表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ちよすず物語  作者: ひな菊
15/60

忘れ物から始まる悲劇?


次の日の朝。


『早く起きろよ、起きないと食べちゃうぜ?』


「ぐへへへ」


最近、迷涼のフライパン目覚ましでも起きなくなってきたと言う非常事態に、千代が選んだのは、お気に入りの声優ボイスの目覚まし時計。


パンダ柄の布団から、パンダ柄のパジャマが出てきてスマホを止める。


そんな千代の将来を心配している迷涼。


「怖いよ」


思わず、口から出た言葉だった。。。


「いいでしょ!?朝からこんな声聞けて、起きれるなんて幸せ」


パンダのぬいぐるみを抱き締めて、再びベッドに戻る。


「それで、寝たら意味無いでしょ?!」


ほらぁ!起きて!!と、布団を剥がす。


「だったら、イケメンでイケボな人連れてきて!」


「知るか!起きろっ!」


「呼んだぁ?」


野菜ジュースを飲みながら、彼女の部屋に入る遥。


確かに遥は、イケメンに入る。勿論声も、素敵だろう。


「しゃーないなぁ。可愛い眠り姫は、遥王子のキスでめざッ「目覚めるかッッッッ!!」


持っていたパンダのぬいぐるみを、遥か目掛けて投げ付ける。それは、見事命中。遥は、そのまま後ろに倒れた。


「反対に寝ちゃうよね…遥ちゃんが…」


無様に、パンダのぬいぐるみが命中して倒れている彼を見つめた。


「とりあえず!二人とも、お起きて!私、大学遅刻しちゃうよ!」


「それは、いいんだけどさ」


「良くないよッ!」


「すず、煙草吸ってるの?」


「……………………………………え?」


「いや、ふんわりと煙草の香りが」


「やっ!やっだなぁー!!吸ってるワケないでしょ?!!あ、あれぇー?おかしいなぁ!あ!そうそう、遥ちゃんの移ったんじゃないかな??!」


「僕、煙草は吸わんよ?」


よっこいしょ。と、立ち上がり何やら、挙動不審の迷涼の髪の香りを嗅ぐ。


「ホンマや……あと……男性用の香水?くんくん……コレは、エロランパンやね」


遥の鼻は、警察犬並だ。


ドッキンドッキンと、迷涼の胸が鳴り響く。


「ほほう、エロねぇ」


ベッドの、上で胡座をかいて頬杖を付く千代。


「も、もう!!バカなこと言ってないで、サッサと着替えてきて!!」


「僕もご飯の続き」


千代も、一度深い欠伸をしてから服に着替える。


朝ごはんも、食べて迷涼を大学まで送り届け、遥と千代も職場に向かう。


車の中で、千代が今日の予定を軽く説明する。いつもなら、ラフな格好の遥だが今日は、会長会議な為スーツにネクタイ姿。


千代を、職場まで連れて行き再び『八重桜』の本店である物凄く大きなビルまで、行かないと行けない。


会長会議という事なら、また聡子がいる。


「じゃあ、行ってくるなー?」


車に乗る前に、千代は浮かない顔で遥の手を握りしめる。


「やっぱり、私も行きましょうか?」


しかし、遥はいつもの笑顔で彼女の手を優しく包み込む。


「大丈夫やから、おおきにな」


「行ってらっしゃい」


「行ってきます」


車に乗ると、遥は窓を開けて包みを渡した。


「スズちゃんまた、忘れ物」


「またか……あの子は……私、ちょっと届けてくるね」


「僕が行くのに」


「大丈夫よ、今日はスニーカーだし行ってくる!」


「じゃあ、行ってきます」


「行ってらっしゃい」


遥の車が見えなくなるまで、彼女は見送った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