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第三皇女は魔族がお好き  作者: きのこダンス
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 何事も無く次の日も過ぎ去ろうとしていた日の夜、お母様(・・・)に呼び出された私は、いつもは家に居ない兄二人と従者のポフェロを従えて母の部屋にお邪魔していた。


 衝撃事実発覚からお母様はお母様ではないという事は理解出来たものの、私にとっては目の前のテーブルに優美に座るお母様は、やっぱり私にとってお母様(・・・)なのだ。

 

 そして何より、元々お母様のお部屋に入れてもらえる事は滅多にないので少しうきうきである。


 お母様のお部屋、ぬいぐるみがいっぱいでとっても可愛らしいんだもの。

 ちょっと変わった異国の陶器も沢山あるのだ。

 地味に陶器好きの私としては毎日だってお邪魔したい。

 貴婦人のドレスのレースすらも陶器で出来ていたりとかする代物まであるこの部屋の陶器達は、どこまでもつくりが繊細で見ていて楽しい。

 

 勿論ぬいぐるみも大好きだし人形も大好きだ。

 特にウシャーナという耳の長い動物が大好きな私は、お母様コレクションの一匹くらい拝借できないかと常々思っている。


 小さな頃は拝借するどころか叱られるの覚悟で虎視眈々とお母様コレクションを狙い、勝手に持ち出してはぼろぼろにしてしまう所為でお部屋に入れてもらえなくなったのは何時頃の話だったかな。


 最近な気がしなくもないがもう覚えちゃいない。


ミリアンヌ様(・・・・・・)、どうぞこのお部屋のものを持ち出すのはお止め下さいね。全て盗難防止に(わたくし)専用のプロテクトが掛かっておりますのでミリアディア様の御身に差支えが生じますわ。」


 きょろきょろと辺りを見回していた私に優雅に紅茶を嗜みながら釘を刺すお母様。

 この前のデュリオの衝撃告白からお母様が私に対して一応形だけ敬語である。


 椅子に座って紅茶飲みながらこちらを見もせず話す辺りいつも通りのお母様で、私への呼び方こそ変わってしまっているものの当然の事のように敬意のかけらも見受けられない。


 お母様の従者であるシシリアは何も知らされていないらしく、私の事を()付けで呼ぶお母様に驚嘆した後、ほんの少しだけ瞳を揺らしていた。

 従者らしく、おくびにも出さないように気をつけているのが私にはとても良く解る。


 それはそれとして。

 態度云々はともかく呼び方一つでちょっぴし他人行儀になった事に地味に傷付く私がいる。

 本当の親子ではなかった上に王族っていう付加価値が付いてしまっていた事が発覚したのだから仕方が無いのだけれど。


 昨晩、あれから激しい攻防、というかポフェロに身包みはがされる勢いで無理やり夜着に着替えさせられた挙句クドクドと怒られた私は、すっかり眠気を失い家族の事を考えてみていたりもしたのだ。


 突然家族の対応が変わるというのは正直辛いものがある。


 変わらないだろうという考えも勿論ありはしたがどう心が乱れるのか予想できなかった為、一応ほんの少しだけでも心の準備して置いて良かった。


 今目の前にいる亜麻色の髪を繊細に編みこみ、ハーフアップにして束ね、薄くオレンジ掛かった桃色のドレスを優雅に着こなし真っ白なアンティークの机を前にこれまた真っ白なアンティーク椅子に座り、素敵なオールドローズのティーカップを手に取る姿は子供を産んだとはとても思えない程の美しさを誇る女性なのだがいかんせん、私はこの女性……母親の本性を知っている。


 怒ると怖いのだ。

 それはもう鬼の様に。


 そして今のこの雰囲気。


 私としたことが気づくのが遅くなってしまったのだが、そっけなくなった理由としてお母様は何かに対して怒っている。

 

「あの……、お母様……。」


 私は呼び出されたにも関わらずこの空気に耐え切れず声を発した。


ミリアンヌ様(・・・・・・)、お座りいただけますか?お話しておく必要がありますが(わたくし)はミリアンヌ様の母親では御座いません。アルトバルン夫人とお呼び下さい。お座り下さい。レオンハルト、アルバート。貴方達もつったっていないでお座りなさい。ポフェロがお茶を。」


 お母様はそういうとコトリ、とティーカップを静かに机に置いた。

 お母様の従者がそっとティーカップを下げると


 「あなたたちはもうお下がりなさい。」


 そういってお母様は従者と使用人を下げた。

 お母様の従者であるシシリアは軽くお母様と私たちに向かって一礼すると使用人を促しつつ部屋から退出していった。



 




毎日があっという間に過ぎ去っていくのは何故!?もっと時間が欲しいです。文才も欲しいです。そして夏になると毎日5時間プール漬けにされて、プールと同化しそうです。ちなみに泳げません。

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