第二八話 ━━の核
「でも金鳥って、黒点の勘違いでしょ? っていうか、太陽の核ぅ!?」
蓮子は金鳥の事を不思議に思い、尋ねた。
━━ん? あぁ、ここは太陽の核だぞ。だが黒点と言うが、それは違うぞ?
「えっ? そうなの?」
━━あぁ、そうだ。
ここは太陽の核だってぇ。だから金鳥が居るのね。でも黒点の事じゃないみたいね。
黒点の事は私も知ってるわ。確か、太陽の表面温度が低い所にできる黒い点の事よね。あの時言っていた''三本足の烏がいたんだ''っていうのは黒点の事だと思ったのね。蓮子が思った事は分からなくないわ。
暫く沈黙が続いた後、金鳥が口……いや、嘴を開いた。
━━折角来たから私の話でも聞くか?
「じゃ、じゃあ……そうしようか。メリー、いい?」
「ええ。どうせ行くとこないし」
私達は金鳥の話を聞くわ。
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昔、この太陽の核には私と同じ姿の者が、十いたのだ。ある時、その一つが''外に出てみたい''と言ったのだ。他の奴も私も''行きたい''と言った。何故なら、私達は一度も外の世界を見ていないのだ。
だが、この太陽には核の核がいないと行けなかった。だから私は出たい気持ちを抑え、ここに一人残り、後の者は皆、太陽の外へと行ってしまった。
しかし、私は太陽の表面から離れなければ外に出る事が出来た。なので核の外へ出て十の火にまとった姿を見ていた。
十の姿はやがて消えてしまった。私は奴らの帰りを待った。だが、誰も帰ってこなかった。
星の噂によると、不思議な細い物に十の内、九つが射られて死んだと言う。そして生き残った一つは足を射られ、不思議な細い物が飛んできた方へと落ちたと言う。
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「それって、私達の知っている話とほぼ一緒じゃん!」
蓮子が腰を抜いた。
私だって驚いているわよ。まさか、私達とおんなじ話をするなんて思わなかったもの。
━━お前達の知っている話、とな?
「それは、かくかくしかじか……」
蓮子はまた''かくかくしかじか''の間に説明を入れた。面倒なのよ、またこの小説で説明するの。
━━なるほどな。
「私、全くのはったりかと思ったわ」
「はったり……ハッ〇リくん?」
蓮子……古い、年代が古すぎる。有名だけど古すぎるわ、蓮子。後、無駄知識すぎるし、字も違うわ。
「……そろそろ出る?」
私は冷めた空気を再びもとに戻すために口を開いた。
「……あぁ、うん。そうだね」
━━もう行くのか?
「ええ。ずっと長居するのもアレだし、戻らなきゃならないしね」
━━そうか。ならついてこい。
金鳥が翼で上の方へと飛んだ。少しふらふらしてるわね。きっと久しぶりに飛ぶんだわ。
私達はふらふらする金鳥をただ追いかけた。
━━……この辺りだな。ここから思いっきり飛び抜けろ。そしたら出れるはずだ。
「えっ? 大丈夫なの?……」
ここは太陽の核。という事は外は太陽の炎が待ち構えているわ。暑さを感じないとはいえ、炎の中から出るのは嫌よ。なんだか丸焦げになりそうで。
━━大丈夫だ。この辺りは太陽の表面の中で最も温度が低く、炎を上げていない場所だから、飛び込んでも焼かれたりはしないだろう。では、良い旅を。
流石核の核。分かるのね。ベテランと言うべきかしら?
「ありがとうございました。恐らくもう来ないかも」
━━私もそう思っている。
私達は金鳥に一礼をして、彼が言ってた辺りの方へ飛び込んだ。
出る瞬間、後ろを振り返ると、黒い烏が消えていくのを見た。
つい本音を書いてしまいました。
ハッ〇リくん、乙です。