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この世界で  作者: 甘栗
9/73

第9話 初めての仕事

こんにちは、シア・ポインセチアです

ただいま、街の外にいます


なぜ、街の外にいるのかと聞かれればミリアさんと一緒にやる依頼の関係です

…って、なんで敬語なんだろ僕は?

それは、昨日の事だった

ミリアさんは、「一緒に仕事をしよう」と誘ってくれたので、初めての仕事(普通は依頼と呼ぶらしい)と気付いて、何も考えずに頷いた


「仕事の内容はね、町の外に最近現れた盗賊を懲らしめるだけの仕事よ」

「盗賊を?

えーと、僕達が?」

「ええ、そうよ

盗賊は、2~3人くらいだそうよ」

「はい、わかりました」


まあ、大丈夫だろうとか考えてたよ

でもさ、ミリアさんは当日になり僕の服装を指定してきた


可愛いらしい服でお願い、だそうだった

昨日、買ってきてくれた服から選んでみたけど、ダメ出しを受けてミリアさんが選んだ服を着ている


…分かるわけないじゃないか、男だったんだから

良いじゃないか、シャツとロングスカートにしたって


現在の服装は、髪は後ろで一つに纏められて

白のリボンで結ばれている

肩を出した黒のブラウスに、ショートパンツで、白ニーソとブーツになった

ミニスカじゃないから、パンツ見られなくてすむけどさ、はずい


で、町へと続く街道を2人で歩いている

昼間なのに、現れるのだろうか?

と、思ってた時期もありました


「ヘイ、姉ちゃん達

ちょっとお願いがあるんだけどよ」

「そうそう、俺達さ

金がなくて困ってんだ」

「良かったら、金をくれよう」

「……んな、アホな」


思わず、そんな言葉が出た

だって、たしかに町はうっすらとしか見えなくなったけど

昼間からやってくるなんて、思わない


「ふぅん、そう」


ミリアさんは、目を細めて口が薄く笑みを浮かべる

余裕だな


「なあ、ちょっと有り金全部置いてってくれりゃあよ

お互い、ハッピーだ」

「最近、この辺一帯で商人や旅人が盗賊の被害にあっている

そいつ等に、酷い目にあった商人から依頼が出たのよ」


ニヤニヤ笑ってた盗賊が、笑った表情のまま止まった

何を言っているのか分からない、と言った風だ

ミリアさんの右手を上に挙げる

その右手には、雷が纏われている

えっ!?無詠唱!?


「痛い目に遭わせてやってくれと、ね

『サンダーボルト』!!」


その言葉と同時に右手を縱一線に振り下ろした

上空から、ものすごい速さで雷が落ちてくる


「あぎゃあぁあ!?」


1人の盗賊、直撃し、ソイツは絶叫をあげて倒れた

それを見て、固まる盗賊×2さん


「さあ、次はどいつかしら?」

「ふ、ふざけんな」

「相手は、女だ

やってやる、やってやるぞ!」


僕は、腰に吊り下げてある剣を抜く

盗賊は、やる気になって武器を構えた

僕も、やらなきゃ


「シアちゃん、殺しちゃダメよ?」

「……はい」

「よろしい、じゃあ始めましょ」


地面を蹴り、僕の方目掛けて走ってくる盗賊に接近する


「へっ、こっちはちょろそうだ!」


盗賊は、持っていた斧を降り下ろした

それを、避けて身体を密着させる

腹を膝蹴りで蹴る


「ぐっ!?てめえ」


うずくまらない、やっぱりゴブリンとは違うか

男の左手が僕の首に伸ばされた

捕まる訳にはいかない

だから…股関を思いっきり蹴った


「うぉああ!?」


股関を押さえて、後退した

顔を真っ赤にし、怒っている


「……」

「てめえ、ぶっ殺すぞ!!」


盗賊は走りながら斧を両手で掴み、勢いよく横に振ってきた

それを、しゃがんでかわして、首元目掛けて突きを放つ

首の真横に、剣がある状態で止まる盗賊


「武器を手放し、地面に伏せろ」

「は、ハッ…殺すのが恐いのか!?」

「…死にたいの?」


僕は、剣を更に近づける

盗賊から冷や汗が出ている


「お、俺を殺したらてめえはー」

「ー死にたくないなら、分かるよね?

