第三一話 水湧き出る火
今回も短いです。
月の都を楽しんだ後、私達は玉兎や綿月姉妹にお礼を言い、月を後にした。
そして、今は火星のオリンポス山の山頂にいる。SFの世界だとばかり思っていた世界。でも━━
「火星ってこんなに水浸しだっけ?」
火星は水の都になっていた。ずっと先には青い太陽が見える。
火星は地球と似てきた。外から見たら青い惑星だ。地球は青かった、と同様に火星も青かったのだ。
「火星って表面温度が高いから水も高いのね。もう熱湯よ。これでお茶が飲めるかしら?」
なんか、呑気な事考えてるー。まず茶葉がないと飲めないからね、メリー。
「オリンポス山は太陽系の惑星の中でも最も最大の山って言われているんだ。でも、これだけ水で溢れていると何時かはなくなるね」
「侵食されるか、沈むか、どっちかね」
「侵食ってことはないと思うよ。水に流れがないもん」
「そうね」
沈んだとしても最大の山っていうのは変わりがないか。
暫く青い太陽を見ていると、周りをきょろきょろしていたメリーが何かを見つけたみたい。
「蓮子、あれ見て」
私はメリーが指さした方向へと目を向けた。そこには、下は細く茶色い、だんだん上に目を辿っていくと緑色が広がって、また上を見ていくと緑は狭まっていく。そう、これは━━
「木だ。天然かな?」
「一本だけって不自然ね」
周りには他の木もないし、草もない。確かに不自然すぎる。不自然であれば不自然であるほど近づきたくなる!
「行ってみる?」
「ええ! 勿論よ」
私達は不自然な木の近くへと寄ってみた。やっぱり木だ。木の幹から上を見上げると水色の空が見える。
沢山の緑色の葉の中に、たまに白い玉が見える。
「実があるね。白って珍しい」
白い実なんて見たことない! 余計気になるよ。
私は木になってる白い実を摘み取った。
「こんなに実がなるのに周りにないのは何故かしら?」
「さぁね、帰って栽培でもしようか。どんな花が咲くかも楽しみだし」
その直後、どかーんと音がなり、地面が揺れた。結構近くだ。
音が鳴った方を見たら、上に黒い物体が高く吹き飛び、下に赤く光ったどろどろの液体が流れている。
「噴火ね。いつかは第二地球になるわね」
「その日になるのが楽しみだよ。さて、石も拾ったし、行こうか、メリー」
「ええ」
私達は水の都、火星を後にした。




