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この世界で  作者: 甘栗
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第5話 僕の名前と

……真っ白な場所にいた

辺りに何も無くて、足元は水面に石でも投げたかのように波紋を広げていた


アレ?僕は、森で絶賛迷子中だったはず

どこよ、ここ?


「ここは、君の夢さ

君だけの世界、もしくは現実と幻の境界線」


どこかで聞いた声、あの少年の声だ


「何処にいるんだ!?」

「何処にって、君の前だよ」

「へ?…って、うわっ!?」


思わず、驚く

さっきまでそこには、誰もいなかったのに

彼の言葉通りに、彼は僕の前にいた

最初に出逢った姿で、口元は微笑みを浮かべて


「やあ、君に忘れ物をしてたから届けにきたよ」

「…忘れ物?」

「うん、忘れ物

今の君に必要な物、その世界で生きてく上で必要になる物」


必要な物か、お金か武器?

なんだろ?


「それも必要だろうね、でも違うよ

人ならば、産まれた瞬間から与えられる物さ」

「…なに、それ?」

「ふふ、にぶいなぁ

名前だよ、名前。今の君の名前」

「名前?僕は天宮悠翔だよ」

「それは、あの世界での名前だろ?

メガリスでは違うじゃない」


彼はそう言って否定する


「悠翔、その名前も君の物だけど、今の君は女の子だ。だから相応の名前にしなきゃ」

「性別変えたのは、君だろ!!」

「あははは、そうだった、悪かったね

…すまない、許して欲しい」


ぬぅ、謝られた

本当はもっと責めたいけど、ここで責めたら僕が子供みたいじゃないか

納得はしてないけど、彼の提案に乗った僕に責め…たいけど、我慢だ


「…仕方ないね、詐欺だけど」

「ありがとう、悠翔は優しいね」


……はずい、この少年、素面でなんて事言ってくるんだ

早く、名前を教えて欲しい


「そうだね、君の名前は『シア・ポインセチア』だよ

年齢は、16にしてある」

「…シア・ポインセチア、それが僕の名前?」

「そう、君だけの物」

「…えっと、ありがとう」


一瞬、彼はぽかんとしたけどすぐに微笑んだ

どうしたんだ?


「何でもない、時間だからボクは行くよ

じゃあね、どうかその世界で、幸せでいれますように」


彼は、そう言って、消えてしまった

どうしたんだろ?

ダメだ、分からん

さりげなくこの身体の歳まで言ってたし


「シア・ポインセチア、僕の名前…か」


なんか、くすぐったいな

いや、良い意味でだけど

って、僕も時間切れか


さて、起きたら森から脱出だ






眩しい光を感じて、上体を起こす

夢、か

にしては、よく覚えていれるなぁ


「…ん~、さて…っと?」


へ?おかしいな、僕は確か森でぶっ倒れたはず

なんで、木造建築と思える部屋にいるの?

ベッドの上で、なんで、寝てるのよ?


後さ、もう1つ教えて欲しいんだけど


「…なんで、僕の服変わってるの?」


僕が倒れる直前まで着ていた服が、白基調で袖口や、腰回り等の細部に黒のリボンが着いていたワンピースになってて裾は膝上まで、ニーソは黒かった

……たぶん、下着は変わってないはず

…前、身につけてたのが、どんなのか確認したことないけど


わ、訳が分からん

どうしてこうなった!?

僕が混乱していると、ドアが開き部屋の中に銀髪の女性が入ってきた


髪は長く、膝上まであって、瞳は琥珀色で女性の服は、黒基調の長袖のワイシャツに下も黒の短パンと皮のブーツ

視線は、僕に定まっていた

ややつり目の瞳は、勝ち気な印象を受けた

或いは、捕食者?


「えっと、誰ですか?」

「あら、ゴメンなさい

私は、ミリア・ハーネスよ」


女性ーミリア・ハーネスと名乗った

彼女が、助けてくれたのだろうか?

おっと、僕も名乗らなきゃね

今の名前を


「僕は、シア・ポインセチアです

助けもらって、ありがとうございます」

「あら、ご丁寧にどうも

だけど、私は丸一日も寝ていた貴女の介抱をしただけ

助けたのは、別のヤツよ」

「…そうなんですか」


ふむ、もう1人いるのかな?

