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秘封倶楽部の天気は現世のち幻想  作者: だみ
第一章 伊奈利神木 ~ Japanese-Cedar Of The Crest
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第一一話 竹林静宮に潜む神

「神宝神社? そんなのあるんだ」

 私達はまた鳥居の中を通りながら会話していた。静かな山に声が響く。

「ええ。主祭神は天照大御神みたいけど、稲荷山だけあって稲荷神も主祭神だとか」

「へぇー」

 神宝神社はすぐだった。鳥居を抜けると沢山の竹林が広がっていた。神宝神社はその先だ。

「うん?」

 メリーが歩いていると急に何かに反応して後ろを振り返った。私もメリーが向いた方向を向いたけど、そこには合成(ただ)の竹だけがあった。

「どうしたの? メリー」

「いや何か聞こえたなって。気のせいよね」

 私達はまた前を向いて歩いた。



 ━━━━



「おっ? あれかな?」

 息を潜めて見た先には、茶髪で黒い帽子が印象的な女性と紫色の服を着た金髪の女性が会話しているのが見えた。勿論、二人とも半袖だ。

「きっとあの人達だ……しかし、凄い力だな。あの二人。他の人間とは違う何かを持っているね」

 そのとき今まで弾んでいた会話が中断されて金髪の女性がこっちを向いてきた。

「うおっ!?」

 急だったので吃驚したけどなんとか身を隠す。そして女性はまた前を向いて神社へと向かって言った。

「危ない危ない。さて、あの人達は……神宝神社の方に行ったね」



 ━━━━



「ここが神宝神社か……」

 まさに竹林の静宮・神宝神社。植物の静かさが合う。

「なんだか神秘的だよね」

 そんなことを言って暫く黙っていたら後ろから声がした。

「伏見稲荷大社へようこそ」

「だ、誰!?」

「ん? 驚いたのか?」

 私達は後ろを振り返った。そこには緑色のワンピースに手が隠れるくらいの白い振り袖を着た少女がいた。黄緑の艶が掛かった長い髪と胸元の蔓みたいなリボンが風に揺れている。しかし……あの頭の無駄に大きい葉っぱは何?

「えーっと、貴女は誰ですか?」

 メリーは急に現れた変なコスプレ少女に対し、首を傾げる。

「我が名は季節竺紗きせつちくさ伏見稲荷大社ここの主祭神である宇迦之御魂神うかのみたまのかみ、一般的には稲荷神と呼ばれるものだね」

「神……って、あの神?」

「うん。そうだけど?」

「メリー、一応確認。これ夢じゃないよね?」

 私は神と名乗る少女を疑いメリーに尋ねる。

「貴女がいつ私の目に触れたかしら?」

 逆に質問されて何も返せれなかった。何故なら私はメリーの目に触れていないからだ。

「で、でも信じられないよ。神の存在はもうないって言われているんだよ?」

 さらに質問する私に少女は答えた。

「それは人間達がそう思っているだけであって、数は少ないけど神は存在しているよ」

「でも神って信仰がないと消えてしまうんじゃあ……」

 神の力は社会力と一緒。人間の欲があってそれに応える事によって力は強まる。しかし信頼がなくなる、または欲がなくなると力を失い、消える。

「そう、確かに神は信仰がないと消えてしまう。だけど、信仰は人間からじゃなくても得られるものだよ」

「えっ?それってどういう意味?」

「簡単だよ。また人間とは別のものから信仰を貰うんだ」

「「別のもの?」」

「君達はここが何処だか知っているかい?」

 少女は急に変な質問を投げかけてきた。

「えっ、伏見稲荷大社だけど……それが何だって言うの?」

「細かく言えばそうだね。んー。ここは穀物の神、稲荷神がいる神社」

 正直少女が何を話したいのかが分からない。少女は続ける。

「そして穀物を大まかな種類に分けると植物。それにここは人間の数より植物の方が多いから信仰を貰う対象を植物に変えるんだ」

「ようするに、植物に信仰を貰っているのね」

 メリーが納得しながら疑った。なんで分かるか? メリーが少し唸ったからだよ。

「その通り! 植物達から信仰を貰っていたから、私はなんとか耐えてきた」

「でも、稲荷神って穀物の神って言ったよね?ならなんで''穀物''じゃなくて''植物''って言うの? そもそも合成化植物でも信仰って得られるものなの?」

「合成からは得られないけど、天然いるし、後私植物の八百万でもあるから、穀物を植物に訳すんだよ」

「もうわけ分からない! 君って結局何なの?」

 少女の言葉で少し混乱する私。稲荷神でもあり八百万でもある?ほんっと分からないよ。

「神だけど、何か?」

「そういう事を聞きたいんじゃなくて!」

「ようには君達は私が信仰信仰って言っていても神だと信じれないわけだね?」

「まぁ、信じて……ないわね」

「んー、じゃあちょっとこっちに来て。神らしいこと見せるから」

 少女は少し唸った後に面倒くさそうに言った。私達は疑いながらも少女についていった。少女の頭の葉子が歩いていく度に揺る。

 暫くすると神社の脇にある雑草と竹林が鬱蒼と生えている所に着いた。

「じゃあ見せるよ……」

 空をはまだ曇り空。一人の神と名乗る少女は胸の前で手を合わせる。何かの力が辺りを漂う。

「……はあぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 何かの力は一つの植物に集中した。

 真っ白で目が眩みそうな光が秘封倶楽部を包み込む。

「うっ! まぶしっ!……」

「何よこの光!……」



今更ですが、改稿している話があるので見ていない方は確認お願いします。

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