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秘封倶楽部の天気は現世のち幻想  作者: だみ
第三章 中国陰陽観光 ~ Profit Is Matchmaking
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第四八話 白兎の餅搗き

 隠岐の島から あの地へと

 白兎の一匹 鰐鮫に頼んで

 数えてあげると 嘘を付き

 あの地因幡に 上がったが

 嘘がばれて 赤肌の白兎に


 何だか愉快な声が聞こえるわ。もう少し聞いてみようかしら?


 白兎は 助けを求めようと

 八十神の皆に 頼んでみた

 教えを貰い 海水に浸かり

 山の頂点の岩で 乾かすが

 痛みは消えずに 痛がった


 その時大黒様 白兎見つけ

 事情聞くと 教えを告げた

 真水に身を清めて すぐに

 蒲の穂 身を休めてみたら

 あっという間に 元の白兎


 どうやら、因幡の白兎の歌みたいね。

 私は竹林に身を隠して詩を聞いていたわ。声の方とは反対に体を向けてしゃがんでいたわ。

 そういえば、何で私こんな所に居るのかしら? 確か、私と蓮子は鳥取県の鳥取砂丘に行って、暑いって思って座ってたら━━

 記憶はここで途切れていたわ。じゃあ、座っている途中に倒れて眠っちゃったのね。やだわー。あんな砂、砂、とにかく砂が沢山ある所で倒れるなんて。

 そんな事より、この何かを何かで打っている音は何かしら?

 そんな疑問が浮かんで、声の方へと体を向かせたわ。そして、そっと邪魔な竹を手で退けたわ。

 何だか人間みたいな姿が沢山いるんだけど、白い何かがそれぞれの頭に付いているわ。後、後ろを向いている姿を見てみると、なんか……白いもこもこが付いているわ。

 そんな姿の人間は臼を置いて、杵を持ってぺったんぺったんと詩を言って楽しそうに━━

 餅搗きかしら? 私も食べたいわ。美味しそうだわ。誰に食べさせるのかしら? 御一緒にいいかしら?

 あら、誰か来たわ。他の姿とは違う白い何かが頭に付いていて、紺の服を着ているわ。何か言っているみたいだけど、何を言っているのかしら? よく分からないわね。



 ━━━━



「てゐ、その歌何よ」

「因幡の白兎だけど? それが何」

「前にも聞いたけど''ダイコクサマ''って誰よ」

「取り敢えず格好いいお方だよ」

「ふーん。分からないわ」

「分からないなら分からないままでいいよ。知っても得はないから」

「何よそれ。あっ、美味しそうね。いっただきー、あちっ!」

「まだ搗きたてだからね。食べるなら早く食べろ」

「酷いわね。戻していい? 熱いんだけど」

「止めろ、汚い」

「はいはい、分かったわよ。あちっ!」

「押し込んであげる」

「ぎゃー! 熱いって! 止めてっつの!」

「やーめない」

「ぐっ、火傷するっつの!」

「それでもやーめない! いでっ!」

「さーて、どんなお仕置きしようかしら」

「わー、逃げろー」

「こらっ! 待てってゐぃぃぃぃ! ぎゃっ!」

「引っ掛かったー!あはははは!」



 ━━━━



 何だか愉快な会話みたいね。いたずらかしら? 蓮子もよくしてくるわ。あそこまでじゃないけどね。

 お餅も美味しそうで我慢できないわ! そろそろ行こうかしら?



 ━━━━



「メリー、大丈夫?」

「……蓮子?」

「もうっ、メリーったら急に倒れるから吃驚したよ!」

 蓮子が私に飛び込んできたわ。

「ぐぅっ……重いわ」

「あー、ごめんごめん」

 私は蓮子が離れた事を確認したら、私は周りを見渡したわ。病院っぽい。

「メリー、熱中症だってさぁ。辛いなら辛いって言えばいいのに!」

「あーあー、ごめんなさいね」

「っもう!」

 蓮子、怒ってるわね。少し心配なのね。

「まぁまぁ」

「それで? ゆっくり寝ている間に何処に行ってたの?」

「分かってるわねー。じゃあ、言うわよ?」



 ━━━━



 んー、美味しいわ。ここのお餅はいいわ。お土産に持って帰って、柔らかい内に蓮子に食べさせなきゃ!

 そんなお餅に夢中な私の隣にはお医者さんがいるわ。どんな薬でも作っちゃうんだって。この悪夢を治す薬は出来るのかしら? 頼んでみたわ。そしたらね、少し時間が掛かるみたいで、色々準備してたわ。

 でも━━



 ━━━━



「ここで覚めちゃったのよ。勿体ないわね……」

「私は見れなくなる事が勿体ない気がするんだけど」

「まぁ、いい夢なら別にいいのよ? でもね、襲われる夢の方がよっぽど多いのよ。もう嫌よ」

 あっちに行けば襲われ、こっちに行っても襲われるから本当に大変なのよ。前にも言ったように、夢で怪我したら、それがこっちに引き継がれちゃうのよ。だから、夢の私が本当なのか、現の私が本当なのかよく分からないの。いつもこうやって、夢で起こった事を話すのは本当の私が何処に居るのか見出だすためなのよ。

「そっか……でも大丈夫だよ! 私がついてるから。そういえばメリー、お土産は?」

「そういえば……沢山貰っておいたから蓮子の分もちゃんとあるわよ」

 私は布団の中に隠しておいた沢山のお餅を出した。まだ柔らかいわ。

「おぉ! 本当に美味しそう! じゃ、頂きます!」

 蓮子はお餅を一つ手に取って、それを食べた。

「んー! 見た目通りに美味しいっ!」

 蓮子の食べているお餅は結構伸びている。正直、引くくらい伸びるわね。

「これって天然の米?」

「天然なんじゃないの?」

 あの時の風景も和風っていう感じだったし、餅搗きしてるくらいなんだから、多分そうだと思うわ。

「ふーん。あっ、記念に一つ取っておこう!」

「また蓮子のコレクション癖が出た」

「何それー!」

 私達は何度目かのいちゃいちゃをした。結婚しちゃえ?嫌だ。絶対にね。



鳥取旅行はこれで終了ですw


後、歌詞は適当に書いたものです

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