第七九話 白兎さんと玉兎さん
「……秘力、ねぇ。あんたは何か知ってるの?」
霊夢は後ろに居る人に向かって、振り向かずに言った。
「さぁ、どうだろうね?」
「っていうか、あんた誰?」
「のちに分かるかな。絶対に」
「本当かしら?」
「ええ。それと面白い事、あったでしょ?」
「……あんたって、あ……」
霊夢は姿が気になって振り向く前に帰った後ろに居た人に向かって、
「こんな時の勘って当たるものかしらね」
と、呟いた。
秋の虫が響いてくる時。のびのびとする巫女が居た。
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「ごめんな! 本当に」
「いやいや、大丈夫だって」
私達は川に沿って飛んでいた。下流に向かっているかも上流に向かっているかも分からない。正面に山があるから上流に向かっているのかもしれない。
「そうか! なら今からマエリベリーの言ってた竹林の所に行くぜ」
「えっ、今から?」
「この川上ったらすぐだぜ?」
下は森が続いている中に川がある。本当に自然ばかり。こうの言ってる通りの世界だよ。
「そうなの? でも、もう暗いわよ?」
メリーがそう言って、上を見たら、七時三十六分四十秒。秋で漂う世界は陽が落ちる頃。辺りも暗いね。
「大丈夫。あいつらは夜行性だから」
「夜行性だと余計━━」
「だから大丈夫! もし何かあったら私のミニ八卦炉でかましてやるから!」
「余計に困るっ!」
夜行性って……活発になるんでしょ? まさか? やだなー。
「とにかく!今から行くぜ」
下には竹林が見えていた。ぽっかり穴が空いてる事に気付いた時には、箒は下に降りていった。
竹林の中にぽっかり空いた穴の中には、さっきのお屋敷とは違う、和風のお屋敷に着いた。
箒から降りた時、何処かの草むらから音が聞こえた。
「どうしたのか?蓮子?」
「いや、何でもないよ」
「そうか。ならって、うぎゃーーっ!!」
魔理沙は地面にいきなりめり込んで叫び声を上げた。その叫び声は、めり込んたと同時に聞こえ辛くなった。
「魔理沙!?」
「てゐ! てゐ出て来い!!」
「てい?」
また謎の単語が出てきた。多分、人の名前なんだろうけど、ていって珍しいね。幻想郷では当たり前の事なのかな?
また、傍の草むらで音が鳴った。
ってあれ? そういえばメリーは? 周りを見渡しても居なかった。
そんな事より、魔理沙の救出からだね。
「魔理沙ぁ? 大丈夫?」
何となくそんな事を言っていたら返事が返ってくるだろうと思っていた。
案の定、返事が返ってきた。
「大丈夫だっ! あのてゐがっ!」
魔理沙の返事が返ってきたのは予想通りだったけど、予想外だった事は……。
「動くな」
久しぶりに銃を向けられていた事。月面裏に行った以来だ。
持っていたのは紺のブレザーに頭にうさ耳がある人だった。もはやコスプレにしか見えないけど……これも妖怪?
「動いたらねぇ、この人撃つわよ?」
私から銃は離れたけど、その代わりにうさ耳の人が捕まえていたメリーに向けられた。
「メリー!!」
「あら、そういえばこの人、何処かで見た顔ね。いつ、会ったかしら?」
あの時、中国地方を旅行していた時だ!あの時なら面識も出来る筈だよ!
でも、よく覚えてないみたいだからこっちも過去に会ったのかも。
「あ、会ったわ」
「ふーん……」
少し間が空いて、地面の下から呻き声が聞こえた。
「そういう事か。しかし、関係ない奴まで……巻き込むなよ! スペル! 魔符「ミルキーウェイ」!」
地面の窪みから這い上がった魔理沙はスペルカードを出した。
こんな時の皆さんの勘が当たるかどうかが心配ですw




