表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ちよすず物語  作者: ひな菊
5/60

好き嫌いはいけません!


あの後、すぐに迷涼を車で迎えに行き、三人は、家路についた。


「あー。今日も働いた働いた」


千代と、迷涼の家なのに我が物顔で入っていく遥。


家と言っても、小さなマンションの一部屋なのだが、そこを千代と迷涼が家賃を、出し合っているのだ。


テレビから、少しだけ離れたところに白いソファーがある。遥は、そこがお気に入りで良く寝落ちしてしまう時がある。


「今日のご飯の当番は、すずだよー」


「うん。遥ちゃんと一緒にこれ飲みながら待ってて」


スーパーの袋から出てきたのは、ビールと酎ハイ。苦いお酒が、嫌いな千代の為に迷涼は、良く買ってきてくれる。


「ありがとう」


くしゃくしゃ。と、頭を、撫でてやる。


リビングの方へ、向かうが遥はもうスヤスヤと、寝息をたてていてその寝顔が子供っぽくて、可愛かった。


「遥ちゃん、寝ちゃった?」


台所から、ひょこっと顔を出す迷涼。


「うん、疲れてるんだと思う」


久しぶりに病気の発作が、起こってしまい体が耐えられなくなったみたいだ。すぐに、薬を飲ませたが、疲れているみたいだ。


「すず、毛布持って来てくれる?」


「うゆ」


彼女の口癖を聞いて、迷涼は、毛布を千代の部屋から持ってきてくれた。勿論、パンダの毛布。


「ありがとう」


「遥ちゃん、かわいいね。寝顔」


「うん、ご飯出来るまで寝かせてあげよう」


迷涼は、夜ご飯の用意を。


千代は、明日の遥のスケジュールを目の前の木でできたテーブルの上に乗っているパソコンに打ち込む。


10分後。


ーートントン


ーーカチカチ


「ん…?」


台所で、料理をしている迷涼の包丁の音。


目の前で、明日の予定の確認してくている千代のパソコンの音。


遥には、とても心地よかった。


ココが、自分の居場所だと胸を張って言える。


思わず、目の前にいた千代を背後から抱き着く。


「うぎゃあっ!!!」


「ちぃちゃん、つーかまえた!!」


思わず、カエルが車に引かれたような声が出た。


「店長…」


殺意バリバリで、見つめるが子猫のような顔をする遥に、思わず許してしまう千代。。。


憎めない…。


はぁ……。と、ため息をついて、そのままパソコンに入力を続ける。


「千代ちゃん…」


「重たくないの?」


背後から抱き着く遥を見ていた迷涼が、素朴な疑問を、投げかける。


「なんか、慣れた」


「慣れるんだ…」


その後に、ご飯ができたよーと付け足す。


今夜のメニューは、ホワイトシチュー。


「美味しそう!」


「美味しそうやなぁ!」


が、二人はシチューの、中のあるものを見て硬直するのだ…。。。


それは。


人参!!


千代と遥は、思わず顔を見合わせてた。


「すずー!私、人参…」


「作ってもらって文句は、言わないの!!」


さぁー!席について食べましょうと、いつものご飯を食べる四角いテーブルで、食事を開始する。


「あ、ちぃちゃん僕の人参あげるわ」


「ありがとうございます!じゃあ、私も人参お礼にあげますね」


「いや、それただの交換じゃない。意味ないよ」


迷涼のツッコミに、思わず三人は笑い出す。


こんな日常に、ヒビが入っていることも知らずに……。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