疑問
部屋に住む者のルールはこうだ、食事と排泄以外の時はベットに寝ること。
男も女も同じ部屋で寝かされているが性交渉は禁止。
食事はスパイスなどの刺激物はあまり摂取してはいけない。
出来るだけ気持ちを穏やかに生活する。
巨大な部屋の住人は同じような食事と薬を処方されている為、男も女も頭は禿げており丸々と太っていた。
刺激のない毎日で退屈に耐えられなくなった者は、カウンセリングを受けて心を落ち着かせる。そして薬を処方される。
「俺は薄々分かってるんだ。俺達は何かの実験台なんだってな。」
食事中に52番の男がそんな事を漏らした。
「じゃないと生まれた時からこんな生活させられないだろう。目的も教えてもらえず、毎日毎日横になって、上になんの得があるんだ?」
「排泄物を肥料にしてるとか?」
42番の女が口を挟んだ。誰も52番の男の言うことを本気にしていないので、42番の女の話で笑いが起こった。
「おい、食事中に汚ぇよ。」
「だって、そうとしか考えられないんだもの。私たちが生産してるものって何よ。排泄物くらいしか無いじゃない。それに、ずっとそういう仮説はあったわよ?でも特に台に乗せられて解剖される事もないし、大虐殺が起こった訳じゃない。平穏に過ごしてるじゃない。私たちは恵まれてるのよ。なのに暇だとか退屈だとか、贅沢すぎるのよ、食事も掃除も全部マザーの元で管理されてるし、私たち何もしなくていいじゃない。幸せなのよ。」
女は力説した。確かに今まで退屈との戦いだったが、その他の娯楽や刺激はある程度支援されている。疑問に思う方がおかしいのかも知れない。
「ほら、食事の続きをして。冷めたら美味しくないんだから。」
女は話を切り上げたがっている。
52番の男もマザーの存在を気にして一言吐き捨てるように言うと口を噤んだ。
「作られた幸せなんか、いつ壊れるか分からないんだぜ。」




