部隊長に付いて行った。

しばらくして付いた場所はさっきの武器庫とは雰囲気がまるで違う、怪しい、研究室のような所だった。

部屋の扉を開けて、中に入った。

中にはローブを着た沢山の人達が薬品を弄ったり、書類をまとめていた。


「新兵のみなさん。ようこそ、シュメール王国研究所へ。わたくし、研究長のアイン・フリートと申します」


迎えてくれたその人は銀色とも言えるような白髪をしたエルフだった。

第一印象は優しくて、温厚な人だと思った。


「ルシウス殿。そろそろ来る頃だと思っておりました」


「うむ。私の部下の潜在魔力を調べて貰いたくて来た」


「はい。準備はできております。どうぞこちらへ……」

そう言って、アインさんは僕達を研究所の奥へ案内した。


案内された場所には六つの黒い石と、リンゴと、石、それに果物ナイフが置かれていた。

その石にはそれぞれ違った模様のようなものが刻まれていた。


「これは魔法石といいます」

アインさんが説明し始めた。


「魔法石は魔力を注ぐことでそれに対応する魔法が使えるようになります。例えば、炎の模様が刻まれた魔法石に魔力を注ぐと、炎を放つことができます。しかし、人の体内にはそれぞれ別の属性魔力が流れています。これと同じ属性の魔法石を使わないと魔法が使えないということなんです。ですので、今ここで貴方達の潜在魔力をこの石で調べます。何か質問はございますか?」


「んー……と……」

ニトは説明が難しかったのか難しい表情を浮かべながら耳から湯気を出している。


「はい」

ニールが手を挙げた。


「その魔法石を使った魔法は、魔法使いの操る魔法と威力は変わりないんですか?」

確かに気になるところである。

その魔法石かあれば、手軽に強力な魔法が使えてしまうのだろうか。


「いいえ。魔法使いの駆使する魔法よりも非力です。ですが、彼らの魔法と同じく魔力を注ぐ量を調整すれば威力は増しますし、同じ属性と重ねて使えたり違う属性と合わせて繰り出したりも可能です。まあ、それでも彼らには負けますけどね。ですので、牽制等のサブウェポンとして考えた方がよろしいです」


「なるほど。分かりました」


「はーい。じゃあ次わたしー」

ニールが質問し終えると今度はアヤメが質問をした。


「私は生まれてから一度も魔法使いを見たことがないんですけどー、魔法使いって本当にいるんですかー?」

彼女はおっとりした表情とは裏腹に、以外としっかりした考えを持っていた。


「その質問には私から答えよう」

シリウス部隊長がアヤメの質問に答えた。

この人、説明ベタなのに大丈夫なのだろうか?


「現在、シュメール王国及びその他の同盟国に魔法使いは存在していない。しかしそれは魔法使いがこの世にいないと言うことではない。同盟を結んでいない国、[魔法大国ホーマダス]には魔法使いが存在している」


「なるほどー。じゃあ何故その国は同盟を結んでいないんですかー?」


「彼らの国の王曰く[強大な魔法の力を悪用されるのを防ぐため]らしい。それを伝えに来た使者が去って数日後、その国自体が跡形もなく消えてなくなり、以来数百年間連絡は取れていないようだ。」


数百年って…。

それってもう、滅んでいるんじゃないか?

それに、国1つが一瞬で消えるなんてことが起こりえるのか?


「ホーマダスがあった地域を捜索隊が毎年探しているが、一向に見つからない。だが、その地域で霧の立ち込めた夜に巨大な城がそびえ立っているのが見えたという報告が多数あるのでな。無いとは断言できないのだ」


