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ちよすず物語  作者: ひな菊
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そして、家族になった


次の日。


私の、体の管が取れて点滴だけになった。


凉音は、未だに覚まさない。


私の不安がドンドン膨らんでいく。


もし、凉音がこのまま目を覚まさなかったら?


不安は、募るばかりだった。


私が、悪いんだ。


「あれ?すずちゃん、まぁた寝てない。横にならないとダメやろ?」


おじ……遥さんが、私のことを軽々とお姫様抱っこをして、ベッドに戻す。


「は、遥さん!だ、大丈夫ですよ!」


「敬語いらんよ。僕のことは、遥ちゃんて呼んでな」


花瓶にいけてある花の手入れをしながら、遥は、軽くウィンクをする。


しかし、彼は猫目なのでウィンクしたのかよく分からない。


「千代姉ちゃんは?」


「ちぃちゃんなら、多分すずちゃんのおばさんとお話会やない?」


「え?」


遥ちゃんは、椅子に腰掛けて私に真面目な顔つきになる。


「ちぃちゃんが、すずちゃんたちを引き取ることになったんや」


「え?」


私は、頭が真っ白になった。


私……あんな酷いこと言ったのに。


その言葉だけが、真っ白な頭に浮かんできた。


涙が止まらなかった。


「ご……め……ん、なさい……私……」


遥ちゃんは、大きな腕で私を優しく抱き締めてくれた。


「大丈夫や。僕も、手伝う!もう、怯えなくて良いんよ」


心地よい彼の声に私は、涙が止まらなかった。


そこに。


「あ~っ!店長が、すずにセクハラしてる!!」


「なっ!してへんよ!僕には、千代ちゃんだけやもん!」


「はいはい」


千代姉ちゃんは、私に呟く。


「話は、ついたわ。あなた達は、正式に遥さんの家で引き取ることになったわ」


「え?」


私は、遥ちゃんに視線を移した。


「あー、やっぱりちぃちゃんが育てるのは、難しかった?」


「はい、どうしても……」


「なぁ?最終手段に、僕がいて良かったやろ?」


「はい、ありがとうございます……っち」


「舌打ち、バリバリ聞こえてるで」


頭がまた、真っ白になった。


「ちょ、え?どういう意味?」


「遥さんの、家で私とすずと凉音くんの三人で住むの」


「え?」


「それが、一番いいと思うから」


千代姉ちゃんの、笑顔に私は、何故か複雑な思いでいっぱいだった。


「ありがとう……」


「いいのよ。反対に、ラッキー。迷涼たちと、暮らせるなんて楽しそう!!」


うししっ。と、微笑む千代姉ちゃんに。


「僕も、コンビニ弁当生活から脱却できるし!」


「いいの?ホントにいいの?」


「だから、いいのよ!」


気が付くと私は、大粒の涙が止まらなかった。


「私……千代姉ちゃんに、酷いこと言ったのに……」


「ん?なんのこと?」


「ありがとうございます」


それから、私たちは家族になった。


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