第八二話 早朝の無表情さん
ここに来てから二夜が過ぎた。今日は何だか五時三十分頃に起きたみたい。まだ、外は暗いね。
私は昨日、満天の星空を見た神社のお賽銭箱の隣に立って、空を見上げた。
「五時四十一分四秒か……慣れたなぁ、これ」
私の深緋の瞳には、早朝の空に輝く星が映っていた。
後ろから木が軋む音が聞こえてきた。
「あら、ここに居たのね。朝早くに居なかったから」
「霊夢の方が早いくせに」
霊夢は既に起きてた。私が起きた頃には、隣にあった筈の布団やらが畳まれて置かれていた。
「そういえば、貴女って目が赤いわよね」
「うん」
この幻想郷に入って一回も戻らないこの深緋色。充血よりも赤くて吃驚だね。
「外の世界の人って黒くない?」
「元々、私は焦げ茶色だけどね」
「同じようなもんでしょ。見分けがつきにくいだけで……それで、何で今は赤いのよ?」
「秘力のせいだよ。ここに入ってから治らないんだ」
「でしょうねー」
霊夢が納得の顔で何回か首を縦に振った。私はよく分からない顔で首を傾げた。
「どうして?」
「んー……そういう所だから? あ、そうそう。それで私の言いたかった事は、紫が━━」
「おうい」
霊夢は誰かの声を聞いた途端に、自分の声を小さくしたから、途中で聞こえなくなった。
私にも聞こえた声は、正面にある鳥居に向かうための階段から聞こえてきた。
「霊夢ー。来たよ」
姿が頭の頂点から徐々に最上部の上に出てくる。
「何よーこころ。お賽銭?」
霊夢は空っぽのお賽銭から離れ、鳥居の方へと一歩二歩進んだ。
「ただ来ただけ」
「ちっ……」
「だ、誰?」
私はいきなり現れた少女が誰だかも分からず、霊夢に訊ねた。
「あー、この子は秦こころよ。絶対無表情な奴よ」
「秦……こころ?」
私はその''秦こころ''と言う名前に聞き覚えがあった。何処で聞いたかは思い出せないけど。いや、でも確か、身近な場所で聞いた気がする。
「知ってんの?」
「うーん……聞いた事があるなって……あーー!! あの時か!」
「な、何、急に」
いきなり思い出したから、つい大声を張り上げちゃった。
二人は私の声聞いて、少し身を引いた。だけど、一人だけ私に近寄った。
「居たわ……急に大声出して。どうしたのよ、蓮子」
メリーが目を擦って私達の背後から出てきた。今日は悪夢は見てないかな。そんな事よりも!
「あー! メリー! こころが居たよっ!!」
「心が何?」
メリーが''心''と言ったのは、何となく予想がついた。皆間違えそうだからね。
私はメリーに分かるように、分かりにくく言った。
ん?どっち?ま、気にしない気にしない。
「違うー! こころ、秦こころだって! ほらっ、初めて竺紗に会った時!」
「秦こころ? あの?」
「ちょちょちょっと? 全く理解出来てないから、説明ちょうだいよ」
やっと二人納得したけど、後の二人はまだきょとん顔である。
私は今更それに気付き、二人に分かりやすく説明した。
「実はね、かくかくしかじかってあってね━━」
当然のカット。
この小説大丈夫? すっごく駄文だけど。たまに私達の扱い、雑な時があるけど。最近では、旅行で行った水族館の時での、あのハイテンション。この小説、見てるけど……雑だねぇ。
何か関係ない話混ぜちゃった。後で呼び出し食らうなぁ、うぷぬしに。
「季節……竺紗」
秦こころがちょっと強張って竺紗の名前を呟いた。これはビンゴかも。
「何か知ってる?」
「知ってる。昔、能楽を見せた。稲荷の神様に」
予想通りだ! やったね。
さて、居なくなった理由を聞き出そうか?
でも、霊夢がそのシナリオ紙に水を差す。
「はいはい、少し待ちましょうか」
「な、何?霊夢? 私、聞きたい事があるんだけど」
「私、立つの疲れたわ。中で話しましょ」
自由人だー凄い自由だー!
「さ、早く。お詫びにお茶出すから」
「う、うん」
私達は霊夢に押されて、神社に入った。その時の時間はまだ六時になったばっかりで、六時八分二十三秒だった。
結論。自由人は自由だね。当たり前か。
極「よしっ、蓮子来てね」
蓮「うっ……」
極「私の小説なんて、ただの自己満足と秘封倶楽部の愛を語るだけなんで。その辺りはよろしくお願いします」
蓮「だってさー。これからも私達をよろしくね!」




