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ちよすず物語  作者: ひな菊
23/60

そして、日常へ


そして、現在。


日も暮れて、店を閉めて遥と千代は、車で迷涼の通っている大学まで車で迎えにいく。


「あれれ?すずちゃん、来てないやん」


「そ、そうですか」


「よし、探しに行こ?」


「えっ!?」


「なに?」


「す、スマホで聞けば良くないですか?」


現代機器使おう?!と、言う前に遥はもう、いない。


「て、店長?!」


遥の後を、泣きそうに追う千代。


彼より、先に迷涼を連れて、帰らないと。


もしだ、もしも彼が先に迷涼を見つけてしまったら、彼女の近くには七倉がいる。


七倉と遥が、はち合わせ……。


「やばいわ……七倉くん、死んじゃう」


ちなみに、遥は空手、柔道は黒帯。


一時期、知り合いの剣道の道場でお手伝いもしていた。


つまり、物凄く強いのだ。


遥かに、千代と、七倉の関係がバレたらジ、エンド。


ーー 死ぬ気で探さないとぉぉお!!!


本日二回目、校舎を走りまくる。



そんな中、知らず知らずに遥の足は仮眠室の方へ。


「こっちから、タバコの香りがするわ」


朝、千代が呟いていた言葉。


『アンタ、タバコ吸ってんの?』


それを思い出して、鼻で探していた。彼の嗅覚は、警察犬並みだ。


「この部屋や」


中から、窓を開けてタバコを吸っている見覚えのある男が目に飛び込んできた。


「アレ?あの人………誰やったっけ」


記憶力は、あまり良くない遥だ。


とりあえず、扉を開ける。


「すずちゃん!迎えに来たで!」


突然の、遥の登場に仮眠室でタバコを、吸っていた龍夜、七倉、右京が一気に睨み付ける。


「ふ、不良!!?教授さん!!!!ココに不良が!」


「「「はい、教授さんです」」」


一斉に、タバコを消して答える。まるで、不良の、たまり場だ。


遥は、思う。


ーー ココに、可愛い妹分を通わせていくのは危険かも知れない。


「あれ?七倉くん、タバコやめるんじゃなかった?」


挑発するように、右京は七倉にタバコの煙を、吹き掛ける。


「ゴホッ……あー、イライラするとな」


やめろ。と、咳をする七倉。


そこに。


「アレ?はる…奥山さん」


可愛い妹分の、迷涼が後ろに立っていた。


「スズちゃん!て、何で苗字呼び?いつもみたいに、はる……「あああー!!!!」


コンビニで、買ってきた金平糖を彼の口いっぱいに入れる。


「はる?」


ピクッと、七倉の耳が動く。


「あ、申し遅れました!私、迷涼の保護者みたいな者の、奥山 遥と申します」


頭を下げる遥に、あちゃーと顔を覆う迷涼。


彼の名前を聞いた七倉は、遥に近付いていく。


「さて、帰ろか。すずちゃん」


「うん、今すぐ猛スピードで帰ろう」


「待て、迷涼」


初めて下の名前で七倉に呼ばれた迷涼は、思わず立ち止まる。


「スズちゃん?」


「は、遥ちゃん…ごめんね」


私が要らないこと言ったせいで…面倒臭いことに。


ポロッと、涙が溢れた迷涼を見た遥。


「すずちゃん?」


「おい、お前がハルカさんか?」


「お前か?」


肩に置かれた七倉の手を握り潰す。


「いででで」


「僕の大切な妹、泣かせたな?」


「え?」


「ドタマかちわるぞ」


「え…ええええええええ」


仮眠室から、七倉の痛がる声と笹木部兄弟の笑い声が、響き渡った。


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