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秘封倶楽部の天気は現世のち幻想  作者: だみ
第四章 華言葉 ~ Always Bloom Would
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第五五話 大千本槍 〜 赤の神秘

 あの宇佐見蓮子って言う人にぶつかった次の日。今日も講義を入れてるから、今向かっているところなの。

 初めて会ったにはよく名前を覚えているなって思ったわ。何か突っかかるのよ。あの人の()。また会うかもしれないわ。その時は聞かなきゃね。

「あっ、貴女は!」

「あっ……」

 またあっさり会うとは思ってなかったわ。

 やっぱり、何かある。

「マー……マエリベリー・ハーン、だったよね?」

「ええ。貴女は宇佐見蓮子よね」

「覚えてくれたの? ありがとう! それで、ちょっと頼み事があるんだけど」

「何?」

 頼み事って何かしら? っていうか何で私なの?

 私は嫌な予感がして右斜め前にある黒い境目を見たわ。

「秘封倶楽部に入って欲しいんだ!」

「は、はぁ……」

 嫌な予感適中。

 な、何? ''秘封倶楽部''って。聞いた感じ、お祓いとかする活動にしか聞こえないんだけど。私、好きじゃないんだけど、そういうの。

「次、何か入れてる?」

「え、ええ」

「そっか……後でそれについて話すからまた会おうね。じゃ」

 宇佐見蓮子はノートやらを持ってまた廊下の先へと見えなくなったわ。

 私も行かなくちゃ。



 ━━━━



 物理学の講義を受けているのよね、私。

 私の隣はあの宇佐見蓮子だったわ。違う席がよかったけど、生憎、ここのしか空いてなかったの。

 物理学の教授の声に集中しようと思ったんだけど、宇佐見蓮子が話し掛けてくるの。まだ友達にもなってないのに気安く聞いてくるのよ。しつこいわ。

「それで……って聞いてるの?」

「聞いてるわ。結界暴きをするっていう話よね。嫌よ」

 声を潜めて教授にばれないように話す私達。

 私の()の力なら結界暴きなんて簡単だけど、リスクが大きいわ。ばれたらどうするのよ。

「大丈夫だって。私みたいな大学生が結界暴きをしたくらいでどうって事ないよ」

「……入らないと駄目なの?」

「うん」

 きっぱり言うわね……困っちゃうわ。でも、何で? もしかして私の力がばれたの?

「また、後で話そうね」

「ええ……」

 私達は教授の講義を聞いた。



 ━━━━



「で、何で私なのよ」

 私と宇佐見蓮子は校外のベンチに座ってあの話をしてたわ。

「実はねー、理由があるんだよ。メリーを誘うのは」

「メリーィ? 私、ちゃんとした名前があるんですけどー」

「メリーの本名、発音し辛いんだよ。それでね、メリー」

 私の名前に関してはスルーですか。ちょっと色々むかっとくるわ。でも、発音し辛いなら仕方ないと思うわね。

「何?」

「メリー、何かあるでしょ」

「何かって……何よ」

「誰にも言えない能力とか」

 もしかしてばれたの? な、何で?

「……」

「やっぱりあるんだ! 実はね? あの時ぶつかったじゃん。その時一瞬だけだけど、黒い裂目が見えたんだ」

「えっ!?」

「だから、その日考えてみたんだよ。あれは何だったのかって」

「……実は、私は結界の裂目が見えるの」

「通りでね……」

 もう自分の()の事、認めたわ。もう言い訳が効かないわ。

「でも、何で私にぶつかった時に見えたのかしら?」

「さぁ? 私も考えてみるよ。取り敢えず、メリーの入部確定!」

「はいはい。で、いつ活動するの?」

「明日、午後六時に校内のカフェテラスで、情報報告!」

 そういえば、校内にカフェってあったんだっけ? 改めて知ったわ。

「はいはい」

 私は何気なく返事をした。

 でも、私はまだ知らなかったのよ。赤い大千本槍の神秘に包まれた、秘封倶楽部、宇佐見蓮子の秘密をね。



大千本槍と言うのは、ガーベラの事です。

赤いガーベラの花言葉は、サブタイトル通りの『神秘』です。


あとがきがちょっとした豆知識になってきています。

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