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秘封倶楽部の天気は現世のち幻想  作者: だみ
第三章 中国陰陽観光 ~ Profit Is Matchmaking
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第四九話 縁結びの神様

 メリーが二日も潰したから鳥取観光が出来なかったよー。でも鳥取もあんまり行く所がなかったし、暑かったから丁度良かったかもしれないね。

 それで今は島根の出雲大社に居るんだ。流石神議する舞台。中は広いね! 真夏だから誰も居ないからそう感じるのかも。

「誰も居なさそうなんだけど……居たりするのかな?」

「あの?」

「うん、あの」

 ''あの''っていうのは、あれだよ。神様。出雲の神である大国主大神、縁結びの神だよ。

「でも、物音一つもしないけど……居るの?」

「さぁ?」

「取り合えず参拝しましょ」

 そういえば忘れてた。ここ、神社だった。

「あー、うん」

 私は適当な返事をしておいた。そんな事より結界暴きしたい。

 私達は本殿に参拝しに行った。そういえば、境内には凄いおっきい注連縄があったんだっけ。後で見に行こう!

「「二拝」」

「「二拍手」」

「「一━━」」

「待てーいっ!」

「「!?」」

 前にもこんなパターンがあった気がするけど、今度は何?

「出雲は一拝四拍手二拝って言ってるでしょーがーっ!! しかもやり方全っ然ちがーう!」

「だ、誰よ」

 あの声、後ろから聞こえてきた気がする。

 私はそう思って後ろを振り返ってみた。

「出雲の怒りぃぃぃ!!」

 足、足が向かって来るっ! しかも私に向かっているってーっ!

「うわぁっ!」

 私は咄嗟にしゃがんだ。すると、何かが通りすぎて風を切った。その後、向こうの方で大きな物音がしたけど、大丈夫かな?

「いったっ! ちょっとぉ! 何で避けるのよっ! ぐぅ……いたた」

 前にもこんな台詞を聞いた事がある気がする。

「いやいや……普通は避けるからって」

「というか、貴女は誰ですか?」

 メリーは物音がした、お賽銭箱の向こうを向いて言った。私も見てみたけど、誰か居る。倒れているからよく分からないけど。

「私は……出雲大社の神、出雲結縁(いずもゆえん)。一般的には大国主大神って呼ばれてるよ」

 倒れていた誰かは自己紹介をしながら立ち上がった。因みに女の子みたいだよ。

 その子の第一印象は頭の後ろにある純粋な黄色いリボン。竺紗のあの葉っぱ並に目立つかも。

「えっ、また神ぃ?」

「またって何よ。またって。てかっ、そんな事を言いたいんじゃなーい!」

 第二印象は赤いマントっぽい物を羽織っていること。これもまた純粋すぎる。

「じゃあ何が言いたいのよ」

「私の言いたいのは、貴女達がそこら辺の神社と同じ扱いをしてる事! 特にさっきの!」

 第三印象はバンドで止めてある横髪。こんな髪型してる人、あんまりいないからね。

「さっき? あー、あの二拝二拍手━━」

「そうっ! それ! それが駄目なの!」

「何処が駄目なのよ」

 第四印象は腰に巻いた赤い糸とそれに結び付けてある五円。さっき大国主大神って言ったからご縁(五円)を結ぶって言う事かな? 赤い糸は多分、恋愛とかで知られる迷信の……あれかな?

「出雲は二拝四拍手一拝なんだよ! 後! 礼する時は九十度曲げるんだよ!」

「えっ! 九十度も!?」

「そう! 神に対して無礼だよ」

 第五印象……いつまで続けるの、これ? って、私が始めたんだった。

「まぁ、そうね」

「分かってくれてありがとう。それで、聞き損ねそうだったけど、貴女達は誰? ちゃんと結界張っといたんだけど」

「け、結界? どういう事?」

 結縁って言う神の口から何回も耳にした単語を言った。でも結界って……。

「虫除けみたいな役割の結界の事。境内全面に貼っ付けておいたのに。どうやって入って来たの?」

「えっ、普通に入れたけど?」

 虫除けって……結界ってもとからそういう役目じゃなかったっけ?

「ううん!? そ、そうなの……後で張り替えとかなきゃね……」

 女の子は顔をしかめてぼそっと呟いた。何かいけない事でもしたかな?

「……あっ、っていうかさっきも言ったけど貴女達は誰?」

「あっ、私達は京都から来ました。私はマエリベリー・ハーンです」

 メリーが最初に自己紹介なんて珍しいね。気のせいかな?

「同じく京都から来た宇佐見蓮子です」

「マエリベリーに蓮子、ね。よく来たわね、出雲大社へ」

 なんか偉そうなんだけど。実際偉いけどね。

「さて、早速言いたい事があるわ。貴女達って、何者?」



秘封倶楽部が出雲大社の拝み方を知らない事はあまり突っ込まないでほしいです。

時間の流れのせいとでも言っておきましょうか。

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