表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
秘封倶楽部の天気は現世のち幻想  作者: だみ
第四章 華言葉 ~ Always Bloom Would
60/148

第五六話 薔薇 〜 黄の嫉妬と友情

「あーもうっ! 遅いっ!」

 周りの人の目線にも気にせずにいらだった。蓮子が遅いのよ。待ち合わせでは六時って言ってたのに、今は六時十五分十一秒よ。蓮子って、遅刻魔だったのね。

「メリー! 遅れてごめん!」

 蓮子が慌てて走って来る姿が見えた。

 遅れている事は自覚してるのね。よかったわ。自覚してなかったら、一発いっちゃうところだったわ。私も暴力は嫌いじゃないわ。

「自分から言っておきながら、待ち合わせに遅れる人間って、最低レベルよ」

「ごめんごめん! 実は色々探してたら遅れちゃったんだよ。はい、これ」

「薔薇……」

 蓮子の手から一本の黄色い薔薇が差し出されたわ。私はそれを見て、またむかっとした。一本だけっていうのもあるけど、それ以上に━━

「蓮子、私に嫉妬してるわね」

「あっ……」

 私がむかっとした理由。それはね、黄色の薔薇の花言葉は『嫉妬』だ、って言われているの。『愛情の薄らぎ』とも言われているわ。だからよ。

 基本的に黄色って、花言葉に変えれば悪いイメージの物が多いのよ。

 蓮子って花言葉を知らないのかしら?

「取り合えず、人に薔薇を渡すなら別の色に━━」

「メ、メリー! 確かに黄色の薔薇は嫉妬を表すけど、違う意味があるんだよ!」

「誤魔化しても無駄よ!」

「本当だって!」

 随分とやけね。もしかしたら違う意味が本当にあるのかしら?

「……何よ、違う意味って」

 私は蓮子の自棄になっている様子を見て、聞いてみた。

「『友情』、だよ。メリー」

「えっ……」

 知らなかったわ。黄色の薔薇にそんな花言葉があったなんて。蓮子って、私よりも物知りなのね。遅刻魔の事もあって、凄く意外な感じがするわ。

「そ、そうなの。初めて知ったわ。ありがとう」

 私は明るみのある一本の黄色い薔薇を受け取った。私の目、おかしくなったのかしら? 一段と黄色い薔薇がさっきより綺麗に見えたわ。

「それでね、メリー。私、まだ言ってない事があるんだ。その事があって、今日待ち合わせしたんだ」

「な、何?」

「実は私はね━━」



 ━━━━



「あの時は吃驚したわ。貴女が急に自分の能力を言うんだから。ま、元から察してたけど」

「えへへー」

「でも、遅刻したのと黄色い薔薇を出してきた事もあって、あんまり関わりたくないって思ったわ」

「メリー、酷っ!」

 私達は夏の昼間のリビングで昔の思い出を話してたわ。私達が出会った頃の話よ。

「普通は黄色い薔薇出して喜ぶ人なんていないわよ? まぁ、あの時は蓮子の言う花言葉を聞いていい花だって思ったけど、あの一言がなかったら、私本当に一発食らわせてやろうかって思ったわ」

「メリー、今更言われると、私の過去のトラウマが思い出してきちゃうんだけど」

「私は知らないわー」

「また酷っ!」

 傷口にどんどん塩を塗り潰してあげるわー。蓮子ー。

「それで、この話はこのくらいにして……明日でしょ?」

「うん、明日だね」

 今日は八月十五日。明日は肝心の五山送り火よ。正直、見つけても行きたくないけど……蓮子がやる気だから私も頑張ってみようかしら?

「さて……何しようかな?」

「さぁ?」

 そんな事より私達は十六日の昼間も何して過ごすのかしら? 誰にも分からないわ。



小説内でメリーが言っていたように、花の黄色の花言葉は悪いイメージの物が多いです。

たまにいい物もありますがね。

恐らく『友情』というのは恋愛で言えば、友達程度の関係ってとこですね。


皆さんも花束の贈り物には色に注意しましょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