第二四話 宇宙ロマン
※注 いきなりメリー視点です。
私は宇宙に居たわ。だって星が周りで光っているもの。ずっと遠くには私達の住む地球とその周りを回る衛星、月があったわ。近くには火星がある。私は太陽系の惑星を少し見てきたけど、どれもなんとも言えないくらい平凡で想定内だったわ。それで一先ず地球の衛星、月に行ったわ。
地球の自転が遅くなってきているせいで、月が地球から離れて行ってるみたい。いつかは五十キロ以上離れるのかしら。その前に太陽の消滅が先? いや、私が死ぬ方が早いのは明らかね。
月へと向かう途中、奇妙なものを見つけたわ。白いワイシャツ、赤いネクタイ、黒いロングスカート、黒い帽子……って、
━━蓮子!?
蓮子らしき人は上を向いて目を見開いていた。私は同じ方向を向いたわ。そこにはおっきな星が蓮子に向かって流れて来てるの!
私は叫んだけど遅かったわ。蓮子は流れ星の餌食になったわ。
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「今日はこれで終わったわ。蓮子、どうなの!?」
私は蓮子の方に乗り出した。
「まぁまぁ、取り合えず座って。ねっ?」
そうだったわ。ここ、カフェテラスだったわ。周りの寛ぎに来た人々は皆、私の方を向いていたわ。私は顔を赤らませながら座った。
「んー。残念だけどそんなのは見てないよ。人違いとかはないの?」
「そんなはずはないわ。この目でちゃんと見たのよ」
私は紅茶を飲んで少し落ち着かせた。私が飲んだ後、蓮子もつられて飲んだ。
「そっか……じゃあなんだろうね。私が忘れただけかな?」
「私が覚えて蓮子が忘れるはずがないわ」
「いや、メリーにとっては現実に見えても、私にとってはただの夢だよ?」
「はぁ……だから夢と現がごっちゃになるのは嫌なのよね。本当の自分が見いだせないわ」
頭を抱える難問だわ。どうにかならないのかしら。
「大丈夫だよ! 本物のメリーは私の目の前にいるよ!」
「ありがとう……蓮子」
蓮子は私の肩を叩いた。励ましたい象徴よ。そうよね?
「さて、明日に備えて解散する?」
「長旅じゃないんだから、もう少し話しましょうよ……って言っても話す事がないわ」
私は頬杖をついて溜め息をした。正直言って、眠いわ。
「でもいいなー! メリーだけ宇宙旅行だなんて。ずるいっ!」
「そう言われてもねー、困るわ」
「そうだ、さっきメリー、本当の自分が見いだせないって言ったよね? そんなに不安なら一緒に住もうか? そしたら朝早くでもメリーの夢のことが聞けるよ?」
「えっ……?」
蓮子の言葉でなんだかやたらと周りの目線が気になったわ。変な目で見られていないかしら。
「あぁ、ごめん。急に言われてもアレだよね」
「いやいや、別に私はいいのよ? でもここで言われても……っね、って」
なんだろう。蓮子が凄く嬉しそうに見えるわ。
「じゃあ……今日から? 部屋は一つで十分だよね?(っていうか一つしかないよ)」
「えっ? 一つ? まさか一緒の部屋で寝るの?」
「そうだけど?」
予想通りの返事が帰ってきた。こんな時は予想通りにいかなくてもいいのに。
「まぁ、いいわ。なら解散する?」
「そうだね、じゃあ行こっか。私の家に」
蓮子の口からあり得ない言葉が聞こえたわ。
「私が蓮子の所に行くの!? 気遣いはないの!?」
「残念ながら私の電子辞書には''気遣い''が載っていませーん」
「家に帰って説教ね」
私達は代金を支払った後、説教をしながらも蓮子の家へと向かっていた。
蓮子とメリーは同居になりました。




