第四五話 入って潜って結界暴き
この中国地方旅行も、もう半分だわ。本当に日が経つの早いわね。
私達は本州の端にある山口県に着いた。本州の端かー。なんか、そんな気がしないわ。
「さて……何処行こうか?」
山口県って何があるのかしら?んー……。
「錦帯橋?」
とっさに思いついた所が地味な場所だった事に、自分でも驚いているわ。
「なんか……予想外の答えが出てきたね」
「そ、そうかしら?誰でも思いつくのじゃないの?」
自分でも予想外の事は知ってるけど、思いつく人もいるかもって思って、咄嗟に言った。
「そうかな?私は秋芳洞かと思ったけど」
「そこも地味じゃない?」
「だってぇー! そもそも山口って地味なんだもん!」
言えてるわね。他の県も一緒だけどね。
私達が山口県の観光地が言えただけでも凄いのかも。
「じゃあ……両方とも行く?」
「そうしようか。じゃあ最初は錦帯橋?」
「そうね」
錦帯橋。下を潜ってみたいわね。橋の裏の構造を見てみたいわ。
━━━━
時間が流れて、私達は秋芳洞入口の滝を通り過ぎたところよ。錦帯橋は行ってはみたけど、あまりにも平凡すぎたからカットね。
「広いねぇー」
暑い夏だけど、中はひんやりしてて冷たいわ。
因みに、洞窟内って常に同じ温度だから、冬、この洞窟より寒かったらこの中は暖かく感じるみたいよ。
中に入って最初に目に飛び込んできたのは百枚皿よ。さて、今日のお昼ご飯の皿の上には何があるかしら? カルシウム入りの水?
結構涼しいのに人がいない中、私達はどんどん奥へと進んだわ。
一度足を滑りそうになったわ。あー、怖かったわ。
そういえば、洞窟ってたまにコウモリの糞が落ちてくるみたいよ。付いたら取れないのよね……。気をつけて進まなきゃ。
「おー……大きいね」
いつの間にか黄金柱の近くに居た。
黄金色の流華石は天井から地面まで伸びていて、この洞窟を一本で支えているかのように太かった。
そんな柱には滝のような模様があるわ。
「綺麗ね……あっ」
私は奇妙な物を見つけちゃったわ。多分、見つけたくない物。
「どうしたの? メリー」
「穴……」
そう、私の見つけた物は穴と言う名の境目よ。その境目は綺麗に丸く出来てて、中は真っ暗ね。気味が悪すぎて入りたくないわ。
「穴?」
私の言った意味が分からないのか、蓮子は私を見て首を傾げる。
「ほら、あそこよ、あそこ」
私は手を蓮子の目に当てたわ。そうすれば、私の見ている、見ないはずの物が見えるようになるのよ。蓮子には見えていないみたいだからね。
蓮子にしかやった事がないから、他の人には出来るかどうか分からないけどね。
「おおぅ……あれの事?」
「ええ、あれよ」
「今までの物と比べたら……なんか綺麗に出来てるね。って、いつまで当ててる気?」
「あら、ごめんなさい」
私が当てた後は少しの間だけだけど、効果が続くの。その事を当然知ってる蓮子だから、私は蓮子の目から手を離した。
「なんか怪しいのよね、あれ。でも入りたくないわ」
「えっ? なんで」
うわっ……嫌な予感しかしないわ。私の勘がそう言っている気がする。これは気のせいじゃないわ。
「まさか、入りたいの?」
蓮子は首を縦に何回も振った。
「メリー行こうよー!」
「え、えぇぇぇぇぇぇ!? ちょっとぉぉぉぉぉぉ!?」
蓮子は私の手を掴み、強引に境目にゴーイングした。駄洒落ね。ごめんなさいねー(棒)。
そんな事を思っている間に私達はあの気味が悪い穴の中に入ったわ。また結界暴きの始まりだわ。原因は勿論、蓮子の好奇心。
━━━━
さっき滑りそうになって怖かったって言ったわよね? それよりも怖かったわ。あー嫌だ。だから入りたくないって言ったのに……。
後ろを振り返ると、もうあの境目はなくなっていたわ。
私はその場で息切れをした。
あの時、蓮子は私の手を掴んだまま、あの結界の中に入ったわ。そのまま歩いていたら、下がなくなったのよ! でも、宇宙空間の中に居るように私達の体は浮かんでいたの。
驚きながらも下の方に行っていると、何かが落ちてきたわ。何かはよく分からなかったけど。蓮子が咄嗟に避けたから、手を掴まれたままだった私はなんとか避けれたわ。あれ、結局何だったのかしら?
蓮子がまだ下に進みたいって言ったから、仕方なく一緒に進んでたら、蜘蛛の巣が沢山張っていたわ。巨大蜘蛛が居るんじゃないかって思って、蓮子の手を掴みながら猛スピードで逃げたわ。上の方にね。
それで、さっきの境目に入ってここに戻ってきたっていうわけよ。正直疲れたわ。蓮子も私に振り回されるなんて思っていなかったみたいだから、目を回してるわ。
「あー、吃驚したー。メリーどうしたの? 急に逃げたりして。私、もう吃驚したんだけど。急に私の手を引っ張るから」
「だって、今までに何回も妖怪に襲われ続けているのよ? 本能が『逃げろ!』って言ってくるの」
夢の中だけどね。そういえば、前にもこんな体験したような気がするわ。確か……何処まで走っても竹林が続く所だっけ?あの時も怖かったわ。星や月が輝く夜空を見たら、つい貴女の能力が羨ましく思えたわ。
「えー。折角色々見れたのになー!」
「そんな事言わないでよ。私、本当に怖かったんだから!」
「そう?」
「そうなの!」
私は自分の思いを押し通そうと、強く言った。いつもの事よ。
「まぁ、もう消えちゃったし、今更引き返すって言っても無理だね。ほら、いつまで息切れしてるの? 早く行くよ!」
蓮子は疲れていないの!? そりゃ、私が引っ張ったからそうでもないかもしれないけど、疲れてはいるはずよ。あっ、でも蓮子は日頃、運動はしてるんだっけ? だからかも。
私達はこの不思議な不思議な結界がある秋芳洞の出口を潜った。その時、なんか解放感に満ちたのは私だけかしら?
下から覗けば((ry
いつの間にか週間ユニークが二百人を越えました!ワーパチパチ
これからも極楽鳳凰を宜しくお願いします!




