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秘封倶楽部の天気は現世のち幻想  作者: だみ
第八章 信仰乱心 ~ Hope Mask
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第一三六話 見つからない

 私達は人だかりを離れ、人里を離れた。こころはさっき居た森に希望の面を落としたって言ったから、取り敢えずは、森に戻ったよ。よく探せば見つかるかもしれないからね。

「見つかった? 皆ぁー」

「全く見つからないわよ。こころ、本当に落ちた場所、分からないの?」

「この辺りっていうのは覚えてるけど……詳しい場所は……」

 こころはそこまで言って、言葉を詰まらせた。

 森のど真中。ばらばらになっている皆は必死に探す。

 枯れている草は弱々しくて柔らかいけど、その代わりに手を荒らしていく。それほど長い時間探した。空を見上げれば、二時三十七分十五秒。大体一時間くらいこれを続けている事になるね。

「エニーは?」

「駄目です……何も言ってくれません」

 風の声を必死に聞こうとしているエニーは、冷えた土を色んなところにつけて希望の面を探していた。

 だけど、手がかりがこれだけじゃ、どれだけ探しても見つかるはずがない。ここは森であって、林とは全くの別物だから。

 だからと言って諦めはしないんだけど。というか、諦めちゃ駄目だよね。この間に何かが起こるかもしれないんだから、早く見つけなきゃいけない。

 希望の面を探しながらもエニーをじっと見つめていたら、一瞬、目の色を変えた気がした。

「皆さん! 音を立てないで下さい!」

 その瞬間、意味を理解した皆は動きを止め、エニーは立ち上がった。

 風が騒いでいる。これだけの音を立てていたら何を言っているかも、分かりやすいと思うけど。でも、黙ってって言うほどなんだから、小さい声なのかなぁ。

 そんな事を思っていたら、強張って動かなかったエニーの腕が垂れ下がった。

 それを合図に私達はエニーの元へ駆けつけた。

「……ようやく聞くことができました」

「どうだったの?」

「風は''敵を倒していく奴が希望の面とやらを持っているだろう''と言いました」

「敵って……どの範囲までが敵なのやら。他は聞いてないの?」

「……いえ……何も」

 首を左右に振るエニーの顔は、いかにも申し訳なさを表す感じだった。

 手がかりが増えたにも関わらず、皆は黙り込んでしまった。これだけじゃ、流石に足りないよね。

 誰かが溜め息をこぼしたその直後、何かを唱える声と共に爆発音が聞こえてきた。

「やれやれ。今回の異変はやけに気持ち悪いぜ。全く、月一で異変が起きるのは止めてほしいもんだっ!」

 聞いた事のある声だ。今までここでお世話になった人の声は馴染みのある声だよ。

「魔理沙!」

「あん? おぉっ! 蓮子達じゃないか。だが、今は構ってる暇がないんだよ! 恋符『マスタースパーク』!!」

 風を切ってまで打ち放される極太レーザーは、雲と星以外、何もないはずの空に撃たれた。そして、誰かの悲鳴と共に消え去った。

 魔理沙は悲鳴の持ち主を倒すために撃ったのか。って事は……!

 魔理沙は箒に股がって飛んでいたから、私達の近くの地面に下りた。先月来た時に巻いていたマフラーが荒々しい風に揺られている。

「ふぅ……ごめんな。お……なんか増えてるな。それにこころもいるじゃん。やっぱり異変に、か?」

「うん。本当の事を言えば、私が黒幕みたいなものだけどね」

「……は? 私、お前を倒さないといけないって事か?」

 魔理沙は、周りに私達がいるのを明らかに無視して、構えをした。こころが黒幕になるって事は、私達はこころの関係者って感じに考えたんだと思う。

 う、裏切ってなんかいないよ。極悪な事はしたくないよ。

「いや、倒すのは後にしてほしいよ。私は根本的な黒幕であって、起こしたわけじゃない」

「……詳しく話してくれよ」

「うん。実は……って事があったの。そして、その希望の面を持っている奴は、敵を倒していっているっていうわけ」

 こころが分かりやすく、事細かく事情を話した。

「なるほどなぁ……じゃあ、その条件に私も当てはまるってわけだな?」

「うん。だから呼び止めたっていうのもある」

「……残念だが、私はそんな面を持ってないな。ごめん」

 魔理沙は苦笑いで謝った。

 なかなか見つからないよね……結構苦労しそう。

「そっか……」

「でも、霊夢なら何か知ってるかもな。知らなくても勘でどうにかなるな」

「なら……行くの?」

「そりゃそうだよ! 善は急げってな! ほら、行こうぜ!」

「わ、分かった!」

 皆は森をうろつくのを止めて、博麗神社に向かう事にした。勿論、歩いてね。



 ━━━━



「あ……綺麗なお面……」

 蓮子達が地上を歩いている時、ある少女は''落とし物''を拾った。



もう、ただのお話になってきてます。

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