第一二一話 ロッドを持つマウス
「改めて思うけど、何で私なんだよ」
「仕方ないだろ? お前の他に近くて速い奴いないんだ」
「す、すみません藤原さん。乗せてもらって……」
私達は上空、雲より下で地よりも上の空間を飛んでいるんだ。向かう先は命蓮寺って言うらしい。そこに探し物の専門家がいるとか何とか。
私と蓮子は魔理沙の箒に、エニーは妹紅の背中の上にいる。エニーは風が当たっているけど、気持ち悪くないのかな?
「君が謝る必要はないよ。それで、魔理沙。本当にお前のその箒じゃ駄目なのか?」
「さっきも言ったが、三人で重量オーバーだ。残念だな」
「……めんどくさい奴だな」
何で妹紅がいるかって? それはね、魔理沙の箒は三人しか乗れないからだよ。かといって歩いていくには長い距離みたいだから、竹林から無理矢理連れ出したんだ。
事情もちゃんと説明した上で付き添ってもらっている。内心でちょっと謝る私。私達の我儘に付き添ってもらってごめんなさい。
「その''命蓮寺''って場所まで送れば帰っていいか?」
「何言ってんだよ。駄目に決まってるだろ」
「私も帰って殺りたい事があるんだけど」
えっ? ちょっと''やる''が嫌な言葉に聞こえたの気のせい?まさか電波になりかけている?
「殺るくらい後でも出来るだろ。後、もうすぐで着くし。要には、後戻り出来ないって事だ」
先には''命蓮寺''と言うだけあって立派な寺があった。ここが命蓮寺かぁ。
「うー……」
それに対して妹紅は不可解な顔をして、何やらぶつぶつ言いながらも着地体勢に入った。こっちも着地しようとしている。
「よっと。ここが命蓮寺ってとこか?」
「そうだ。さーて」
魔理沙達はふわりと着地して私達を下ろしてくれた。
音を立てずに着地するのは現世では考えられないよ。でも、彼女達は幻想の人。常識から外れている人。それを考えれば、私達も幻想の人の内に入るのかな? 思考は普通の人とはずれてるし。
「それで魔理沙、その''探し物の専門家''は何処に居るの?」
「命蓮寺に居る事は知ってるが、命蓮寺の何処に居るか分からん」
「えっ……それって……」
「探さなきゃな」
「まずそこからですか……」
「本当にめんどくさい奴だな」
下調べが必要だったみたいだね。でも、もう着いたから探すしかないね。
周りを見渡すと、何か聞こえた。
「あー、もう。何で何でもない時になくすのかなぁ……おかげで私まで巻き込まれる」
鼠みたいな耳を付けて長い棒を持っている少女が命蓮寺から出てきた。もしかしてあの人かな?
「お! 丁度向こうから来てくれるとは都合のいい話だぜ! おーい!」
魔理沙は喜びの笑みのまま、その人に向かって手を振った。あの人みたいだね。
「あれが?」
「ああ。あいつは監視してる奴の持つ宝塔をなくす度に現れてくるのさ。だからよく知ってる」
それは……大変だね。結構な頻度なのかな? よく知ってるって言うくらいだから、そうなのかな?
きゃ、ねずみねずみ。ねずみがこっちに来るー。チーズあげるからあっち行ってー、何て思っているのかな? メリーは。
「んあ? 魔理沙? 魔理沙がこの忙しい私に何か要?」
「悪いんだが私の手伝いをしてもらえないか?」
「私の要望に応えてくれるなら構わないよ」
「……なくしたのか?」
「うん。だから分かるよね。私が言いたい事」
この意味を分かろうと、ちょっと前の事を思い出してみた。そういえば魔理沙、監視してる人が宝塔って言うのをなくす度にあの人がそれを探すって言ってたよね。その度に姿を現すと。あ、嫌な予感がした。
「はぁ……よし、皆行くぜ」
「え? 何処にですか?」
エニーは事意味を理解してないみたい。メリーと妹紅もそんな感じに見える。
「探しに、だぜ」
三人の表情が急に変わった。多分、その予想は当たっていると思うよ。
「……私の思うまさかじゃないよな?」
「いや、そのまさかだぜ」
「……どんだけ振り回されたらいいんだよ」
妹紅は溜め息をついて、下を見た。凄く罪悪感が感じた。
「急ぐのなら早くしましょ。今、五時三十七分十九秒よ」
メリーと同じ方向を向いてみると、太陽が地面に差し掛かってきている。メリーにはあの空に星が見えるんだろうね。今の私が見えるものは、精々結界の境目くらい。
「これ、本当に今日中に終わるの?」
「深夜になりそうだが大丈夫だぜ」
「それ、もう明日になってるじゃん」
「そ、そうだな……」
魔理沙の顔が完全に硬直している。焦りの色を浮かばせながら。
「そっちの頼みを聞いてほしいのなら、頑張ってね」
「くぅ……探すしかないのかよ。エボニー何か分かるか?」
エニーの能力を聞いている魔理沙はエニーにすがった。自分で探そうよ……と言いたいところだけど、早く戻るための事だから、ここは私達もエニーにすがる。
「えぇぇ……と、あっちです」
「え、分かるの?」
驚くというよりも、不思議そうな感じの言い方だね。まるでそういう人間がいても普通って感じだね。
「エニーなら分かるんだよ」
「ふーん……凄いね。ま、とにかく任せるよ。見つけてくれれば私もちゃんと言う事聞くから。どうせ探し物なんだろうけど」
「よーし! 早速━━」
「ありましたよ」
「早っ! って、いつの間にそっちに!?」
いつの間にか奥の茂みにへと行き着いていたエニーが何かを拾ってこっちを見つめた。エニーの手には何やら輝いているものがある。あれがこの人の探し物ってのだろうね。興味深い輝きだね。
エニーは少し早歩きでまたこっちに戻ってきた。
「これですよね?」
「う、うん。確かにそうだけど……どうやって?」
動揺を隠せずに渡された探し物を目と手で確かめている。
「私の『風の声を聞く』能力と『音の声を聞く』能力を活かしたのです」
「は、はぁ……何言ってるのか分からないけど、とにかくありがとう。ちょっとここで待ってて。私、渡しに行くから。その後にご用件を聞くよ」
「ありがとう」
その人は片手に長い棒、片手に探し物を持って命蓮寺へと走って向かった。
太陽は夕日に変わって、徐々に焦りを産み出していった。
メ「本当にネタが尽きているみたいね」
極「そ、そんな事ないっ!」
蓮「それがあるんだなー。段々地文も減ってきているし、大体がパターン」
極「……新たな発想がほしい」
メ「息抜きしてみたら?結構効果的よ?」
蓮「そうそう、たまには休まなきゃ。継続よりも止めないことが大切だよ」
極「そうするとなぁ……私、ポイしちゃうしなー……」
メ「確かに今までに投稿してる奴、ポイしてるわね」
蓮「本当だね。じゃあ、そのままがいいのかな?それでこの小説が全部終わったら、他の奴の続きを書こうよ」
極「ありがとう、そうするよ。もうテストも終わったし、ようやくまともな文章が書けると思うよ」
メ「ならよかったわ。さて、鏡を探すわよ」
蓮「後もうちょっとだね。行こっか」




