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秘封倶楽部の天気は現世のち幻想  作者: だみ
第三章 中国陰陽観光 ~ Profit Is Matchmaking
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第五一話 Fortune No.11

 す、スペル? 縛符? 縁結? よく分からない単語が沢山出てきた。

 結縁はいつの間にか持っていた赤くて細く長い棒を出していた。そしてあの赤いカードは結縁の目の前。高く飛ばされて視界に見えなくなっていた五円が回転して落ちてきている。

「んーーーあぁぁぁぁぁぁ! といやぁ!!」

 甲高い音が鳴った。結縁の方を見てみるとカードを中心に赤く光った魔方陣的な物が出ていて、あの赤い棒は落ちてきた五円の穴を通していた。

 その直後だよ! 私の目に激痛が走ってきたのは!

「蓮子! 大丈夫!?」

「痛い痛い、痛いってぇ!」

 激痛がもう凄いんだよ! 今までに味わった事のない痛さ。凄くきつい……。

 私は目を強く瞑って手で押さえた。それで痛みが消えるわけがない。目がぁぁぁ! 目がぁぁぁぁぁぁぁ!!

「ねぇ、いつまでこうなっているの?」

「んー……五分くらいだと思う」

「が、頑張れー。蓮子」

「ぐぅ……痛い」



 ━━━━



 五分ってこんなに長かったっけ? もう十分は軽く越えているんじゃないの? 取り敢えず痛みはなくなったよ。よかったー。このまま痛がっているかと思ったよ。

「はぁ……メリーもやってみる?」

「嫌よ」

 素直じゃないんだからー。本当はやりたいんじゃないの?

「そんな事より蓮子」

「何?」

 私はメリーの不可解な顔を見て首を傾げた。

「自分の()、見た方がいいわよ」

()? って鏡持ってないよ」

「自分の身嗜みはどうやってチェックするのよ! はい」

 メリーが腹立たしくしながらも手鏡を渡してくれた。普段は家の鏡を使うからね、手鏡は持たないんだよ。

「ありがとう……メリー、目薬持ってる?」

「持ってるけど、差しても意味ってがないと思うわよ」

「えー……」

 手鏡に映った私の()は充血よりも酷い赤に染まっていた。ぎゃー。

 メリーの言葉に関しては理解していた。

「やっぱりいいね。ストレス発散も!」

「ストレス発散っ!?」

 まさかの言葉。さっきの、ストレス発散のためにやったの!? じゃあ、あの痛みももっと緩くやってたらそうでもなかったの!?

 もう、やだ。

「ストレス発散ってぇ……やり過ぎたんじゃないの?」

「うん、まぁね。いつもの倍以上はやったわね」

 酷いっ! 人間をいじめちゃ駄目だよぅ!

 今更そんな事を言っても、時すでに遅し。倍返ししたいっ! やられたんだから!

 でも、残念ながら疲れて気力がないよ。美味しいとこ、取らなくてごめんね。

「あー……もういいよ。話が長くなりそうだし。それで? 結果は?」

 もう、早く話を進めたい気持ちが勝ってしまった私は、結縁に尋ねた。

「力が溢れてるわ。大成功だっ!」

「でも、このまま充血したままなの?」

「そう、充血したままだと流石に他の人に怪しまれるよ」

 結界暴きしている時点でもうアウトだと思うけどね。自分で言っておきながらも、そう思った。

「いや、私はその結界を蓮子と結んだだけだから、結界の本質は変わらないまま。だから時間が経てば直るよ。縁が解けない限り、いつでも力は引き出せる」

「へー……それで、この''秘めた力''の本質は?」

「分からない」

「「はぁ?」」

 これからめんどくさい事が色々ありそうな予感がするよ。

「でも、蓮子の身に起こった今までの出来事を聞けば分かると思うよ」

 ほら、まためんどくさい。''かくかくしかじか''が連発しそうなんだけど。

「だけど、一つやりたい事があるのよ。一旦中に入りましょっか」

 やりたい事? どんな事だろう? どのみちめんどくさいには変わりはないと思うけど。

「入るって何処に?」

「本殿の中だけど?」

「そう、なら行こうかしら?」

「本殿の中かー」

 でも、本殿の中ってどんなのなんだろう? 神社行った時って、普通はお賽銭箱より先に出ないでしょ?

 そんな事もあって、私の心は再びうきうきした。



 ━━━━



「さーて。そこに座って」

「お邪魔しまーす」

 陽の光が行き届いていない暗い部屋に蝋燭一本っていう、なんとも真夏の怪談大会みたいな部屋だった。部屋の中心には長くて脚が低い机が置かれてあった。隅っこには短い蝋燭が一本。周りにも物が沢山山積みに置かれていた。ごみ屋敷とも呼べなくはない。

 そんな部屋に招かれたのは、結縁がやりたい事があるって言われたからだよ。何が始まるのかな?

「じゃあ、まず貴女達の生年月日を聞こうか? まずは……蓮子からどうぞ」

「私? 私は━━」

 NGなんでカットしまーす。

 ひとまず、私とメリーの生年月日を言ったよ。恐らく占いかな? 早苗、連れて来た方がよかったかな?

 いや、そんな事より結果。結縁が口を開いた。

「蓮子は、十一。マエリベリーは、二十二ね。なるほど」

 何が十一? 何が二十二?

 私達は二人揃って首を傾げた。

「蓮子、貴女は常におんなじ服装みたいね」

「えっ、なんで分かったの?」

 言い当てられて吃驚した。確かにそうだもん。読者も知ってるよね?私がいつも同じ服着てる事。

「それは後で、今は続けるね。それで━━」

 多分、メリーの話も含めて三十分くらいあるから流石に全部は言えないね。ただ言うとなれば━━

「凄いー! 全部当たってるわ!」

「でしょ? 私は生年月日を聞いて貴女達の運命数を計算したの」

「運命数……」

 何処かで聞いた事があるような気がするよ。んー……そうっ! 確か、運命数は自分の性格とか習慣とか、更には未来予測まで出来る、自分を表す運命の数字の事だよね。なるほど、それでか。やっぱり早苗、連れて来た方がよかったのかも。神の存在をどう思うかっていうところもあるけど。

 結縁はさっき私が思った事、そのまま言った。

「へー……凄いわー……吃驚したわよ」

「本当だよ……それで、長い前ふりはここまでにして、本題に入ろうよ」

 すっかりテンションが上がって、自分の''秘めた力''の本質を知りたくなった。

「そうね。じゃあ、早速話してもらいましょうか」

「じゃあ、まず━━」

 私は今までやった事、起こった事を話した。話さなくてもいい部分は言ってないよ。

 私の話が終わった後、結縁はあれの本質が分かったらしく、上下に頷いた。

「蓮子、''秘めた力''の本質が分かった。ずばりね━━」



もはや、蓮子が蓮子でなくなってます。でも、私は成長物語的(?)な物が大好きですからね。


さて、蓮子の''秘めた力''の正体とは!?

……言いませんが。

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