武器を捨てて、地面に伏せろ」


首に少し食い込む、ヒッ!?と悲鳴が出た

盗賊は、斧を手放し地面にうつ伏せになった


「調子乗んなよ、こんのガキ!!」


盗賊は、僕の両足を掴んだ

思わず、バランスを崩しそうになりながら持ちこたえた

仕方ない!刺してしまおう


右腕に、剣を突き刺す

剣の僅かな隙間から血が出てきた


「うぎゃあぁあ!?」


痛みでか、僕の両足を手放す

剣はそのままに、背中を右足で踏みつける


「うがっ!?

…て、テメエ」

「降参する?

そうすれば、死ななくて済む」


男は何かを考えて、ゆっくりと口を開いた


「……わかったよ…代わりに

剣を、抜いてくれて」

「痛いよ?

良いの?」

「ああ、ガキにやられて情けねえ気分だ

んなんだったら、いてえ方がいい」


僕が剣を抜くと、苦痛の声をあげたが何もしないで地面に倒れたままだ

剣を左右に振り、血を払い鞘に納めた


「…ミリアさんの方は」


残りの盗賊からは、プスプスと白い煙があがり白眼を向いていた


「……まだ、同じ女でもアッチのがマシだ

言い訳ができる、魔法がどうのってな」

「……そ」


ミリアさんが、こっちに来た

汗一つかいてない、ひょっとして1人でも大丈夫だったんじゃ?


「お疲れさま、シアちゃん」

「はい、ミリアさんも

ところで、この人達はどうしますか?」

「さあ?

懲らしめろ、と言われただけだから」


え?

捕まえないの?また同じ事やるような気がするのに

ミリアさんは、盗賊達を見回してから


「帰りましょうか、捕まえたら捕まえたで手間だし」

「で、でも」

「どうすべきかは、自分らで考えるでしょ

また、同じ事したら容赦しないだけよ」


そう言って、背中を向けて歩き出した

僕も、後について行きながら、チラッと振り向く

ホントにいいんだろうか?


「気にしないで、これはあの町の町長からの依頼だしね」

「町長!?

どうして?」

「団長と町長の両親が知り合いだったらしいわ

その縁で、ウチに依頼が来る時があるのよ

一昨日は、帰り道でたまたま私が出会って、頼まれたの」

「そうなのですか」

「ええ、国に要請しても要請が通るか分からないし

もし要請が通って軍が派遣されても、ここまで来るのに日数が掛かるもの」


へえ、って国?

そう言えば、この世界の国家とかあんまり知らないな

……や、ミリアさんやリントさんから読み書きと一緒に教わってますよ?

ただ、覚えてないだけで

読み書きは、なんとか出来るようになってきたのに


「さて、シアちゃん

町に帰ったら、私は町長に会いに行くから

先に戻ってて」

「え!?

僕も行きますよ?」

「嬉しい言葉だけど、顔見知り以外とは会おうとしないのよ」

「…でも」

「シアちゃん、仕方ないわね」






町に無事に帰ってこれた

まあ、ミリアさんに我が儘言っちゃったけど

折角、初めての仕事なんだから自分も依頼人に会って見たかった

歓迎されないだろうけど


大通りを歩き、大きな屋敷に着いた

屋敷の前には、門があってその前にスーツ姿の人が立っていた

40代くらいに見えるけど、体格は良くてがっしりしてる

目付きが鋭くて、恐い

…戦えそうな、気がする


「やあ、ミリア君

盗賊は、どうなったかね?」

「ええ、きちんと痛い目みて貰いました」

「そうか、ん?

