第六六話 一旦様子見
宇佐見さんの立てた予定通り、早朝に諏訪湖に着きました! 宇佐見さんの予定では、一旦様子見って事のようですね。
「諏訪湖の一/四ってどのくらいだっけね……」
「諏訪湖の元々の面積は十三.三キロ平方メートルだそうですよ。なので一/四は……約三.三キロ平方メートルですね」
「詳しいわね。もしかしたら蓮子よりも頭がよかったりしてね」
「メリーは酷いなぁ……」
宇佐見さんはハーンさんを見て苦笑いをしました。
宇佐見さんはハーンさんの事を''メリー''と呼ぶみたいですね。そういえば、前にも言っていましたね。私は敬語でないとプライドが許せないので。何のプライドかといえば、国語学のプライドですかね。
私達、秘封倶楽部は長野県の一/四の諏訪湖に着きました。
「ありますね……」
「こんなに気味が悪いとは思わなかったわ」
確かにハーンの言う通り、気味が悪いです。
「あっ、あれ」
「狐火……ですね。ますます気味が悪くなりますね」
黒い霧の中に淡く青白い物が浮かんでいます。この中には何があるのでしょうか?
「取り敢えず様子見だから、いつ消えるか見てみようか」
「ええ」
「はい」
宇佐見さんが空を見てぶつぶつ呟いているのは気のせいかな? 宇佐見さんの能力は夜にしか効かないですし……。
「あっ、消える」
それを聞いて目線を宇佐見さんから黒い霧に向けました。
黒い霧はどんどん薄れていきます。狐火も霧と一緒に消えていきます。
「本当ですね」
「九時ジャスト。明日、七時半くらいに探索しようか」
あれっ。
私は宇佐見さんの手元を見ました。ですが腕時計も懐中時計もありません。一体どうやって時間を見るのでしょうか?
私を見たハーンさんがこっちに寄ってきました。そして耳元に口を近づけました。
「エニー、蓮子はね、昼間でも星が見えるのよ」
「ひ、昼間でもですか!? 不思議ですねー……」
私はいつの間にか黒い霧と狐火に向けていた目線が宇佐見さんの方に向いていました。
「何? エニー」
「あ、いえ。何でもありません」
「そう」
宇佐見さんはそう言った後、黒い霧が消えた諏訪湖を見つめました。
「なるほどねー。狐火は骨に含まれるリンの発光っていう説があるから、人が消えるっていうのは納得だね」
「まさか人が食べられたとでも言うの?」
「まぁ……そうなるね」
「蓮子も怖いわねー」
「と、言いながら楽しみっぽいけど?」
「気のせいよ、きっと」
「またまたー、素直じゃないねー」
宇佐見さんとハーンさん、つられて私も笑いました。
二人は仲がいいですね。私もその仲に入っているでしょうかね? 入れますよね!
「さーて、本題は明日だし……何処行こうか? 善光寺?」
「また行くの?」
「久々に行こうよ!」
「私、善光寺は行った事はないんですよね! 行きましょう!」
「エニーまで……もう好きにして」
「メリー、そんなに怒らないでよー」
秘封倶楽部は今日も愉快です!
━━━━
「あー、今日も美味しかったー! 明日も美味しいかなー?」
一人の少女は湖の中に消えた。
皆さん、いきなりなんですが、おすすめの小説ってありますかね?
条件はR15がない事ですね。まだ十五歳になってないんでw
東方じゃなくてもいいですよ。




