第二九話 ここは月面。
私達は太陽から出た後、水星、金星へと行ったんだ。メリーの言う通り、予想通りの平凡な惑星だったよ。
でも、折角来たんだから記念品を拾ったよ。それぞれの惑星の石をね。何処にしまうか? 私の持ってきた袋の中にだよ。沢山持ってきたから一つずつしまうよ。
メリーは拾った記念品をただのがらくたって言うんだよ。まぁ、そうだろうけどね。
私達は太陽系の惑星を巡る事にしたよ。水星、金星に行った時点で分かるだろうけどね。
そして、暫く移動したら目の前には地球が浮かんでいた。近くには月も浮かんでいる。月は''ここは宇宙だ''って言うけど、宇宙の何処? 答えられない相談だとは思うけど。
そういえば、前に月に行く方法を色々試したけど、結局あの時は駄目だったんだっけ。
「地球ねー。遠くから見ると本当に綺麗ね。見とれちゃうわ」
「近づくとあれだけ汚れているけどね」
私は近くにある小さな白い星を見つめながら言った。
「何じっと星を見つめているのよ」
「んー? いや、惑星の石が取れて、星は取れないのかなって。勿論、無理だけど」
私達が夜、毎日見る星は水素などのガスで出来た物。袋を被せればすぐさま消える物なんだ。
「分かっているなら取ろうとしなくてもいいじゃない」
「触るのはありかな? 太陽全然熱くなかったし」
私は指先を目の前にある白い星に向け、それを近づける。
「気を付けなさいよ」
メリーが苦笑いで言った。
私はそんな事を聞かず、どんどん指先を近づけていく。そして、星に触れた。
「あっちっ!」
結果、熱かったです。太陽は良かったのに、なんで星は熱いのだろうか。
「あららー。蓮子さんは大丈夫かしら?」
メリーがわざとらしく言った。私はそれに痛みの涙混じりで笑い返した。
「熱いよっ、メリー。触ってみる?」
「結構よ。私も嫌な目に合う」
「酷いっ!」
「そんな事より月に行かない?私、見ていないのよ」
あぁ、なるほどね。確かメリーが私らしき人に会ったのは地球に行く前だったかな。
「なら行こうか! 月の石を拾いに行くついでに海も見に行かなきゃね」
「後、月の裏側もね」
私達は地球の有名な衛星、月へと向かった。
━━━━
「ふぅ……やっと着いた。うん、確かに月だね」
月が教えてくれるんだもん。''ここは月面です''って。
「宇宙に居た時よりは重いわね」
「重力があるもんね。取り合えず拾ってっと」
私は月の石を拾い、袋の中に入れた。
だけど、その時だった。長くて細い筒が何個もこっちに向かっているんだ。そう、それは━━
━━銃。
「えっ? ちょっと何!?」
その銃の先を辿るとうさ耳を生やした人が見えた。他の銃を辿っても同じである。……えっ? 月のうさ耳人間が銃? 怖いんですけど。
私は彼女達(胸元をみて判断)に状況を言って貰おうと思ったけど、動いた瞬間、一個の銃が突き付けられた。
「動くと死ぬぞ。……了解。ただちに」
銃を突き付けているうさ耳人間がそう呟いた後、私に銃を突き付けるのを止めた。だけど他はまだ私達の方へ向けてる。
「お前達、来い」
「えっ?」
今まで突き付けていたうさ耳人間は私達の前を歩き始める。その後を他のうさ耳人間達が、私達に銃を向けながら進んだ。どうやら私達も進むしかないみたい。
「……(取り合えず彼女達に従おう。下手したら私達の命はおしまいだよ)」
「……(ええ、そうした方がいいみたいね)」
私達はうさ耳人間達について行った。進んで行く内に、月面に都が見えてきた気がした。