約束
「店長、ソロソロ迷涼の大学終わるんでお店閉めてもよろしいですか?」
時刻は、18時。
しかし、遥からの返事がない。店の奥にいるのか、とりあえず彼を探した。
すると。
「店長?帰っても…店長?!!」
店の裏に、名簿を片手に倒れている浴衣姿の遥の姿が千代の目に飛び込んできた。。。
「店長!!しっかりしてください!」
意識がないようだ。
「救急車!」
震える手で、119番を押そうとした時。手を掴まれた。
「てん…遥さん!!私、誰だかわかりますか?」
「千代ちゃん……」
吐血のあとが、口に付いていた。
「堪忍な。ちょいと、ふらぁしてしまっただなんよ。せやから、病院は勘弁や」
「そんなこと言ってる場合?!!?」
「大丈夫や……千代ちゃん?」
返事がない彼女の方を向くと。千代は、大粒の涙を流していた。。。
これには、遥も驚く。
「千代?」
「私より先には、死なない。そう、約束したでしょ?遥さん、いなくなったらやだぁ」
うわぁぁあん!!と、泣き叫ぶ彼女が愛おしくて愛おしくて、抱き寄せる。
「堪忍な……大丈夫やで僕は、絶対千代を置いて行かない」
「ホント?」
「当たり前や!遥さんは、嘘はつけませーん」
せやから、もう泣かんで。と、抱き締める。
「遥さんのバカ」
「バカは、酷いわ」
「だいすき」
「うん、知っとる」
そのまま、少しの間だけ彼女たちは動かなかった……。