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混血の竜騎士  作者: サガロワ
~序章~ 血は全ての始まり
1/10

始まりの地 シュメール

01

 夜の城下町。そこに一人の女性が歩いていた。

 彼女の服は爪で引き裂かれたように破れ、体の傷口からは血が流れている。その血は彼女の歩いて来た場所を表すように断続的に続いていた。

 その女性は一件の家の前に着くと両手で抱えた赤子を家の前に置いて、赤子に弱々しく、優しい口調で言った。

「この指輪は貴方の父からもらった大切なもの。きっと、貴方を守ってくれるわ。」

 女性は、薬指に付けていた指輪を外して赤ん坊の手に握らせた。

「もう会えないけど、貴方なら大丈夫。だって私達の自慢の子だもの・・・。」

 そう言って彼女は暗闇の中に消えて行った。



02

 シュメール

 そこはヒュズ大陸の中心にある人間の住んでいる王国である。

 この大陸では太古より竜と魔物が人々と争っている。

 シュメール王国はその竜共と戦う騎士を育て、各地へ送っている国である。人間だけではなく、ドワーフや獣人、エルフという異なる種族の兵士も育てているためその規模は大きい。

 今日は新たな騎士を迎え入れる式典が行われるため、街は人々で賑わっていた。


「行ってきまーす」

 そう言って家を出発した青年。

 彼の名前はルイス・マクベス

 ごく一般的な男の子。肩にはペットのロドリゲスというトカゲがいつもいる。


「ルイス、おはよう!」

 隣の家の二階から飛び下りてきた青年の

 名前はカイル・グラント

 ルイスの落ち着いた性格とは逆に元気な性格で、よくやんちゃなことをする。それで母にはよく叱られているようだ。

二人は式典の行われる城内の広場に向けて歩いていた。


「なあルイス、ついに俺達も騎士になれるんだな!」

「ああ、お互いに一人前になれるように頑張ろう!」

そんなことを言いながら僕達は駆け足で城内へ向かった。



03

 広場には沢山の新人騎士が集まっていた。

 しばらくすると、城の中から王様が数人の騎士と共に姿を表した。

 王様の名前はアレキサンド・フェイ・シュメール。

 この国の23代目の王様だ。顔立ちは痩せていて、優しい顔した、変わった王様である。何故変わった王様と言われるのか、それは普段の王様をみれば分かるだろう。

 まず、この王様は威張らない。これだけでもすごいのに街に下りてきた時なんかは街の人達と仲良く話している。

 自分から。

 フレンドリーに。

 以前、この国に旅に来ていた人にこの城下街にきて一番驚いたのは何か、と聞いたことがある。そしたらその人は

「朝早くに出掛けようと宿を出たとき、王様が犬を連れて城下街に散歩していたこと」

と言ったのである。

…普通、王様って上の立場だから王様らしい雰囲気はあったほうがいいと思うんだけど。

 王の威厳はどこに行ったのか。

 しかし、他国との政治をしているときは王様らしい態度で振る舞っている。

 メリハリがあるからこそ、この王様は民から慕われているのである。


 王様のスピーチが始まった。

「みんな!たくさん努力して、強くなってくれ!」

 そして、王様は城の中に戻ってしまった。


 スピーチのあと、僕達はいくつかの部隊に分けられ、それぞれの部隊に用意される寮に案内された。僕とカイルは同じ部隊だった。


 寮の中にある広間に部隊の人達が集まっていた。人数は僕を入れて8人。カイルのほかに同じ国の人が二人、他の種族の人達が4人いた。

 ぱっと見た感じでは、金髪で耳の長い人や、猫耳の人、力の強そうな人がいた。


「あんなに簡潔に終わるスピーチって珍しいよね。」

 カイルは苦笑いをしていた。

 予想はしていたけど…

 もうちょっと威厳だしてもらえませんか?

「まあ、あの王様って感じがしたよ…」


「なあ、あんた達の王様って面白いな!」

 声をかけられた方向に振り向くと、そこには、力強そうな肉体を持った男がいた。


「俺はドワーフのニトグニラって言うんだ。ニトって呼んでくれ!」


「よろしく、僕はルイス・マクベス。ルイスでいいよ。こっちは―」


「すっげー!ドワーフってことは山の下の国から来たのか!?」

 カイルの目が輝いていた。

「ああ。俺は山の下の国ヴォルケニルからきたんだ!あんた、見たことろすげー元気な奴みてぇだな!」


「俺、カイル・グラント!皆からはカイルって呼ばれてる!」

「よろしくな!カイル!」


 めちゃくちゃ意気投合してる。

 まあ、もともと好奇心旺盛で他の種族とも会いたいって言っていたから、テンション上がるのは仕方ないか。


 新しくできた友達と話していると、広間に一人の騎士が入って来た。

 その騎士は僕達の前に来ると、被っていた甲冑を外した。

 30歳くらいの男性で、身長は僕より少し高い。(僕の身長は170センチ)