ルシウス部隊長はさっきの説明の時とは違い詳しく説明してくれた。


部隊長というだけあって、政治に関しては詳しいのかな。

後で色々聞いてみるか。


「それでは、そろそろ初めましょうか。」

部隊長の説明が終わったのを見計らって、アインさんは僕達の魔力の属性を調べ始めた。


「この石を手に取ってもらうだけで構いません。そうすることで模様が光ります。光った石の模様がその人の魔力の属性となるわけです。」


こうして、順番に僕達の魔力属性が判明していった。


・カイル 風属性

・ニト 炎属性

・ライナ 氷属性

・ニール 土属性

・アヤメ 木属性

・クライン 雷属性


ライナは自分が氷属性をだったことを知ると、何故か落ち込んでいた。

アルキールの番になり、彼女は石をそれぞれ手に取ってみたが、どの石の模様も光ることはなかった。


「嘘……私の属性、ないの…!?」


突き付けられた現実にアルキールは焦っている。まるで、落とし物をした子供のように挙動不審になっていた。


「フフフ。心配要りませんよ」


そう言って、アインさんはアルキールにリンゴと、石と、果物ナイフを差し出して、

「まずは、果物ナイフでリンゴを切ってみてください。」

と、何故かリンゴを切るように言ってきた。


言われた通りにリンゴを切るが、特に変わりなく普通にリンゴが切れた。

……ん?

なんか切断面が凄く綺麗に見える?

いや、この薄暗い部屋だから良く見えないんだけど。


「では次に、この石を切ってみてください。」

アインさんは、変わらず微笑んでいる。


何を言っているんだ?この人。

果物ナイフで石が切れる訳がないだろう。

剣でも切ることができないのに。出来るとすれば、それは人間の限界を越えているのではないか?


「……え?切るんですか……?」

アルキールはアインさんの言ったことが理解出来なくて目を黒丸にして首を傾げていた。


「はい。やってみれば私の言ってることが理解出来ますよ」

その顔はこれから起こることを分かっているかのような、そんな表情だった。


「はい……では」

えいっ、と

少し勢いを付けて振り下ろされた、その果物ナイフは。

じゃり、と砂を切ったような音を出して、文字通り2つに切れた。


それを見た僕達は驚いて声が出せなかった。

ルシウス部隊長とアインさんを除いて。


「ぁ…あらぁ…」

石を切った本人は口をぽかーんと開けて驚いている。


彼女は我に変えると

「あ…ありのまま今起こったことを話すわ!私は果物ナイフで石が切れる訳ないと思ながらも切ったら、石が綺麗に2つに切れていた。な…何を言っているのか 分からねーと思うが 私もどうしてこうなったのか 分からなかった…」

やけに顔の輪郭やくぼみをはっきりとさせながら言った。


彼女、大丈夫だろうか?兄は変だと分かったけど、やっぱり妹もそうなのだろうか?



「アインさん。これは一体、どういうことですか?」

アルキールは堪らず質問した。そりゃそうだ、固い石が綺麗に切れてしまったのだから。


「はい。これは純正魔力と言って、自身や触れている物体の力を上げることができる魔力なんです。この果物ナイフは魔力の伝達が優れた金属を使っているので、魔力の制御ができてなくても切ることができたんですよ」

「じゃあ、私は属性無しじゃないってことですか?」

「はい。厳密には属性は持っておりませんが。まあ、所謂物理型ですね」

「よかったー!」

なるほど。

属性がなくてもそんなものがあるのか。

だから彼女は体術に長けていて、兄に対しあんなことができたのか。

いや、力はともかくあの身のこなしは生まれつきの才能なのだろう。


「では、君で最後ですね」


僕の番が来た。

果たして、どんな属性なのか楽しみなところである。個人的には氷がいいなぁ、なんかカッコいいし。

なんて。

そんな悠長なことを考えていた僕に対し、その後の僕は馬鹿なことを、と言いたくなるだろう。


結論から言うと、僕はアルキールよりも目立ってしまったかもしれない。

目立ったどころじゃない。大変だ。

何故なら、僕はどの模様も光らず、そして()()()()()()()()()()()()()()()のだから。

7月29日早期投稿。

夏休みに入って湿度が高くなり、ダルい日が続きます。皆さんは土用丑の日に鰻を食べましたでしょうか?私は鰻でご飯三膳食べてしまいました。鰻って、タレが美味しいのではないかと最近思うようになりました。もしかしたらタレだけでご飯を食べれるかもしれませんね。

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