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秘封倶楽部の天気は現世のち幻想  作者: だみ
第三章 中国陰陽観光 ~ Profit Is Matchmaking
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第四〇話 山桜と楓の二色が岡

 おっかやっまけーん!

 いよいよ中国地方巡りだわ! 他を選んでも良かった? 今度行ってみるわ。もう着いちゃったしね。

 そういえば、岡山県って県庁所在地における降水量が一ミリ以下なんだって。だから''晴れの国岡山''って言うみたいよ。

「着いたわね。さて行き当たりばったりの蓮子さん、何処へ行きますか?」

「後楽園はどう?」

「あー、そんなとこあったわね」

 後楽園は岡山市にある日本三名園に選ばれた、綺麗な庭園よ。一度行ってみたかったと思ってたわ。

「どう? 行く?」

「勿論よ」

 私達は岡山県の最初の行き当たりばったり旅行に、後楽園へと向かったわ。



 ━━━━



「んー! やっぱりいいねぇ!」

 私達は後楽園の延養亭周辺に居たわ。春にはサツキが咲くみたいだけど、今ではないわね。残念。

「さて、時間はたっぷりあるから、ゆっくり歩こうか」

「ええ、行きましょうか」

 私達は二色が岡を通っていた。

「そういえば、ここって昔は山桜と楓があったんだっけ?」

「そうみたいね。パンフレットに書いてあるわ」

 ふむふむ、昔は山桜と楓が植えてあって、春に山桜、秋に楓と、季節ごとに二色が入れ替わるからこう名付けられたのね。今じゃただの杉の道だけど。

 杉の葉と杉の葉の間から、真夏日の木漏れ日が射してくる。合成の作り出す木漏れ日も、意外といいわね。

 でも、見てみたかったわ。山桜と楓。出来るならば、二つ同時に咲いているところが見たいわ。楓は''咲く''じゃないか。なら''生る''? どうでもいいけど。

「メリー、山桜と楓、どっちが好き?」

「えっ? あ、んー……難しいわ。どっちも綺麗だもの」

 春は淡い赤で道を彩って、秋は純粋な赤が埋め尽くすほど積もって……どっちもいいわ。

 そうそう、昔の桜って白かったのよね。白い桜かー。見てみたいわ。何故か赤く染まってしまったみたいなのよ、桜。

「私は楓の方かなー。彩りが綺麗じゃん、桜よりも。後、桜は白い方が好きだよ」

「今じゃ、ないけどね。本当に残念ね」

「……出来れば、両方とも一気に生ってほしいけど」

 あら吃驚だわ。

「私もそう思ってたわー! こんな杉ばかりの道じゃあねぇ……」

 そんな間にも私達は道と言う道を進んでいる。植えられてもないのに、出来るわけないわ。

 そんな事を思い、私は苦笑した。

 でも、起こったのはその直後よ!

「えっ……こ、これは?」

 私達の通っていた道は、いつの間にか白い小さな花弁(はなびら)と赤い葉で彩られていたの。道端を見たら左に白い山桜、右に楓が、全て生っていた。

「この白いのって、山桜の花弁?」

「そうじゃないの? でも、なんでいきなり……」

 狐に抓まれるってまさにこれかしら? 私達は周りの花弁と葉が落ちていくのを、ただただ見つめるだけだったわ。

「分からない。でも、綺麗だね」

「そうね」

 紅白の色彩が見事にマッチしている。今までにこんないいものは見たことないわ。凄く……見とれるわ。

 そして、山桜の花弁はどんどん赤に染まっていくわ。楓もより赤くなってきてるわ。道は赤く彩られていく。さっきの景色の方が綺麗だったのに……。

 花弁や葉が散っていけばいくほど、木の本来の姿が見えてくるわ。しっかりとした丈夫そうな木。

 そして花弁も葉も、全部散ったわ。冬の景色ね。

 そして道端の山桜や楓は崩れるようにばらばらになったわ。

 目の前には五分前まで見ていた杉の木の表面と、木漏れ日が見えたわ。

「戻っちゃったね。綺麗だったのにぃ。つまんないなー」

「不思議な事だけど、見られたのは良かったじゃない」

 私だってもっと見たかったわ。でも終わったんだから、仕方がないじゃない。

「ま、そうだね! またここに来たら見れるかな?」

「さぁ?」

「だよねー」

 私達は木の心に響くくらい笑った。

 そして、それから色々花を見ていったんだけど、やっぱり、あれだけの素晴らしい光景はないわ。写真、撮っておけば良かったわ。

 まぁ、見られないよりかはよっぽどのましか。



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