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ちよすず物語  作者: ひな菊
32/60

スキー&温泉旅行6


部屋は、12畳程の大きな部屋だ。


とても、綺麗で奥の部屋には、布団が川の字に敷いてある。


とりあえず、3人は、手前の部屋に荷物を置くのだ。荷物を置くなり、千代は窓に近寄り窓の外を見つめる。


「凄い凄い!!綺麗!雪山だぁ!」


「あそこが、スキー場やで」


「行きたくないわ」


一気にテンションが、下がる千代を愛おしそうに見つめる遥。


ーーチクリッ。


ーー ホラ、また……。


ーーこれは、なんなんだろう?


「千代?」


「はい?」


ふと、遥の方を向くと唇を奪われる。


彼は、悪戯っ子の様な表情を浮かばせて彼女を抱きしめた。


「僕、今一番幸せ」


「遥さん……大袈裟。ほら、すずもおいで?」


千代が、手を前にするといつもの彼女なら手を取るのに、最近ソレを嫌がるようになった。


「あー……私!喉乾いた!!ちょい買ってくるね!」


「あ、そう?」


「二人の分も買ってくるね」


「ちょっ!すず?!」


ーーパタンッ。


彼女は、空気を読んでか部屋をお財布だけ持って、部屋をあとにした。


「お茶なら……あるのに」


「最近、すずちゃんなんか余所余所しいな?」


心配そうに考える千代を横目にして、遥は、そんな彼女の手を引っ張り布団の上に優しく誘導する。


「ん?」


思わず、布団の上に正座をする千代。彼女の前に遥も、正座をした。


「千代」


「はい?」


「真面目な話ししてもええ?」


「なぁに?」


どうしたの?急に。と、付け足して首を傾げる千代。


「愛してるで」


突然、言われた言葉に驚き肩を上がらせ、思わず顔を背けた。


すると、遥は千代を、後ろから抱きしめた。


「私の率直な意見を言うよ」


「うん」


「遥さんのことは、大好き。それは、間違えないよ……でも、私なんかが人を好きになっていいの?私……」


その時、千代の脳裏を過ぎていくある人物の泣き顔。


カタカタと、震え出す体を、遥はギュッと力を込めた。


「僕は、千代の全部が好きやから。愛しとるから……だから……そんな顔せんといて?」


振り返る、千代の頬を伝う大粒の涙。


「遥さん……ハルくん」


「やっと、そう呼んでくれたなぁ……千代」


そんな、二人の話しを廊下で聞いてしまった迷涼。


ーーそっか……ふたりは、両想いなんだ。嬉しいな!ふたりが付き合うなら、私も…しあわ……。


ポタポタ……。


この時、迷涼の頬にはこれでもかという涙が、零れ落ちたのだ。


ーわ嗚呼、そうか……私……遥ちゃんのこと好きだったんだ。今更、気が付いて……ばっかみたい。私は、こんな私が嫌いで堪らない。

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