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ちよすず物語  作者: ひな菊
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学園祭編5

 場所は、変わって体育館。広い広い真っ暗の中、千代は学校が用意してくれていた。椅子に腰掛けて目の前のステージを見ていた。スポットライトが、ステージを照らす。


「さぁて、どうなるかしら」


 千代は、七倉に案内された席に腰を掛けてん―っと、背伸びをする。しかし、千代は先程の自分が七倉に何て言おうとしたのか考えていた。


「私が、本当に好きなのは・・・遥さんだから・・・」


 なのに、思い浮かべるのは七倉の存在ばかりだ。


「陽平さんには、幸せになって欲しいから」


 ――私、なんかとまた付き合ったりなんかしたら陽平さんが不幸になってしまうから・・・・・・。


 そんな事を考えていると、コンテストが始まる。


 暗い体育館のステージにスポットライトが、当てられ眩しいほどの光が彼女を襲う。


「レディース&ジェントルマン!!大変な長らくお待たせしました!!これから、始まるのは大学の男性教授と、女子大学生のコンテストの始まりです!!」


 二人のここの生徒である男性と、女性がパーティー用の仮面を被ってノリノリで両手を挙げる。そのノリに、ついてくる生徒達がこれまた凄い声を出す。口笛を吹く人も人も言えば、『ますずん~!!!!』と、いう掛け声を飛ばすオタッキーな生徒も居た。千代は、一人そのノリについていけずに白目を向く。


「ではっ!!まず、現役女子大学生の登場だぁぁあぁああっ!!」


――いや、お前ら全員現役大学生ですが!?


 と、千代は心の中でツッコミを入れた。


「一人目は、雲川くもかわ 雨香あめかさんです!!」


 雨香は、ミニスカ猫耳メイド姿で現れた。ノリノリでこちらに手を振る雨香に千代は、一言。


「寒そう・・・・」


 彼女は寒そうに、自分の肩を擦る。。


「若いって良いわね」


 思わず、おばさん臭い言葉に自分で歳を感じてしまう。


「続いてはっ!!二人目は!!他校からの出場になります!沖宮おきみや 小春こはるさんです!」


 流石に恥ずかしそうに、顔を赤らめながらステージに立つはる・・・小春に会場の男たちの声援。


――男の声援なんか嬉しくもなんともないわ!!!


 と、千代にも分かりやすい程の遥の引きつった表情にもう、お腹を抱えて笑いたい千代だった。


「さぁー!!最後になります!!兎菓子とがし 迷涼ますずさんです!!」


 ロリータ姿の迷涼に、女の千代でさえ息を飲みほどの美しさだった。遥も、雨香もそこら辺の女子なんかより何十倍も綺麗だ。しかし、可愛い本当に可愛い。可愛いしか言葉が出てこないのだ。しかし、千代の中では大きくなってという親の様な感情もあった。部屋の中で、耳を塞いで泣いていた彼女とは、思えない。


「大きくなって・・・」


「今の発言、おばさんっぽいですよ」


 ハッ!と、思わず我に返り隣を向く。そこには、コンテストに出るはずの龍夜の姿があった。彼女の隣の席に腰を下ろして、ステージの上にいる迷涼を嬉しそうに見つめていた。


「迷涼さんって・・・・・本当に素敵な女性ですよね」


「龍ちゃんってさ・・・。もしかして、すずのコト好きだったりする?」


「俺、人をあまり好きになるってとがないんで分かりませんが、いい子だとは・・・放っておけない。としか、今は思えません」


「へぇ~」


「あれ?怒らないんですか?珍しい」


「人の好き嫌いは、他人の自由でしょ?それに、自分の気持ちに嘘つくほど辛いモノなんてないわよ」


 千代の意外な答えに、目を丸くする龍夜。


「なに」


「いやぁ~千代さん、自分に嘘付いてるじゃないですか」


「え?」


「だって、貴女本当は・・・奥山さんのこと好きじゃないでしょ」


「なんっ!?」


 思わず、自分の口に手咄嗟に抑えた。


――私、今なんて言おうとした!?


「見てて、分かりますよ。多分、奥山さん自身も・・・。」


 笹木部龍夜。という男は、いつもポケーッとしているくせにこういうことに対しては本当に鋭いというかなんというか。侮れない、男だと千代は思っていた。


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