 重い鎧を着ているにもかかわらず姿勢はとても綺麗だった。顔は年齢より少し老けてみえる。幾つもの戦いをくぐり抜けてきたのだろう。

 近くにいるだけで緊張感がある。


「私は、今日より君達の部隊長となったルシウス・フォードランだ。今後、諸君らの命を守るために私は全力を持って君達を鍛える。心してかかるように。明日からの訓練に備えるため、今日はゆっくり休んでくれ。」

そう言って、部隊長は広間から出て行った。


 部隊長が出て行ったあと金髪の少女が「まずは皆で自己紹介しましょー!」と言ったので、自己紹介することになった。


「まずは私から。私の名前はアルキール。ハリストから来たエルフです、どうぞ宜しくお願いします。」

「じゃあ次は俺なー、俺はクラインって言うんだよー。説明は面倒臭いから省くわ。そう言うわけで宜しk…」

「ちゃんと挨拶しなさーい!」


 言い終わろうとした瞬間、クラインが壁まで吹っ飛んだ。

 真横からパンチが炸裂したのである。

 パンチしたのは隣にいたアルキールだった。

 一瞬ではあったが、彼の顔が歪んだのが見えてしまった。

 アルキールは一呼吸したのち


「ふぅ……。すいません。うちの兄なんですけども見ての通り腑抜けていて…こんな兄ですが宜しくお願いします」

と頭を下げた。


 僕とカイルは唖然としていた。隣の猫耳の獣人はガクガクふるえながら白目になっていた。

 吹っ飛んでいったクラインはというと、気絶していた。


「ぼ、僕はニール・フェルシム…。一応皆からはニールと呼ばれていました…」

 ニールは少し暗い口調で言った。暗くはあったが声が小さいわけではなかった。


「私はアヤメ・アリストルと言います。植物が好きです。以後お見知りおきをー♪」

 アヤメはのんびりした感じで言った。


「俺はヴォルケニルから来たニトグニラってんだ!よろしくな!それとアルキール、さっきのパンチ凄かった!熱い闘魂が感じられたぜ!」


 言われた瞬間アルキールは彭を赤らめ下をむいた。

 まあ、そりゃ恥ずかしくもなるだろう。初対面の人に兄を殴った光景を見せてしまったのだから。


 次はカイルの番

「カイル・グラントっていいます!カイルって呼んでね!」


 そして僕

「ルイス・マクベスです。ルイスって呼んでください。」


 最後に猫耳の少女。

 さっきから震えがとまっておらず、おどおどしている。

 やっと口を開けて話したと思ったら

「りゃ、りゃいにゃすうぃーとって言いまふ!」

………噛んだ。

「う…うにゃぁぁぁ!」

 彼女は泣きながら地面を転げ回った。


その後、彼女が泣きながらも書いた紙にはこう書いてあった。

"ライナスイート。 ライナって呼んでください "


 自己紹介も終わり僕達はそれぞれの部屋に戻った。僕はペットのロドリゲスと話しをしていた。

 ロドリゲスは僕が生まれた時からずっといたらしい。(母が言うには生まれた時には側にいたのだとか)

 いつからだったかは覚えていないが、とにかく物心ついたときにはロドリゲスと話していた。こいつは僕には親戚のおじさんみたいに気軽に接してくる。。聞いていると落ち着く声だ。

[お前の仲間は変わった奴が多いな]

「そうだね。でも、個性的で面白いと思うよ。」

[違いない。…しかし、今期の騎士達から他の種族との関係を強化することになるとはな]

「他の種族とも更なる連携を図るために、多種族が混じるように編成たらしいよ。」

[まあ、なんにせよ私はお前の側にいるだけだ。]

「相変わらずな口癖だな」

そんな雑談を交わしながら、僕らは眠りに着いた。

初投稿となります。サガロワです。

好きな小説家は西尾維新です。ふとした時に小説を書いてみたいなと思い、この小説を書いてみました。なおこの小説には異世界転生、転移、ハーレム、序盤から最強、追放、は出てきません。作者自身そういった作風を毛嫌いする部分があるので、そういった要素を入れないように作りました。長い説明や、主人公の考え等を多く取り入れたいので、展開が遅く感じる人も出てくると思いますがご了承下さい。

投稿ペースは2週間に1回のペースで投稿したいと思います。

では、最後にあの方の作品を少し真似させてもらいまして挨拶を締めさせていただきます。


この物語は100%ファンタジーで書きました。

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