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第三皇女は魔族がお好き  作者: きのこダンス
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 とりあえずあれから部屋に戻った私はベッドの上にちょこんと腰掛けた。

 

 話が終わった後、新しくきた執事(デュリオ)の驚く顔がやっぱり見たくなって部屋に戻らず色々細工した事を披露してあげたきた。

 それなのにデュリオは驚くどころかため息をついた後、何でも無い事かのように無表情で全てを片付け、そして


「就寝時間ですのでお休みさせていただきます。まだ(わたくし)には部屋で片付けも御座いますので誠に勝手だとは思うのですが登城なされる三日後まで休暇を頂きたく存じますが宜しくお願いします。ミリアディア様もお早めにお休み下さい。そして三日間私のお部屋にはいらっしゃらないようにして頂ければと思います。それからポフェロさんでしたか?あなたはミリアディア様の従者でしたね。貴方にも着いてきて頂きますのでそのおつもりで。」


 と冷たい声で言われてしまい追い返された。


 私のなけなしのプライドは地味にズタボロである。

 あそこまで、あそこまで頑張ったのに眉一つ動かさず、ましてや喜びもしないなんてっ!!


 あの冷たく光る黒檀の瞳がほんのり憎いっ!!


「それにしても僕、どうなっちゃうかと思いましたよ。よかった。僕、今回お嬢様について行っても良いと言われて安心しました!これからもお嬢様と一緒に居られる可能性が増えます!!僕からお嬢様を取り上げられてしまったら僕には姉しか残りませんから。」

 

 ポフェロは深海の瞳をうるうるさせながら手を胸に当て心底ほっとした顔をしていた。

 姉が残るなら別に私はどっちでもいいのでは?なんて意地悪な事は言わない。

 ポフェロには色々と事情があるのだ。

 姉と同じくらい私の事を大切に想ってくれてるのだろう。


 というか心底楽しそうに鼻歌歌いつつ夜着や紅茶を嬉々として用意しているポフェロを見ていると、どんだけ従者という職業が好きなんだろうと思わざる得ない。


 こいつ私と離れるという事で生じるであろう生活の方の心配はしてないな……、と表情を見つめて思う。


 そんな素直なポフェロを見ていたら少しだけ憤っていた気持ちが落ち着いた。

 

 それにしてもポフェロって結構可愛らしいお顔してるのよね。

 色白だし瞳もきらきらくりくりとやたらでかいし。

 ショタっ気のあるお姉様方にはちょっと眉唾物なんじゃないかって思う。


 ポフェロがどんな人間なのか表現するなら色んな意味でショタ犬癒し系になるのかなと思う。


 まぁ、私にとってのポフェロは1歳しか変わらないが弟みたいなもんだが。

 

 こんな夜更けにさも当然のように、来年にはお年頃である私の部屋にいるポフェロだがこれにはさっきも述べたように色々理由があって話しだすと長いような短いような。

 

 この国だけなのか知らないけれど従者は基本女性が多い中、何故男であるポフェロが?という難しい問題への詳しい説明は省くけれど、例えば朝の着替えを手伝ってもらったり髪を梳かして貰ったり、爪の手入れや小物の手入れ、コーディネートや部屋の掃除に至るまで私の一日一日を支えるのはポフェロの仕事だ。


 なのでいつでもポフェロを呼び出せる特権を持っている私は、ポフェロが私の為にいつでも動けるように部屋自体も私の続き部屋で寝てもらっている。


 だからといって嫁入り前の私が常にポフェロと二人きりという訳でもない。


 ポフェロは男だが双子の姉がいてその姉も隣の部屋に一緒にいたりする。

 かなりの仲良し双子なのだ。

 姉側には恐らくちょっぴし嫌われてる。

 

 ちなみにポフェロの姉は物凄く頭が良くてアホが嫌い…ってそんな話はどうでもいいか。


 とにかくポフェロはわたしの部屋に何時如何なる時もフリーパスで入って良いし、ポフェロがいないと私の生活は立ち行かないという事だけは間違いない。


 好き嫌いはともかく姉側が従者になれば問題にならないのでは?という事も世間では囁かれているみたいだがそれもこれも色々とした事情というものがあるのだ。


 この辺の理由はともかくとして

 

 「はぁ……。三日後かぁ……。」


 登城を断る理由すら見つからなかったな……。


 問題を先延ばしにするのはあんまり得意じゃないけれど否応なしに訪れる未来にちょっとため息が出てしまった。



 とにかく今日は夜も遅いし寝よう!

 私は気持ちを切り替えるとポフェロが用意してくれた夜着も着ずにドレスのままでいそいそと天蓋つきの布団にダイビングジャンプをかまし、ふかふかのお布団の中に滑り込んだ。


「お嬢様っ!ドレスのまま寝られますとドレスが皺になってしまいますし寝るときはせめて夜着に着替えて下さいよぅ。」


 布団に入るとお休み三秒の私の耳にポフェロの大絶叫が響き渡らなかったことはいうまでもない。



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