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秘封倶楽部の天気は現世のち幻想  作者: だみ
第三章 中国陰陽観光 ~ Profit Is Matchmaking
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第四七話 夢旅行

台詞少なめで読みにくいかもしれませんが、神主に合わせてしまうのが、ダメうぷぬしです。

 何であんな事をしようなんて言ったのかしら? 蓮子ったら、巌流島で''武蔵と小次郎ごっこ''をしようなんて言ったのよ。あんな小さい島でチャンバラはちょっと……。因みに小次郎をやらされたわ。

 それでなんやかんやあって疲れたわ。そのせいで駅でぐったり寝ちゃったわ。



 ━━━━



 あら、ここは何処かしら? 鉱山っぽいわね。

 目の前には発掘途中みたいだけどほったらかしにされているわ。何の発掘かしら? 鉱山みたいだから鉄とかかしら?

 私は近くに落ちてあった石を拾ったわ。赤みを帯びている石。蓮子なら知ってるかしら?

 取り合えず洞窟の中に入ってみたわ。秋芳洞より凄く狭くて、砂埃も酷いわ。喉が痛くなりそうだわ。

 岩肌がごつごつしてて歩きにくいわ。何処まで続くのかしら? まさかあの世の裁判所?私は白かしら? それとも黒? 黒だったらどうしましょ。蓮子には悪いわね。

 どんどん進んでいく私。景色も変わってきている気がするようなしないような……どうでもいいけど、相変わらず長いわね。山、越しちゃったかもね。いつが出口かしら? それとも永遠?

 お腹空いてきちやったわ。前にもこんな事があった気がするわ。いつの時だったかしら? っていうか、いつもお腹が空いているわ。取り合えず早く出たいわ。

 なんて思ってたら本当に出ちゃったわ!  でも、それは陽の光の世界じゃなかったわ。凄く広いお屋敷のど真ん中みたいなんだけど、またこれの出口が回りを見渡してもないのよ。

 おどおどしてたらね、何処からか声が聞こえてくるのよ。''あなたは誰?''って。



 ━━━━



「メリー! メリーィ! 起きてよぉ!」

 あら、大変。つい夢旅行をしちゃってたわ。

「んー? 何、蓮子?」

「んっもう! 何回起こしたか分かる?」

「んー、一回?」

「全然違うっ! 十回くらいは起こしたよ! って、もうリニア行っちゃったじゃん」

「えっ!? 本当? あらら……」

 次に行く所って島根県だったのよね。あちゃー。やっちゃったわ。

「んー……まっ、私、他のを探してみる」

「ええ、行ってらっしゃい」

 きっと私に気を遣っているのね。無理をさせたし、蓮子も私が夢に行ってるって思っているんだと思うわ。多分。

 暫く色々考えながら待ってたら、蓮子が帰ってきたわ。

「メリー、もう鳥取県しか残ってないよ。どうする?」

「もうそこにしましょ。行き当たりばったりなんだから、自由に行きましょ?」

「そうだね! なら早速行こう!」

 蓮子は鳥取行の切符を買って、リニアに乗ったわ。



 ━━━━



 私は声が何処から聞こえてくるかきょろきょろ探してみたけど、何処にも居ないわ。そしたら、また聞こえてくるの。今度は''私は貴女の後ろよ''って。でも、後ろを振り向いたけど居ないの。

 また声が聞こえたわ。''今度は前よ''って。その後に可愛い笑い声が聞こえたわ。''うふふ''ってね。可愛いわ。

 それでね、前を向いたら声の持ち主がすぐ目の前に居たのよ! 吃驚したわ。

 でも、声と同じくらい可愛かったわ。

 その後、その子と一緒に遊んだわ。笑顔だったわ。何で私達の住む世界はこんなに冥んだろうって、改めて思ったわ。



 ━━━━



「━━っていう事があったのよ」

「へー。やっぱりいいな、メリーは」

 陽が隠れてくる時間帯の機内。窓からは景色が速いスピードで通り過ぎてくわ。

「でも、夢よ。私にしか体験出来ない吉夢のような悪夢なのよ」

「だから私はその夢を現にしようとしているじやないか!」

「出来るのかしら?」

「きっと……いや、必ず出来るよ!」

 頼もしいけど、ちょっと心配だわ。私にしか出来ない事っていうのもそうだけど、蓮子のどたばたが、ねー……取り合えず、頼ってみようかな?

「んー……そう言うなら頼るわ。頑張ってね」

 投げ遣りに言っておいたわ。

「うん! じゃー頑張ってみるよ! メリーのためにっ!」

 声、おっきいわ。あの子とは大違いね。

「あっ、そうそう。この石、何て言うの?」

「んー……これは赤間硯の原石でもある、赤間石かな? 頁岩の一種だよ」

「へー……」

 よく知らない単語ね。詳しく聞きたいけど、蓮子の説明、長いのよ。後で調べてみよ。

「今度削って、硯でも作ろうかな?」

「出来るわけがないわ」

「そうだよね!」

 私達は陽がゆっくり沈むのを待たずに笑い続けたわ。色々、楽しかったわね。



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