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秘封倶楽部の天気は現世のち幻想  作者: だみ
第二章 機械宇宙 ~ No Limit Space Travel
29/148

第二七話 太陽の核━━

 私達はさっきとはまた違う、星のない空間に立っていた。

「ここは?」

「知るわけがないでしょ」

 宇宙より暗いわ。まぁ星とかないから当たり前よね。

「うーん。取り合えず探索だね」

「そうね」

 私達は今地に足がついていないから宇宙の何処かっていうのは分かるわ。でもずっと止まっているのも危険だから、探索は大事ね。

 蓮子に引っ張られながら不思議な空間を進んで行った。

「あっ、蓮子。止まって?」

「う、うん。いいけど、どうしたの?」

「なんとなくコツが掴めたわ」

「そう? なら離すよ」

 私の手から離れる蓮子の手を見た後、イメージした。私があの世界で飛んでいた時の感じ……。

 そして私は一歩前に進んだ。

「おぉ、出来たじゃん! なら私が引っ張らなくても大丈夫だね」

「もう引っ張られずに済むわ」

「ちょ、その言い方って、まるで私に感謝してない感じじゃん!」

 蓮子が私の方に振り返って地団駄を踏む。音は鳴るわけないけど。

「当たり前じゃない! あんな速さで飛んだら嫌に決まってるじゃない!」

 と、なんやかんや言い争っているうちに何かが来てるみたい。私は蓮子と向かい合っているし、横も向けない状態だから気づかなかったわ。


 ━━カァ! カァカァ!!


「「!?」」

 私達の言い争いは急に止まる。こんな宇宙に烏の声が聞こえるんだもの。吃驚して声は出ないし、音もたてられないわ。

「……な、何? 誰なの?」

 その返事は暫く待っても返ってこなかった。

「空……耳? かな」

 ━━決して空耳なんかじゃないぞ。

 今まで聞いた事のない声が聞こえてきた。周りを見回しても誰もいないわ。

 あの神木の声よりは高いけど、私の出ないくらい低い声ね。

「じゃあ……誰?」

 ━━お前達が名乗ったら、私も言おう。

 警戒心が強いのね。まぁ、警戒するのは当たり前だけども……あの稲荷神とは大間違いよ。

「えー……私達はその、地球から来たのですが……」

 ━━地球……。地球の何処だ?

 随分と……警戒心が強いのね。そこまで言うって事は地球の事知ってるのかしら? ならここは地球に近い場所なのかしら?

「に、日本だけど」

 ━━日本? ……すまない。知らん。

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 思わずひっくり返りそうな答えが返ってきた。知らないってぇ……。

「じゃあなんで聞いたのよ!? そもそもなんで日本語喋れるのよ」

「確かに」

 ━━それはお前達がそう聞こえるだけだ。私は何もしてない。

 何かしてなきゃ聞こえるわけないじゃない。その事を言おうと思ったけど、蓮子が口を挟んだわ。

「じゃあ━━」

 ━━私の知っている世界じゃなかったからな。すまない。だが、地球の者だと分かった。他には?

 蓮子が言おうと思ったところを声が口を挟んで尋ねる。

「……(どうする? 言う? メリー。凄く警戒してるみたいだけど)」

 蓮子がこっちに向かって、後ろ向きに歩んでくる。

「……(言わないとややこしくなるかもね)」

「……(そうだね。なら言うよ)」

 ━━何ひそひそしている。早く言え。じゃないと━━

「あー! 言うから! 私達は秘封倶楽部っていうサークルをやっているんです。私は宇佐見蓮子。こっちはメ……マエリベリー・ハーンです」

 蓮子が何か言いかけたみたいだけど、気のせいよね。そう、気のせいだわ。

 ━━何故ここに居る。

「それは、かくかくしかじか……」

 私達は''かくかくしかじか''の間に私の能力のことから、どうやってここまで来たかまで説明をした。

 この小説を読んでいる人は分かるかもしれないけど、話せば長いのよ……だから短縮したわ。

 ━━そうか。怪しい者ではないな。では……。

 声の持ち主が姿を現した。その姿は私達の予想より少しだけ違った。

 ━━ようこそ、太陽の核へ。私は太陽の核の核である、孤独で哀れな金鳥(サードフィートバード)だ。



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