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秘封倶楽部の天気は現世のち幻想  作者: だみ
第八章 信仰乱心 ~ Hope Mask
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第一三〇話 噂の元凶

「話題を子供探しに変えようか」

 早苗を秘封倶楽部ではなく、秘封倶楽部(仮)という何処かで聞いた事あるような倶楽部に入れて、きっと普段通りではない活動の始まりだね。

「子供探し……ですか?」

「そう、子供探し。あぁ、実は……って事があったんだよ」

 今回の活動が始まるまでの経緯をちょこちょこっと話して窓から見える空を見ると、六時二分十八秒。空が紅い時間帯。普段見慣れてるから、見とれたりはしないけどね。

「なるほどぉ。ならば、早く行きましょう!」

「あ……ええ」

「分かりました」

「うん……ちょっと温度差が激しくてついていけなかっただけだから気にしないで」

「勿論気にしませんよ。さ、行きましょうよ! 宇佐見さん!」

「分かったから。はしゃぎすぎないでよ?」

「分かってますって!」

 心配だなぁ。いつしか大変な事になりかねないよ。大人のくせに子供みたいな事を言う天然なんだから。そんな事もあって''(仮)''なんだけどね。

 私達は温かい部室を出て子供探しを始めた。

「実はですね……私」

「何? 早苗」

「皆さん勘違いなされていると思いますが、私の両親はそこまで稼いでいないのですよ」

 あまり関係ないね。でも少し気になるかも。今まで知られていなかった秘封が隠されている予感。

「何でそれを今言うのよ」

「なるべく誤解は早く解きたいものでして……」

「それで、何で?」

「はい。実は、私の父は有名俳優と言われていますが、その名前を見かけないでしょう?」

「確かに……見ないですね」

 情報屋のエニーでも分からないとなると、当たり前だけど私にも分からないよ。

「それは、業界で脇役としてよく知られているからですよ」

「業界……脇役……それは流石に知らないです」

 そうなると、エニーが知らないのも当たり前か……。

「それに、母の事も有名と聞いていながらも、実際に日常で聞かないでしょう?」

「……聞きませんね」

 早苗の母は有名雑誌の編集者と言われているよ。またエニーが聞かないのなら、違った情報なんだね。

「それは私の母が有名''ではない''雑誌編集者だからですよ」

「全くの真逆じゃない」

「そうなんですよ……」

 違った情報がまさか聞いていた情報の逆の事だなんて、この噂を流したのは誰?

「その噂……もしかしたら部活動の同期の方からかもしれません」

「新聞部からですか?」

「はい。案山子新聞を書いている方です。私をライバル視しているとか」

「あー。見たことある。皆が知っているような事しか書かないんでしょ?」

 前に今更秘封倶楽部の事を挙げてた。それも情報量が浅すぎたよ。引きこもりなのかなって思って、思わず苦笑いしちゃったよ。

「はい。部活動の中でも、よく分からない方です」

「そんな方が何故私の嘘情報なんかを……」

「さぁ? 両親の職業を聞いてそう思い込んだのでしょう。おかげさまで有名になりましたがね」

「……まぁ、あまり関係ないですから何も言いませんけど」

 あぁ、そっか。だからバイトをするんだね。夏にやってるところを偶然見たし。あの時は''乏しいから''とか言ってたし。

 話が凄く逸れちゃった。元凶は……エニーの同期っていう人だね。

「そっか。なら皆集中して探す事っ!」

「というか、全部で探しましたよ?」

 廊下の内側に緑色の掲示板があって、そこに貼られている一枚の紙がちらっと見えた。

「え? 一階から五階まで?」

「はい。中庭等も含めて、全部です」

「なら捕まったのかなぁ……職員室に行ってみよっか」

「研究室ではなく?」

「北白河さんとこに行くんだよ。何か知ってるかもしれないし」

 北白河ちゆりは岡崎教授の助手。講義中にも関わらず、よくもめてる。見た事あるけど、原因は北白河さんの口調らしいよ。

「なるほど。行ってみましょうか」

 そんなわけで、私達は職員室に向かう事にした。

 あの一枚の紙の事はちょっと気になるけど、今は向かう事が大事だね。



 ━━━━



「んー? 夢美? さぁ、朝から『今度こそぉっ!』って言って走っていったのは知ってるけどね」

 職員室に来て北白河さんに聞いてみたけど、この返事だよ。ちょっと困ったなぁ……。

「そうですか……」

「ごめんな。今回の件については、私にも言ってくれなかったから、全く知らないんだ」

「それほど極秘な事をするの?」

「私に黙ってする事と言えば人体実験かな。人体実験は大好きだからな、夢美は。邪魔されたくないらしい」

 見た事もされた事ないけど、岡崎教授の人体実験は酷いらしい。このまま捕まったとなると子供が大変な事になる!

「人体実験……ますますまずい事になりそうね」

「心当たりは!? 本当にないのですか!?」

「んー……あちこちに行くからなぁ……」

「ねぇって!」

「まままぁ、落ち着きましょうよ。もしかしたら諦めて帰ったっていう事もない事はないですよ!」

「ま、その可能性はあるかもな。荷物持って帰ってるし、歩きで帰るし。ただ、荷物に人体実験用具を入れてるとなると、分からないな」

 もはや可能性の問題ってぇ……どうするべきか。

「んー……よしっ。帰ろう」

「えっ……いや。ま、まぁ、いいんだけどね」

「何でですか?」

「疲れた」

「単純な理由だったわ……」

「何を期待してたの?」

「可能性をを信じて帰ろう、とか」

「勿論、可能性を信じてっていうのもあるよ?」

 安心感が出てめんどくさくなってきたっていうのが本音だよ。

「……もう、いいわ」

「ん? どうしたの?」

「何でもないわ」

「あーそう?」

 どうしたんだろう? なーんて、分かってるけどね。どうせ、私に呆れているんでしょ? 長い付き合いだから分かってるよ。

「それならば、帰りましょうかね。失礼しました」

「ん。また悩み事があったら来いよ」

「はーい」

 私は帰る。うん、本当に帰るよ。何がなんでも帰るからね。

 どうもフラグにしか聞こえないのは何でかな?



メ「ねぇ、蓮子」

蓮「何?」

メ「紛らわしくない? 二人の口調が」

蓮「うん、紛らわしいね」

エ「仕方がないですよ。うぷぬしが私達みたいなタイプが好きなんじゃないのですか?」

早「でも、どうにかしてほしいですね」

蓮「なら早苗。ため口でいきなさい」

早「わ、私ですか!? 何でセテントライトさんじゃないのですか!?」

蓮「秘封倶楽部>秘封倶楽部(仮)だから」

早「うぇぇ……マエリベリーさんもセテントライトさんも、そう思っているのですか……?」

メ「まぁ、''(仮)''がついてる時点でそう思わなきゃいけないと思うわ」

エ「マエリベリーさんに同意です」

蓮「と、いう事で。改めてよろしくね!」

早「よろしく……お願いします……」

蓮「ためでいくの!」

早「よろしく……ね」

蓮「そう! それでよし」

早「(止めたくなりました……)」



と、いう事なので、早苗は今後敬語混じりのため口で喋ります。設定が曖昧ですいません。

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