で、その人が僕を助けた

そして、ミリアさんが僕の服を変えたと


「あ、あの」

「なあに?シアちゃん」

「僕の服は?」

「服?ああ、捨てたわ」


へえ、捨てた…捨てたっ!?

なんで!?


冗談じょうだんよ、冗談

だから、泣きそうにならないで

貴女の服は、宿屋の人に頼んで洗濯してもらってるわ

その間に着る服ないと困るでしょ?」

「はあ、それはすみませんでした」


ふぅー、よかった

アレしか服無いからね、ヤバいヤバい

あ、でもこの服は


「この服、は」

「あげるわ、私にはサイズが違うし

貴女、似合ってるから」

「…で、でもー」


言おうとした口元に、人差し指があてられた


「気にしないの、私が良いのだから気にしない

それでも不服?」

「…ーでも、僕」

「そ、じゃあ仕方ないわね…脱ぐ?」


その言葉に、おもいっきり首を左右に振る

そんな僕を見て、口元に手を持っていき笑うミリアさん

酷い人だ、下着姿なんか恥ずかしいじゃないか


「それで、良いの

さて、貴女を助けたヤツを連れてくるわ」


「待ってて」と言って、くるりと身を翻して去っていった


ベッドから、降りてからベッドのすぐ近くにあった僕の靴を履き窓まで歩く

窓から見える景色は、木々に囲まれた小さな村だった


建物は全てレンガ造りだった、中世ヨーロッパみたい

見た感じだと宿屋だけ、木造建築らしい

アットホームな感じ?ログハウス?

分かりません


「お待たせ、連れてきたわよ」


その言葉に、振り返るとミリアさん以外に、30歳ぐらいの男性が立っていた

黒いボサボサの髪に、紫色の瞳、長身でこれまた黒のスーツ姿だった


この2人を見てると異世界メガリスにも、僕の世界と同じ服はあるんだと思える

って、それは失礼か


「あの…助けていただいて、ありがとうございます」


すぐに頭を下げる、感謝を示さないと失礼だから

頭の上で、苦笑いが漏れた


「私の名前は、リント・ウィンドベルだ

ミリアから名前は聞いた

シア、だったな…気にしなくて良い

私が、君を助けたのはたまたまだ」

「たまたま」

「そうだ、それより尋ねたい事がある」


リントさんという人は早口にまくし立てた、まず何故、森で倒れてたのか?

次に、僕に仲間はいるのか?

魔物と戦ったのか、と


「…え~と、魔物とは戦いました

ゴブリン2体と、どちらも倒しました

森で倒れてたのは、倒した後、行くあてもなくさ迷ってたからです、仲間はいません」

「そうか」

「ねえ、シアちゃん?

貴女、これからどうするのかしら?」


どうすると言われても、わからない

どうしよ?


「さあ、分かりません

なにせ、アテが無いですから」

「そう、なら都合がいいわ」

「ミリア、まさか」

「そのつもり、ねえ、シアちゃん

ウチの旅団に来ない?」


「旅団って、なに?」

「旅団を知らないの?

旅団は、それぞれの冒険者が作った集団のこと」


僕が首を傾げてると、ミリアさんが説明してくれた

「1人突然、抜けてしまった

そのせいで、人員が欠けててね、私とミリアは団員捜しをしてたんだ」

「そうなの、なかなか見つからなくて困ってたのよ」

「……君が、私が連れてきた人をことごとく拒んだだけじゃないか」

「だって、むさ苦しかったもの

新人なら、可愛い娘か、ダンディーなオジサマ

筋肉ダルマはお断り!!」


2人は、僕を助けてくれた

なら、お金もなく何も出来ない僕に出来る唯一の方法なんじゃないか?


「無理ならば良い、君の意思を尊重する」

「シアちゃん、どうする?」


どうする?

決まってる、僕はーー


「僕を、旅団に入れてください」

服、何着せるかを選ぶのが一番悩みます

そのせいか、異世界関係ない服装になってしまいましたorz


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