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秘封倶楽部の天気は現世のち幻想  作者: だみ
第六章 幻想未現過 ~ Space-Time Ghost Medium
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第七八話 魔女さんと吸血鬼の妹さん

「へぇー……そんな事情があったのね。ま、運命を操る私には関係ないけど」

 私達はここのお屋敷のお嬢様である、吸血鬼のレミリア・スカーレットとそのメイド、人間の十六夜咲夜を正面に、今までの事や、私の事を細かく話したわ。勿論、相手の事も聞いているわ。

「そんな事はないとは思うけどな」

「どういう事よ」

「時空の住民って言うくらいなんだから、未来に行ったり過去に行ったりするのは容易い事だと思うんだよな」

「つまり?」

「運命ってそもそも、未来を定めるんだろ?時空の住民って言うほどなんだから、未来に行って弄くる事が出来るのは容易い事だと思う。だから関係ない事はないと思う」

 確かにね。運命の所有権はレミリアじゃなくて時空の住民にあるのね。

「咲夜、魔理沙の言っている事がさっぱり分からないわ」

 カリスマ性を出していても理解力が欠けているわね……大丈夫かしら? このお嬢様。私がしっかりと教えてあげる事も出来るけど?

「つまりですね、お嬢様。時空の住民が運命を変えて、新しい運命をつくりあげる事が出来るっていう事です。それが沢山起こり時空が歪んでいる、という事で合ってますよね?蓮子様、マエリベリー様」

「''様''だなんて……呼び捨てでいいよ。私達、堅苦しい事苦手だから」

「すいません。それで合っていますか?」

「ええ、合ってるわ」

 あの未来の人が言ってたものね。今になって、あの人がはっきり言ってた事が分かるわ。何となくだけどね。

「そうですか……どうなさいますか? お嬢様」

「取り敢えず、パチェに相談かしら? 咲夜、あの人達を連れて事情を話してやりなさい。後、魔理沙には厳重注意を払うのよ」

「かしこまりました。では行くわよ、蓮子、マエリベリー、魔理沙」

「はいはいー」

 私も魔理沙をよく見ておかなきゃね。泥棒しないようにしっかりとね。私はたまに後ろをついていく魔理沙を見た。その度に魔理沙は眉を寄せた。



 ━━━━



「パチュリー様、失礼致します」

 咲夜はお屋敷の一番右端にあるという図書館の扉を開いた。

「何かしら? 咲夜。随分とお客を連れて」

「色々と事情がありまして……という事何ですよ」

 咲夜は''かくかくしかじか''なんて言葉を使わなかったわ。流石メイドね。

「なるほど。悪いけど今はどうにもならないわね。少し時間をくれるかしら?」

「大丈夫です。しかし、大きな障害が起こる前に━━」

 この直後、床が物凄く揺れて爆発音まで聞こえたわ。一体何が起こったの!?

「まさか? 来るか?」

「な、何が? 何が来るの?」

 その時に私達の真正面にある天井に近い窓から再び爆発音が聞こえてきて煙を出した。その煙の中から物……いや、物じゃないわ。人だわ! 煙から出た人は浮きながら私達に近寄ったけど、ある程度進んだらぴたりと止まった。

 その人は小さかったから、子供みたいよ。まさか、このがさっきの爆発を? でも、この怖い表情をしている彼女なら出来るかもしれないわね。

「フランッ! どうしたんだ!」

「フラン?」

「あの方はフランドール・スカーレット。お嬢様の妹様です。しかしながら、本気出せば何でも木っ端微塵ですわ」

「え、じゃあ今は……」

 あの怖い表情を見て呟いた。皆に聞こえるようにね。

「ああ。今のフランは本気だ」

 ええっ! じゃ、じゃあ私達はどうすればいいの!?

「でも……狂気のせいじゃないみたいよ?」

「それはどういう……」

「まぁ、何ていうか? 正気っぽいわ」

「あんな目をして正気!? どういう事なんだぜ!」

「取り敢えずは……止めるべきですよね」

 私達の隣に居た咲夜さんは手にナイフを持っていた。よく研がれていて輝いてるわ。

「そうね。……危ないわっ!」

 さっきまで浮いたままだったフランドールが凄いスピードでこっちに来た。よく見ると、吸血鬼の翼が何だかよく分からない結晶が数個で成り立っている。あんなので飛べるとは思えないけど、そんな事を思ってる余裕なんてないわ!

「くぅっ! スペル、恋符『マスタースパーク』!!」

 魔理沙がフランドールの正面に大きなレーザービームを放った。



 ━━━━



「くそぅっ。根本的にはフランが悪いのにな! ぶつぶつ……」

 魔理沙はあの強力レーザーを放って図書館を崩したから、代償に片付けよ。壊れた本棚や破けた本は外に運び出して焼却。本棚から落ちて破れてない本は元の場所に戻す。簡単な作業の流れね。

 そして今は、私達も手伝いながら本棚に本を納めていったわ。

「壊したのは魔理沙でしょ。早く片付けなさい」

「はぁ……、インフラネスノウバインド……黒いアレ、見る目を持て……裁縫しよう! ……アリスの土産にでもしようか」

 こんな調子で片付けをしていたら、もう夕方になってしまった。だけど、図書館には落ちている本が一冊もなかったわ。

 よかったわ。今日中じゃ出来ないと思っていたわ。

「じゃあ、そっちでも時空の住民って奴の捜索頼むぜ! またな」

 私達は再び魔理沙の箒に股がって後ろを見た。手を振っている人もいたら、説教を持ちかけている人もいるわ。

「もう、ぜぇったいに来ないでっ! むきゅっ!」

「じゃーねー! まりさぁ!!」

「さて美鈴、お仕置きを始めましょうか」

「咲夜さぁん……毎日酷いですって」

「咲夜、さぼる方が悪いのよ。さっさと殺っちゃいなさい」

「お嬢様まで……って殺す気ですか!? 殺す気ですよね!?」

 愉快だわ。あの世界よりもずっといいわ。



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