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ちよすず物語  作者: ひな菊
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赤信号みんなで渡れば怖くない


無理矢理、遥作のゴスロリエプロンを着せられそうになった千代。


思いっきり、遥の頬を殴りつける。そのまま、三人は遥の車で各々の仕事に行く。


これも、変わらない日常。


「遥ちゃん…傷だらけだね」


「大きな虎さんに、噛まれてもうたからな」


車の運転中、後部座席に座っていた迷涼と、助手席でふんぞり返ってあからさまに、機嫌が悪い千代を横目で見つめる遥。


「虎??可愛い子猫の間違えでしょ」


「猫は、こんなに激しく引っかかないでしょ?」


「うるさいよ、すず」


千代の言葉に、お口チャックする迷涼。


「ちぃちゃんが、何であれ僕は、愛してるで」


ハンドルを片手で、器用に運転しながら、もう片方の腕で、千代の肩を抱く。


「ハイ、アリガトウ。お願いですから、前向いて運転して下さい」


「ハイ、アリガトウ。だけ、妙にアメリカンだったよ」


「発音頑張った」


「ちぃちゃん、意地悪やで?」


「ねぇ!お願い!!!前向いて運転して!!」


「キスしたら、考えてあげるわ」


「それは、キョウハクです!!!」


「あ、またアメリカンになった」


目の前の信号が、黄色から赤に変わる。


「店長ぉおおおおおおおッ!!」


「遥ちゃん!赤ッ!信号赤ッ!!!」


遥は、思い出したかのようにブレーキを踏む。


「いややわ!僕がまさか事故るなんてありえんよ~。アレ?二人共顔、怖いで?」


凄まじい勢いで、遥にブスブスと刺さる千代と、迷涼の怒りの視線。


ースパコーンッ


「軽く走馬灯が走ったわ!店長じゃなかったら、フルボッコよ」


千代は、勢いよく、遥の頭を叩き、パンパンと手を払いながら、後頭部を殴られアニメのようなタンコブを作った遥。


「じゃあ、私行くよー」


「あ、ココすずの大学か。気をつけてね」


現役大学生の、迷涼は一人と生きた屍一体に、別れを告げて大学の門を潜って行った。


残ったのは、生きたしか…遥。彼は、動くことなく、ぷいっとそっぽを向いた。どうやら、不機嫌らしい。


まぁ、遥と付き合いの長い千代ならこの程度なら、治せる。


「はるかさん」


ピクッ。彼の耳が動く。


「こっち向いて下さい」


「なんよー…また、叩…ンッ」


頬に優しく、手を添えて唇を塞ぐ千代。


コレが、遥の不機嫌を治す方法。


「大切ですよ、はるかさん」


「ちぃちゃん、loveッ!!!!」


抱きしめられる遥の胸の中は、とても、暖かった。


もう、ホントに、この人は……。と、満更でもない千代である。

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