第一一〇話 秋の日は釣瓶落とし
私達はハーンさんを探しています。
比那名居さんによると、ハーンさんは地底に落ちたそうです。嫌われ者が住み着く秘境。どきどきしますね! 宇佐見さんもハーンさんもまだ行った事がないらしいです。さらにどきどきします。
「その人間が助かっているとしたら、貴女達を探していると思うのよね。だから、そんなに必死ならなくてもばったり出会うかもしれないわ」
「お? あんた、結構賢いじゃない。その賢さを味方に天人になってみない?」
天人ってそんなに簡単になれるのですか?よく分かりませんが。
「結構よ。私は今の方が充実だわ」
「ちぇ、折角私の遊び相手が増えるかと思ったのに」
「私をぶっ殺そうとしてるわね、こいつ」
「何でそうなるのよ。遊び相手がほしいって言っただけじゃない」
「貴女の遊びは洒落にならないから」
「何で分かるのよ」
「まじなのっ!? うわぁ……遠慮するわ」
みたいな話があったりなかったりします。
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私とエニーは天子や衣玖、レティの手を握って落ちていた。
「ここが地底……」
本当に嫌われ者が一番似つかわしい所だった。入った途端に、気持ち悪い息吹のような風が当たった。今は入口から射し込んでいた光が見えなくなった所にいる。周りは薄暗くなっていて、よく見え辛くなっていたよ。
薄暗い洞窟から暗闇の洞窟に変わる頃、起こった。
━━かたっ、かこかこん。
夜は音が響きやすいというのと同様に、この音もよく響いた。
「!? よ、妖怪ですか? ……釣瓶落とし……?」
エニーは音を聞いた途端、驚かせたようなしかめたような顔をして、上を見上げた。
「セテントライトさん、どうなさいまし━━」
「来ますっ!」
上目のエニーはそのまま上を睨みつけて止まった。音を聞いた、エニーの両側にいる衣玖やレティも止まり、私と天子も止まった。
「だ、誰が来るのよっ」
「妖怪です。釣瓶落としという種族だそうです」
「何で分かるの!?」
エニーはここに来るのも初めてで、妖怪の細かい種族の名前なんて知らないんだ。だから、吃驚した。
どうして?
「私もよく分かりません。音が声に聞こえたのです」
音が、声に? 何で?
その質問に答えるように天子は言った。
「そんな事より。私達を襲うようなら、早くぶっ倒した方がいいわね」
答えになってないけどね。
私は何故か苦笑していた。多分表の私は、妖怪を派手にぶっ倒さなくても、って感じで思ったのかな? 確かに妖怪は危険だけど、天子も十分に危険だよ。
「なーに話してるのー? 私も混ぜてー!!」
狭い空間にわんわんと鳴り響く洞窟内。誰かの声が上から聞こえてきた。
鳴り響く声は音となっていく中、声は次第に近づいてきた。
「来たっ」
「ふーーしゅるしゅるしゅるーーーー!!」
声の擬音と共に落ちてきたのは、エニーの言っていた通り、釣瓶だった。妖怪かどうかはまだ分からないけどね。
「ふん。私の緋想の剣に立ち向かうなんていい度胸じゃないのよ」
「''私''じゃないのね……」
心で呟きたかった事が声に出ていた。
私はその意味が分かっていたから別に関係はないけど、どうやら大変な事になったみたい。
次に出てきた天子の平然の言葉で、自分の零した言葉に後悔をした。
「あんたが殺ってくれるの? 人間の妖怪退治を是非とも見てみたいわ!」
こんな言い方だったけど、嫌味ったらしくは感じなかった。
で、でも! こんな期待したような笑顔、止めてくれる? 如何にも、私が妖怪を倒してほしいようにしか見えないんだけど!?
「わ、分かったわよ!」
あー……何でこんな時に気が強くなっちゃうのかなぁ、メリー。ここがメリーを狂わせたの? ……分かったって言った以上、後戻り出来ないじゃん!
「じゃ! よろしく! マエリベリー」
''マエリベリー''と言われて、維持に損傷を覆った。なんとか耐えるけど。
「え、ええ……」
「宇佐見さん……」
エニーは小さい声で私を心配した。そして、音は大きくなっていく。もうすぐで来る!
ええい! もう、メリー任せるしかない! 頼んだよ、メリー!
「や、やるしかないみたいね……ん!」
私であるメリーが手を上げて、上の遠くから向かってくる敵に広げた手を重ね合わせた。
何を思っているかは知らない。だって私、''宇佐見蓮子''の心だし。
「うりゃーー! 覚悟ぉーーーー!!」
手のひらに力を込め始めているメリー。何故か不思議な感覚がした。メリーが、遠くなっていく。
喋る釣瓶は勢いよく落ちてきた。
ここは真面目な話です。
最近、小説作りが捗りません。追い込まれております。
しかし、それで不定期投稿という形になるとやる気が失せていくので、週二回の投稿にします。
投稿する曜日は水・土とさせていただきます。
すみませんでした。
とにかく!
完結を目標として、この秘封小説を書いていきますよ!
次回もお楽しみに!
S.P.
いつの間にか百話を超えていました!
極楽鳳凰は頑張りますよ!
週間ユニーク増えなくても、感想はなくても、評価もなくても!
読んでくださる読者様に感謝感謝しながら、作っていきますよ!
蓮メリちゅちゅ(ry




