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短編(超短編)

作者: 芝田 弦也

突然降り出してきた雨から逃れるように、視界に入った喫茶店の中に取り敢えず入り込んだ。

窓際の席に座り、その窓から外を眺めれば、夕立が降り注ぐ景色が映り込む。

その中で、傘を差さずに走り去っていく人や悠然と歩きながら通り過ぎていく人が見受けられる。

楽しんでいる様にも急いでる様にも見えない。

この程度とタカをくくっているのか、それともただの無関心なのか。

物事に微動だにせず、ただ目的地へと向かっている様に見受けられる。

まるでロボットのように感情を持たない無心さで、表情からは何も汲み取れない。

動いているのか。動かされているのか。


正直、どっちだろうと私には関係のない事だけど、自分もその中に含まれるのだろう。

生活のためだけに、本意にしてない事で外を歩かされ、嬉しくも無いのに笑顔を振りまいている。

そして、楽しくも無い仕事をこなしながら日々精神をすり減らしていく。

その先に待ってるモノは何?



有り触れた世界を描いてみたって何も感じない。

なら考えない方がマシだ。

視線を手元に落として、運ばれてきた飲み物の深く沈んだ黒色を眺めていれば、

自分のどす黒い感情がまるで目の前に現れたように感じ、カップに口をつける事無く、ソーサーに戻す。



漏れる吐息。溢れでた悲壮。

結局、コーヒーを口にする事無く会計を済まして退店した。


ーー雨は嫌いじゃない。 

空気中に浮遊している汚らわしい埃や塵を洗い流してくれるから好きだ。

明日になれば、澄み渡る青空が出迎えてくれるだろう。



今日とは違う、何処までも何処までも透過しそうな光とともに。

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