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秘封倶楽部の天気は現世のち幻想  作者: だみ
第四章 華言葉 ~ Always Bloom Would
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第五七話 孔雀草 〜 橙の予言

 十六日の昼間はあっという間に過ぎちゃった。何をしたかなんて思い出せないわ。

 暗闇に人だかりがあるわ。皆、五山送り火を見るために来たのね。結構な量だわ。境目が出てても見えないかもしれないわ。おっきかったらいいけどね……。

「まだかなー?」

「もうそろそろじゃないかしら?」

「今は……七時五十九分七秒だから後五十三秒で大文字山の点火みたいだね。後もうちょっとだったよ」

 五十三秒で何が出来るかしら? っていうか喋ったり待ったりしてる間に時間が過ぎてるけどね。

「あっ、点火したわ」

 大文字山に大文字が表れたわ。多分もう冥界の入口は開いているんだろうけど、明るさが足りないのかしら? 全然見えないわ。

「どう? 見える?」

「全然」

「そーかー。全部点火したら見えるかな?次は松ヶ崎妙法の''妙''と''法''だね」

 点火場所は確か……''妙''は西山、''法''は東山ね。点火は大文字の五分後。もうちょっとね。

 因みに五山、全部の送り火が点火するのは二十分掛かるわ。

 待つの大変だわ。



 ━━━━



「結構明るくなったねー」

 結局場面切り替えしちゃった。

 あらっ。あの黒い境目は何かしら? もしかして……?

「蓮子! あるわ、境目が!」

「ど、何処……あ、あれかな?」

 蓮子に見えたみたいね。私、何もしてないんだけどね。

「あれよ!」

「は、早く行こう!」

 私達は大きく開いた結界の境目に向かって走っていった。

 また結界暴きの始まりね。



 ━━━━



「幽々子様、すみませんでした」

「そんな事はどうでもいいけど、妖夢」

「何ですか?」

 ここは白玉楼の中。

 魂魄妖夢と西行寺幽々子は何かしら話している様子。

「その人に許しは貰ったの?」

「い、いいえ……」

 妖夢は自分が悪い事をしたと分かって、頭を下げた。

「なのに勝手に殺っちゃ駄目じゃない」

「すみません……強い力の持ち主だったのでつい……」

「つい、で殺っちゃ駄目だってぇ……そもそも、強い力だからって言ったってね、やってくれるかは分からないのよ? 見知らない人って言ったでしょ?」

「はい……」

 より深く頭を下げた妖夢。それに関係なく半霊は漂っている。

 どうやら幽々子は妖夢に説教をしているようだ。朝昼晩、いつでも頭の中身が春の亡霊が中々説教をしているところは珍しい。

「でも、幽々子様。このままですと冥界がパニックになりますよ? どうするのですか? 今ここに居る亡霊だけでも限界に近いというのに、さらに帰って来る亡霊も入れますと……」

 妖夢は前を通り過ぎて行く亡霊を目で追いながら言った。

「んー、そうねー……もう、門も閉めないとね」

「えっ、閉めるのですか? それじゃ、今から帰って来る亡霊達は━━」

「入れても大変な事になるだけよ、妖夢」

 幽々子は持っていた扇子を畳んで妖夢の方に向けた。

「は、はぁ……それでは、この異変は関わらないのですか? どうせ三途の川の死神がさぼっているのだと思いますが」

「ううん、違うわ。これは死神がさぼったからじゃないわよ」

 首を横に振る幽々子を見て、妖夢は不思議に思った。

「じゃあ、何ですか?」

「教えなーい。そんな事よりお客さんが来たみたいよ。その人達に頼もうかしら?」

「頼むって何ですか?」

「異変解決」

(人任せですかっ!)

 妖夢は顔を驚きの表情にした。そんな顔をしながらも、幽々子らしい判断だと思った。

「ほら、ぼけっとしないで。丁重にもてなしなさい。後、ちゃんと謝るのよ」

「謝るって……誰にですか?」

「行けば分かるわ。ほらっ、早く」

「は、はい……」

 妖夢は驚きの表情から不思議の表情に変わり、白玉楼の外に出た。

「幽々子様、一体何を考えているのでしょうか? ……あっ」

 妖夢は足元の石畳の隙間から見た事あるような花を見つけた。その花は白い桜散る冥界に相応しくない、橙色の花だった。

「孔雀草ですか……いつの間に……」

 妖夢はその孔雀草を見て、第二の異変が起こりつつあると思った。



孔雀草とはマリーゴールドの事です。

橙のマリーゴールドの花言葉は『予言』サブタイトル通りですね。

はっ!因みに猫の方じゃないですよっ!だいだい色ですよっ!


いよいよ秘封倶楽部、冥界に突入します。

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