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ちよすず物語  作者: ひな菊
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鎖が解ける日


コレは、遥の過去の物語。


遥は、10歳まで小さな小さな呉服屋の息子として育った。


父親ー奥山(おくやま) 千秋(ちあき)ーには、本妻がいて滅多に家には帰ってこなかった。


母親ー長澤(ながさわ) (はる)ーは、そんな父に怒りと悲しみに明け暮れ、酒を飲んでは暴れ遥に暴力を振る毎日を送っていたのだ。


千秋は、大手呉服店の会長で、時期会長には、遥を推薦するつもりでいた。


何故、彼は、遥を選んだかと言うと、本妻との間には、子宝に恵まれなかったからだ。


しかし、春は、タダで遥を渡そうとはしなかった。


千秋が、遥を迎えに来た時。


「五千万や!!!五千万支払わないと、この子は、渡さへん!」


11歳の誕生日に、母親のこんな姿どんな気持ちで遥は、見ていたのだろうか。


千秋は、春の希望通りの金額を用意して遥を連れ出した。


しかし、遥は春から決して離れようとしなかった。


「いやや!僕は、おかんから離れとうない!!」


金を受け取った春は、人が変わったように遥を、抱きしめそして笑顔でこう呟く。


「バイバイ。アンタは、もう要らん子なんよ」


その言葉が、11歳の彼の心にどれだけ刺さったか、彼女は知らない。


遥は、そのまま奥山家に姓を移した。しかし、ここでも彼は、幸せにはなれなかった。


千秋の本妻であるー奥山(おくやま) 聡子(さとこ)ーとの出会いだ。


なにかと言えば、すぐに叩かれ、暴言を吐かれていた。


しかし、千秋だけは違った。ボロボロに、なっていく遥を見てそっと抱き締めて、呟く。


「お前は、いい子だよ。大切な存在だ。愛しているよ、遥」


その言葉だけが、遥の心を救ってくれていた。が、何かの運命なのか千秋は、心臓病の発作を、起こしそのまま帰らぬ人になったのだ。遥が、十五歳のときだった。


そこから、聡子の遥への当たりが一気に強くなる。


「妾の子如きが!」


「使えない」


「役立たず」


「要らない」


どんどん、遥は精神と肉体を蝕まれていった。。。


そして、医師からの診断は、『心臓病』


千秋と一緒の病名だった。


ストレスが、負荷になるほど彼の病は、進行する。


しかし、聡子の遥への態度は変わらなかった。


そして、遥が24歳の時本当は、時期会長として呉服店『八重桜』になる筈だったのだが、聡子はそれを許さずに小さな街店舗の呉服店の店長として、厄介払いをする。


そして…彼女と出会ったのだ。


「初めまして!如月 千代と申します!」


千代の笑顔を見た遥は、大袈裟にこう思ったお天道さんみたいな笑顔やな。と。


彼女は、これから、傷だらけの彼を鎖だらけな彼を救い出すのは、また別のお話。


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