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秘封倶楽部の天気は現世のち幻想  作者: だみ
第七章 心狂硝子 ~ I Am You,You Are Me
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第一一七話 胎児は生命の始まりを見る

「『胎児の夢』!」

 全てはマエリベリーお姉ちゃんを守るため! 自分を守るため!

 私は普段何を言いたいのか分からない夢ばかり見る。このスペカはそれを想って作り出したんだよ。

 小粒よりもちっちゃい弾幕(微生物)達はやがて、優雅に泳ぐ弾幕()の群れに変わるの。それから弾幕()を植えて、生き生きと育つ弾幕()が生える。そこから勢いよく弾幕(生命)が飛び出すの。

 でも、まだ今は微生物の弾幕。ひょいひょい避けられちゃうよ。

「まだまだちょろいわね。それだけなのかしら?」

「そんなわけないでしょ! 本番はこれからなんだから!」

 怖い人から撃たれるレーザーのせいで、折角展開した弾幕が悉く蹴散らされていく。

 うーん、まだかな? 溜めはいいかな?

「まだまだ未熟少年ね」

「少年じゃない! もう怒った!」

 少し我を忘れて、次の弾幕のための溜めも気にしなくなった。実際、溜めは大丈夫だったよ。

「そーれ!」

 すいすいと泳ぐ魚の弾幕は怖い人に目掛けて撃っていくの。じゃないと、この魚は一直線に進んでいっちゃうからね。

 魚の群れって凄いんだよね! 一つに固まっておっきい魚に見えるから、他のおっきい魚も吃驚して逃げちゃうんだよね! 今、見える風景がそんな感じなのよ! うふふ、苦戦苦戦。

「しつこいわね!」

「なんでスペカ使わないの?」

 どうも怖い人は日傘の攻撃にこだわりを持ってるみたい。殺し合いなら普通のよりもスペカの方が強いんじゃあないの?

「スペルカードよりも強いものがこの傘に込められてるのよ」

「何それ? 変なのー」

 日傘がスペカよりも強い? あり得ないような気がするよ。

 後ろを見ていたら、私の渡したスペカをじっと見ているマエリベリーお姉ちゃんが見えたの。凄く焦っているのよ。使い方が分からないのかな?

 その時、右耳が強く引っ張られた熱い太い糸に当たった。反射的に避けて何とか大怪我にはならなかったけど、水が首を伝ったのを感じて本気で殺す気だと思った。

 水は服にどんどん染みていった。

「余所見をしていたらどうなるか分かるわよね?」

 次の弾幕()の溜めは十分ね。今なら不意打ちが出来る!

「いったぁ……むぅ……えい!」

 泳ぐ弾幕()を消して、育つ弾幕()を展開したわ。地面からずんずんと伸びて、先端で渦を巻く。

「あら、場面が変わったのにまたちょろいわね。しかも、花を咲かせないなんて……あら、花が咲かない植物だったわ」

 相当な量ではあるんだけどこれだけじゃ簡単に避けられちゃう。だから、私は邪魔をするの。

「余裕な顔もそこまで! いけー!」

 まあるい弾幕()を蒔く。早く大きくなあれ!

「くっ……面倒だわ」

 その願いは届いて弾幕()は根と地下茎を張り、葉っぱを伸ばした。さっきよりも大きく、強く、もっと。

「こんなものっ!!」

 怖い人は日傘でまた弾幕を蹴散らした。でも生えてくる。私が消さない限り、生え続けるの。

 さあ、どんどん蒔きましょ! 無意識の底に落ちるまで弾幕()をばら蒔くのよ!

 首を伝った水はもう乾いた。当たったところはまだ少し痛いけどね。

「うふふー! ふわわー!」

 私は怖い人の撃つレーザーをふわふわ避けるの。もう無意識よ。頭は空っぽ。

 次の弾幕のための溜めの準備が出来た。避けている内に時間が経っちゃった。

 怖い人は息切れをしてるけどお構いなしなんだから!

「最後だ! いけいけー!」

 最後は飛び出す弾幕(生命)。怖い人に負けないくらいのレーザーを出す。勿論、一本のレーザーの威力は劣っちゃうけど、何本も出せばきっとあの日傘みたいに出せる筈よ!

「うぅっ!」

 私の出したレーザーは見事に怖い人に命中した。疲れもあるだろうから結構のダメージな筈!

「やった! ヒット!」

 この嬉しさの余り、またマエリベリーお姉ちゃんの方を見ると、私の放つ弾幕が怖い人に当たったのを見て喜んでいる。目の前のお誕生日プレゼントを見てる顔だよ。だけど、その表情は一瞬で変わった。

「こいしちゃん! 前!」

 マエリベリーお姉ちゃんがそう言ったから、私はまた前を見た。何だか、眩しい光があるけど、大丈夫なんだから! なんたって━━



 ━━━━━



 大爆発が襲いかかったわ。何とか耐えてこいしちゃんがいた所を見ようとするけど、まだ風塵が舞っていて周りの風景が曖昧だわ。

 こいしちゃんはあの人の撃った、今までで一番強力なレーザーをまともに受けてしまったわ。無事でいるかどうかもまだ分からない状態なのよ。

「こいしちゃん!」

 蓮子の声だけど、やっぱり慣れなのかしら? 前まで感じてた違和感はいつの間にか消えていたわ。

 そんな違和感と同じように風塵も消えていったわ。

「いない……?」

 でもこいしちゃんは何処にも見当たらないわ。あの人なら分かるんだけど。

 今は十一時四十七分五十二秒。凄い長期戦ね。疲れも酷いでしょうね。

 私は終わったと思ったわ。あの人がこっちに近づく。と思ったら━━

「『サブタレイニアローズ』!」

「!!」

 あの人の背後にはこいしちゃんがいたわ。しかも、凄い近くに。

 こいしちゃんはスペルを唱えて、そこから沢山の薔薇を百発百中でぶつけたわ。衝撃波が生じて吹き飛んじゃいそうだったわ。

 吹き荒れた風で私の目を強制的に閉ざされ、揺れるコスモスとこいしちゃんとあの人が見えなくなったわ。

 状況も収まって、目を開けて見るとこいしちゃんがそこらを舞っていたわ。

「やった! 倒した!」

 でも、戦いは終わりじゃなかったのよ。



活動報告で続きを書いたと書いたのに、続きが出ていませんでした。


すいませんでした。

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