失礼だが、そちらのお嬢さんは?」


うぅ、睨まれてる

や、やっぱり歓迎されてない


「新人です、どうしてもお会いしたいと言うものですから」

「ふむ、なるほど

で、君の名前は?」

「…シア・ポインセチアです」


うわぁ、目付きが更に鋭くなった

なんか不機嫌だよ、どうしよう?


「そうか、私はアルフ・ダンタリオンだ

少し試していいかね?」


その言葉と同時に、僕の腰にある剣を素早い身のこなしで鞘から抜いた

僕は、咄嗟に後ろに跳んで距離を空けて短剣を構える


「ほお、武器を容易く奪われたのは残念だが

悪くない、悪くない目付きだ

なるほど、新人か」

「……どうして?」

「言ったろう?試すと」


どうする?

ヤバイ、ヤバイってどうする?

どうすれば、いい?


「冗談だ、シア・ポインセチア君

お茶目だから、そう身構えるな」


目付きが変わった、ついでに剣を鞘に先ほどの素早さでしまってきた


「ハッハッハ、ミリア君から聞いてなかったのかな?

私は、初対面と会うとすぐにからかうと」

「…いえ、初対面と会いたがらないとしか」

「騙されたね?

私は、そこまで人見知りではない」


ポンポンと僕の肩を叩き、短剣を僕から取り上げ、それも腰にある鞘に納めた

僕は、理解が出来ずミリアさんを見る


「ごめんね、シアちゃん

この人、団長と違って冗談が過ぎるのよ

だから、会わせないようにしてたの」

「そうだったんですか、ごめんなさい

我が儘言って」

「シア君、名前はマーカス氏から聞いてたよ

歓迎する、ようこそ『アスビス』へ」


町長はにこりと微笑みを作り、僕の右手を両手で掴むと、小さく上下に振った

……この人、何?

ホントに町長?軍人とかじゃないの?


「筋はいい、だが経験不足だ

大いに学び、経験しなさい」

「…は、はあ」


その後も何か言われてたが、頭に入ってこなかった

さっきの態度と今の態度の違いがありすぎて、混乱していた

我に返った時には、自室にいた


…疲れた、寝よう






「どうだった、アルフ?

シア君は?」

「何の事ですかな?

マーカス殿?」


とぼけちゃって、まあ

折角、深夜なのに会いにきたのに


「ミリアから聞いたよ、会わせちゃったとね」

「からかっただけですよ、彼女は?」

「うーん、食事中も放心状態だったし

ミリアに、風呂に連行されてても気づかなかったみたいだったね」


ほお、と呟き薄く笑う

おや、脈ありなのかな?


「やめなよ?

53で、奥さんが16歳とかは」

「ご冗談を、私には亡き妻との約束があります

それに、あのお嬢さんは私からしたら幼すぎる

私の好みではありませんな」


なんだ、違うのか

つまらないな

じゃあなんで笑った、想像でもしたか?

エロオヤジめ


「何も想像しておりませんよ

ただ、あの子の私の冗談に対する反応を思い出しただけです」

「む…なら、どうだった?

彼女は君から見て、どう感じた?」

「未熟な面が目立ちますな、どう成長するかは彼女次第でしょう」

「そうか、わかった」


…シア君次第か、否定はしないがね

戦い方は知ってるが、世間一般的な常識を知らず、字の読み書きも出来ない

何かに怯えてるフシがある、とは言え無理には聞けんし

うーん、どうしようかな?


「大変ですな、旅団長殿?」

「茶化すなよ、アルフ

僕はね、彼女が馴染めるようにしたいだけさ」

「……本当にそれだけですかな?」

「どう見える?」

「さあ、なんとも」

「わかった、ありがとう」


さて、どうなるかは今後の状況に任せようか

今回は、自分の中では話が長目です

3000字以上、難しいです


挑戦してみて、実感しました


魔法の名前が浮かばず、そのまんまな名称に


町の名前を、直しました(11/21)

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