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秘封倶楽部の天気は現世のち幻想  作者: だみ
第六章 幻想未現過 ~ Space-Time Ghost Medium
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第八七話 秘封公開

 静かだった博麗神社では騒いでいる人が大勢。だけど、既に酔い潰れた人もたまにいた。

 未現過が居なくなり、すっかり元気になった慧音さんは人一倍呑んでも騒ぎ、未成年なのに呑んでしまったルーミアは大の字になって眠っているよ。取り敢えず、愉快だよ。

 私達は宴会が開かれている博麗神社よりも離れた所で静かに呑んでいた。夕方まで雲一つもなかった爽快な空は、今では曇ってていて、星も月も見えなかった。多分十一時過ぎくらいだと思う。

「今何時……って言っても分からないわよね」

「うん。分からないね」

 黙って呑んでいた。私は考え事をしてるんだ。どうしようかな? 言おうかな? ずっと心に仕舞っておいたんだけどね。

「もう、ここに来て三日になるわね」

「まだ日にち変わってないと思うけど?」

「大体でしょ。早く帰りたいわ」

 メリーは何を考えているのかな?早く帰りたいっていうのもあるかもしれないけど、やっぱり大きいのは、夢の世界だった筈の世界が現になった事かな?

「メリー、私、言いたい事があるんだ」

 別に言おうと決意したわけじゃないんだけど、自然に口が開いた。もう、言うしかない。

「何かしら? 蓮子。言いたい事って」

「まだメリーにも話してない事だよ」

「私に話してない事?」

「私の能力の経緯」

 そう、私の能力の事。前、生まれつきの能力なんて言ったけど、実は違うんだよ。それを話そうか迷ってたんだ。

「生まれつきじゃないの?」

「違うんだよ。ずっと黙っていようかと思ったけど、何となく話す時なのかな、って思ってね。後、何か話さないとずっと黙ったままになっちゃうからね」

「あら、そうなの?なら話してよ」

「言われなくとも」

 空を見ると、雲が少しだけ穴を空けて星を出していた。今は十一時十分二十七秒だね。博麗神社の方では、秦こころの能楽が始まったみたいだね。

「私、昔も今も星が好きだなぁ」

 昔を思い出して、つい言葉に出てきてしまった。それを聞いてしまったメリーは呆れて細目で見てきた。

「何よ、いきなり。早く話して」

「はいはい」

 どうせ、今から話すから聞かれてもどうって事ないけどね。さ、メリーにも、これを読んでくれている皆にも教えてあげようか。私の秘封を。



 ━━━━



 小中高の授業は、もうネットで受ける時代。おかげで校舎は全部崩されたんだ。そして、人々が住まう場所が増えて自然が消えていく。

 私がもう、小学四年生になって、合成植物の実験が行われた事で世間がざわついているある日。今日は天秤座流星群が見られるんだ! 星が大好きな私にとって、好都合! 生まれて初めて本物の流れ星が見れるんだ!

 私はその事を皆に知らせるとね、『流れ星とか、ネットで高画質ですぐ見れる』とか『興味ない』って言う人がいたんだ。そうだよね。今更星なんかに憧れる人なんていないよね。

 私は他の皆より一風変わった考えをした。現と夢は反意語だとか、客観的に見て明確な真実があるとか、何かよく分からない不思議を信じたりとか……とにかく、皆とは真逆な事を言ってたんだ。所謂、天邪鬼。調べてみても現と夢は同意語だし、真実は主観にあるってあったり、超常現象は科学で説明がつくとか……。

 私は親しい友達にも諦めず誘ってみたけど、駄目だったよ。

 仕方なく親に許しをもらって、近くの小さな森の広場で見る事にした。街中だと光が邪魔で何も見えないんだ。

 私は星座の位置がよく分からないから、星座早見盤と方位磁針を持って勢いよく飛び出した。

 だけど実際に歩いてみたらね、星は見えるけど足元がよく見えなかったんだ。腕時計は持っているんだけど、暗くてよく見えない。

 記憶を辿ってなんとか森に着いた。後はここをずっと真っ直ぐ通るだけ……だったんだけどね……。



 ━━━━



「何でそこで話すの止めるのよ。言いたいって言ったのは蓮子でしょ」

「そうだけど……何て言うか、恥ずかしい」

 後、ちょっぴりナーバス。

「もう後戻り出来ないわよ。話しなさい」

「はーい……因みに、ここから確かな記憶じゃないから、そのつもりで聞いて」

「いいわよ」

 私は中断した話を再び語り始めた。

 あんな事、あったよね。



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