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秘封倶楽部の天気は現世のち幻想  作者: だみ
第七章 心狂硝子 ~ I Am You,You Are Me
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第九〇話 逆さまな鏡

 私はいつも通りに朝の光で目覚めた。目覚めても瞼はいつも通りに重たいよ。

 ……あれ、これ本当にいつも通り? うんん? 私、昨日右で寝たっけ?

 私のベッドは広いからメリーも丁度一緒に寝れるんだ。

 いやいやいや、そんな事より何?この違和感。今までに感じた事ないよ?

 私はようやく開ける事の出来た瞼を開き、目を擦った。そして左向きになった体を動かさずに隣を見ると……!?

「ちょ、ちょっとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!??」

 私の声じゃない甲高い声が、何故か響いた。



 ━━━━



「……」

「……」

 気まずいね。何で気まずいんだろ。

 あ、そっか。私の前には私が居るんだ。まだ他にもあるけど主はそれ。貴方達だって自分の姿してる人に話しかけ辛いでしょ?

 あ、まだ事情が分かりきれてない人がいるかな?実はねぇ……大変なんだよ。今、私の目の前に私が居るんだ! そして、私の体、メリーなんだよ!! そこっ! にやにやするなっ!!

 とにかく、私達は机を間にして向かい合った。

「……えっと? メ、メリーだよね?」

 私の声じゃないけど、言い辛いけど、聞かないと話が進まない。

「……ええ、私よ。そっちは蓮子……よね?」

 嗚呼、私の声だ。何でこうなったの。

「うん」

 メリーの声だね。本当にメリーになっちゃった! またっ! 笑うなっ!!

「……そう」

「……うん」

 私はメリーの手を開いたり閉じたりした。私のとちょっと違うなぁ。そっか、手相のせいっていうのもあるかも。メリーの生命線、私のより少し短いなー。

「さて、こうなったんだから、絶対メリー何かしたね。話してもらおうか」

 私は手の動作を止めて、メリー……いや、私の姿をしたメリーを見つめた。

「ううっ……何か凄く気持ち悪いわ」

 メリーは私のした事と同じ事をした。やっぱり変な感じがするよね。

「仕方ないでしょ。ほら、早く」

「言われなくたって……実はね━━」



 ━━━━



 今日は何処なのかしら? 幻想郷は現になったからないとは思うけど。

 真っ暗な世界だわ。でも、壁があるみたいよ。だって鏡が同じ平面にいくつも掛かっているんだもの。

 前に鏡探しをしたけども、なかなかないわよね、鏡って。でもここにはあらゆる鏡が沢山だわ。

 私は沢山ある鏡がある中の一つへと向かったわ。どの鏡も暗い筈なのに光が反射してくるわ。

「……ただの鏡よね」

 映ったのは私よ。当たり前よね。でも一応右手を上げてみたわ。

「左右反対、ねぇ」

 鏡の私は右手を上げたわ。他の鏡も同じ感じなのかしら?

「うふふ……あははは!」

 急にハスキーボイスの高い声が聞こえてきたわ。もう、吃驚したわ。

「だ、誰よ!」

「ち、ばれたか」

「そんな大きい声出したら誰だって分かるわよ!」

「まだまだ未完成か……はんっ! 面白い!」

 な、何よ気持ち悪い。何が面白いのよ。私は暗い世界を見渡し、声がする方向を探した。

「貴女は誰よ」

「聞きたいか? 聞きたいよな。だが教えん」

 むっかつくーっ! 薄々、馬鹿にしているのが目に見えるわ。

「何でよ」

「教えん。さ、何もかも反転な世界よ!! 彼女を逆転させるのだ!!」

 そう響いた途端、私の頭が真っ白になったわ……。


 気付いたら、一つの大きな鏡の他、何もない所に来てたわ。

 私、今まで何をしてたのかしら……考えると少し鳥肌が立った。

 さっきの声の人、私の何もかもを逆転させたのだわ。意識は無意識に、性格も逆転。更には逆さまに歩いていたかもしれないわね。そして今ここに居る。

 私は鏡との距離を縮めていた。蓮子がいないときは警戒心が高い方だと自分でも思っているんだけど、何故か足が運ばれていくわ。まだ効果は切れてないのね。残念だわ。

 行きたくないのに勝手に動いてしまう足は鏡の方へと近づいていくわ。そして見てしまったわ。鏡に映った私ではない人を。それはね━━



 ━━━━



「貴女よ、蓮子」

「私が映ったの?」

 まだ慣れてない声が私の耳に入っていく。やっぱりメリーだ。私はメリーなんだ。

「ええ。そこで終わったわ」

「絶対それだね。探さなきゃね」

「でも、取り敢えず大学に行きましょ? エニーに事情言っておかなきゃいけないわ」

「確かにね……あ、講義は一緒にやるって事でいいよね?」

 下手したら口調とかで嫌な目で見られるようになるかもしれないしね。そんな事ないかもしれないけど、一応だよ。

「そうね……口調とかは後で考えるとして、まずは怪しく思われないようにしなきゃね」

「そうだね」

「……あー、凄く気持ち悪いわ。蓮子の体って」

「私もだよ、それは」

 ちょっと合間が出来たからメリーが塞いだよ。

「……行きましょうか」

「うん」

 私達は立ち上がって、支度をして私の家を出た。

 今日は疲れる一日になりそうだよ。



おまたせしました!

投稿して、もう三ヶ月経ちましたねぇ……大丈夫か、これ。


蓮子さん、ベッド広かったんですか。まさか、ずっと前からメリーと同居をしようと……。



……さーて、秘封倶楽部が大変な事をしたようですよー。

二と八が沢山あるといいですね。

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