表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
野菜ダンジョン  作者: pow
PR
1/1

1話 そうだ、草刈りしよう

今オレは畑の草取りをしている。

100平米ほどの畑としてみたらおそらく小さい部類の畑だろう。


親戚が持っている土地でどうせ触らない土地だからと祖父が親戚から無料で借りて、家庭菜園みたいな感じで仕事の休みの日にやっていた畑だ。

土地が余ってるなら家でも立てればいいのにと思ったが、バイクや荷車は通れるが車は通れない微妙な細道を通った所にあるせいで建機が通れず、先に道を作らないといけないので手付かずの場所らしい。

都会にこんな場所が残っているのがビックリな土地だ。


そしてオレが平日の朝からなぜ草取りをしているかというと仕事をやめたからだ。

ムカつく上司と会社だった。

100名規模の中小企業だったが業績は悪くないのに上層部が社長家族で占められていて昇進の見込みや給料アップが望めない。20年先輩の年配の方でもオレと給料に大差がない。先が見えてしまう。


さらに昨年、突然オレらの上司になったのは素人である社長の娘。

ぽっと出なのはわかるが仕事のスケジュールはブッキングしまくり、午後はふらっといなくなり行方知れず、仕事はこちらで組み立てしても最終決済はせずに腐らす案件が多数の段階でやってられんと思った。

30歳になったばかりのオレと5つ年上でオタク仲間の同僚は今なら年齢的にまだ転職できると思ってやめた。


今はリフレッシュタイムだ。ということでオレはひさびさに家の畑にやってきて父さんと一緒に畑の土をおこし、草を抜いている。

とはいえ祖父の代から始めて、祖父が亡くなってからは父さんがやっている畑は休日にしか手をいれられないせいで半分は草ぼうぼうで荒れている。

背の高さまである草が生えている場所も少しながらあった。父さんに手伝いを申し出たときは一言「草取りやって」で通じるくらいだ。


「腰がいてぇ、父さん腰痛持ちなのによくやってられるな。」


「休み休みやれ。ゆっくりでいい。」


「おう。」


父さんは定年を迎えたが完全週休二日制でアルバイト扱いで工事に呼ばれる。今日はちょうど休みだったので一緒に作業中だ。


まだまだ手伝い始めて1週間と少ししか経っていないが少しずつ畑の邪魔な草がなくなってスッキリしているのを見るのは自分の成果が見れるので気持ちが良い。

そして草を抜いて土がむき出しになった場所に鳩がバサバサとやってくる。


「あれ、鳩とかくるのか? 追い払わなくていいのか?」


あれって植えてあるの食べるんじゃないのか。と疑問に思う。


「いいよ。ほっとけ。こいつ、いつもは夫婦で来るのに今日は一人だな。」


しかも夫婦でくるのかよ。あと鳥を数える時は1羽2羽だろとか軽口をいいながら作業を進めていく。

てか、目の前でホバリングすんな!近い!微妙にこえぇよ!


そんなこんなで父さんが休日の日は一緒に作業をし、そうじゃない日は職探しをしつつ畑作業。さらに一週間が経って草取りもほぼ終わり、キレイになったなと思った頃に問題が起きた。


山の斜面に面している畑の奥の方にある防空壕の入口がボロっと崩れて畑側に土が崩れてきた。

おおぅ、あの辺りは以前から父さんがネギとか比較的育てやすいのを植えてたところだ。

大丈夫だろうか。


あの防空壕、50年以上放置されているので中はほぼ埋まってたじゃん。子供のころ探検しようとしたけど3メートルくらいで諦めたぞ。

なんで今頃崩れて中に入れますよ~って主張するんだよ。


恐る恐る中を覗き込んでみると真っ暗で何も見えない。もっと崩れたら危ないので今日は近づかないでおこう。

父さんに報告しとかないとな。




夜、仕事から帰ってきた父さんに話をしてしばらくは様子をみることにしてあまり近寄らないことになった。


「くずれた土をかぶった野菜があったら土をどけておいて。あまり山の斜面に近寄らないでいいから。」


とのことだったので、翌日畑にやってきたオレは少し土をかぶったネギなどを救出する。


「まあ、ネギなのですぐに収穫するだろ。」


とひとりごとを言いながらラジオを聞きつつ作業をする。

また鳩がやってきたのでお前にやる野菜ねえから!と言ってやったが、当然言葉が通じないのでケロッとした顔だった。


そんな時に突然、ネギが動き出した。よっこいしょとでも言いたげに根っこを動かして自ら土から出始めたのだ。


「はあ!?」


 びびりすぎて変な声でた。さっきのオレには特に反応しなかった鳩もビックリしたのか動きが止まってる。

 動きの止まったオレ達を無視してネギは動き出し、そして土から完全に出たところでパタリと倒れて動かなくなった。


「え、動いたよね?」


 びびったので思わず鳩に問うが当然のように返事はない。道具置き場から鎌をとってきてネギをツンツンと突いてみるがもう動き出すこともないようだ。一体どういうこと?


 ボコォッ!


 さっきのネギ付近に生えていたネギ達が10束分くらい一斉に土から飛び出てきた。


「うおおおおおおお。」


 不意打ちに思わず後ずさりしながら叫び声がでた。しかも出てきた後はパタリと倒れて一切動かない。お、お前らなんやねん。超ビビったやんけ。


 また他のネギが出てきてもビビらないように身構えながら後ろにさがる。とりあえず様子を見よう。近くにいる時に飛び出てきたら心臓に悪い。


 20分くらい休憩がてらスマホをいじりつつ様子を見てみたが特にあれ以降は何も起きなかった。


「ちょっと調べてみるか。」


 近づいてまたネギを鎌でツンツンしてみる。もちろん他のネギを警戒しながらだ。心構えはバッチリだぜ。

 しかし、今度は何も起きなかった。用心しながらネギを集めたが問題なさそうだな。自分で土から出てきたせいかけっこうキレイな状態である。ひと束分切って中身がおかしくなっていないかとか見てみたが今までのネギと比較しておかしなところはない。しかも切ったところからネギ特有のいい匂いもしてくる。

 けっこう強い匂いだな。やっぱり変なことになってるんじゃないかと思って切ったネギをその場に置く。枯らして後で枯れ草と一緒に焼いて灰にしようかな。


 バササササ


「うおおおおおおお。」


 今度は鳩がやってきた。いつもの(つがい)の2羽だ。驚かすなよ。今日はビックリしまくりだよ!まったく。切ったネギをついばんでるよ。ネギ食うのかよ。オレ、畑でお前らが実際に何か食べてるの見るの初めてだよ!

 よく見たらこいつらけっこう丸々としてる。普段はどこかで人間の食べ物、パンくずとか沢山食べてるんじゃないか。


 かなりガッついてる。もの凄い勢いでついばんでるぞ。そんなにうまいのか。あんな動くネギ不気味だぞ。

 でもまぁかなり美味しそうに食べているように見える。こいつらが食べて大丈夫そうだったらちょっと食べるのを考えてみてもいいかもしれないな。


 今日はもう帰るか驚き疲れたわ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