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秘封倶楽部の天気は現世のち幻想  作者: だみ
第三章 中国陰陽観光 ~ Profit Is Matchmaking
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第四四話 暗闇の海

 暗い夜が日本全体を包み込んだ時に秘封倶楽部は動きだす。



 ━━━━



 久々の結界暴き! やっぱり真夜中の結界暴きはうきうきするね!

「来たけど……何も見えないわ」

 私達は大鳥居の目の前に居るはずなんだけど、真っ暗で、メリーの言う通り、何も見えない。絶景かと思えばそうじゃなかったっていうのよくあるよね。

 見える物といえば、私達が踏んでいる地面、遠くに光る星と月だけだよ。

 星は二時三十九分五秒と教えてくれて、月は大鳥居の前と教えてくれる。

「でも確かにここだよ」

「本当でしょうね。月が間違った情報を言っているんじゃないの?」

「まさか。さぁ、行こうか」

 まぁ、メリーがあんな事を言うのも無理もないね。何も見えないんだもん。こんなに暗いと何が真実で、何が偽りかが分からないんだもん。

 私達は手探りで大鳥居の外側を通って海側の入口の方に向かって立った。

 月は後ろにあるから今立っている場所が分からない。だけど大丈夫なはず。ここをまっすぐ進めば行けるはずだよ。

「大丈夫なの? 蓮子」

「大丈夫だよ。今まで私が嘘をついた事がある?」

「待ち合わせに遅刻してるけど? ほら今日だって」

 うっ……そ、それは反則だよ、メリーさん。

 因みに、今日はホテルの入口で集合だったんだけど、ついぼーっとしちゃって遅れちゃったんだ。何かここ最近ぼーっとする日が増えているんだよね。皆に言ってないだけで。

「九割はついた事がないよ!」

 本当は五割もないと思うけど。

「全く、もう!」

「まぁまぁ、怒らない怒らない。じゃあ、早速行こうか!」

 私はうずうずしてたまらないから前へと進んだ。

「あっ、ちょっと待ってよ」

 メリーも遅れて進み、私と並んだ。そして神の居たはずの世界の地に足を踏んだ。



 ━━━━



 あれから一時間くらいかな? 鳥居を潜ってから。

 私達は大鳥居に背を向けて、暗い海を見ていた。私の視界に入ってくる海より上にある星達は三時五十分二十八秒と教えてくれる。もうそんな時間か。

「凄かったわね。もう見とれちゃったわ」

「本当だよ……また見たいね。でも、メリー、本当に大丈夫?」

 私達は神が居たはずだった世界にあっさり入っちゃったけど、そこの世界、凄かったんだよ! 神が居たかどうかは分からなかったけど、季節の全ての花や絶滅して、もう二度と咲く事のない花が全部満開だったんだよ。その花、絵で見た花よりも凄く綺麗で言葉に表せないくらいだよ。取り合えず綺麗だったんだ。

 それで、メリーがあまりにも綺麗すぎるって言ってね、花を摘み取ったんだよ。神が居たと思う世界の花だから、あまりやっちゃいけないと思ったけどね。

 何か起こるって思ってたら、本当に起こっちゃったんだよ! メリーが急に倒れたんだ! だから、あの時心配したんだ。

 因みに、その花は今は持ってないよ。

「大丈夫よ。特に夢で何かされたわけじゃないし」

「ならよかった」

 まぁ、そのせいで出るのが一時間も掛かったっていうのもあるよ。

 でも、本当に大丈夫かな? 目が覚めて何があったか聞いてみたんだけど、『何かを得た気がする』って言ったんだ。このままだと……。

 まぁ、そんな事は置いておこう。私、どんどん病んじゃうからね。

「……まさかあんな世界があったなんて思ってもなかったわ」

「私もだよ。綺麗だったよねー、あれ」

「ええ、そうね……行きましょ? いつまでも突っ立ってるわけにもいかないし」

 メリーは海に背を向けた。

「あっ、置いてかないでよ」

 私達、秘封倶楽部の結界暴きイン宮島は、無事ではなかったけど終わった。



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