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この世界で  作者: 甘栗
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第4話 夜空がきれい

「…はは、見上げてみればキレイな星空」

すごいキレイなんだけどね

あーあ、人のいる場所を見つけられなかったな


歩けど歩けど、建物とか見えなかった

何処をどう歩いたんだか覚えてないし

現在は、なぜか森のなかにいる

僕の周り、樹ばっかり


これは、アレか?

日頃の行いが、悪いとでも言うのか?

だとしても、悪いのはあの少年だ、名前分からないから、あん畜生でいいや

あん畜生が悪い


「いけない、八つ当たりが空しい」

提案に乗った僕の自業自得だよねー


くーと、自分で言うのもなんだけど可愛らしい音がした

まあ、この場に僕しかいないし別に仕方ない…よね?


「……お腹、空いた」

食事は、昼御飯食った後は、何も食べてなかったもんな

はぁー、どうしよ

1日くらいは、抜いても死なないと思うけど

いつまで堪えられるか分からない


「…ご飯、ご飯または…人…人との出逢いを要求」

出会いが欲しい、切実に

食事も、大事なんだけどね

人との交流が無いのも、なんか寂しい


…歩き疲れた、もう動けない

だけど、あと、ちょっとだけ

って、ムリでした

そのまま、前のめりに倒れた

…く、痛い、起き上がる気力も体力もないけど、地面と睨めっこは嫌だから身体を仰向けにする


「………」

空を、眺める

異世界なんだよな、ここ


「朝になったら、また、移動しよ」


思えば色んな事があった、変な少年と出会い異世界に来た、なんの冗談か性別が変わった

魔物と戦った、勝てたからよかったけど、負けてたら死んでたかもしれない


疲れた、目蓋が重い、こんなところで寝たら風邪ひくよね

どうでもいいや

身体中を、襲う疲労のおかげか睡魔に抵抗する気力も起きず僕はそのまま、睡魔に従った






満天の夜空の中、空を浮かぶ月の光を頼りに森の中を歩いていた

宿に戻ってもよいが、それではつまらない

近くには、泉があったはず

今日は、そこで野宿にするか


「ん?…行き倒れか」

泉への道中で、仰向けに倒れる少女を見つけた

私は、少女を抱きかかえて様子を窺う


見た目は、十代くらいだろうか?

にしては、やや体格が小さめだな

金色の髪、人形のように整った顔立ちはどこか脆く見える

髪には土が付着し汚れてしまっている

顔や服には所々緑色の液体が着いている、顔に着いた緑色の液体を拭う


「これは、魔物の血か?」


近くに落ちているナイフを見つけた

まさか、コレで戦って、倒したか振り切ってからここで力尽きたのか?

この森の周辺には、あまり目撃情報はないはず

辺りを見回すが、魔物は見当たらない

では、いったい?


「……ぅ、むぅ」

少女の口から、小さな声が出た

生きてはいるようだ

……眠ってるのか?


「おい、起きろ」

身体を揺するが、目覚める気配はない

目蓋を震わし、涙が一筋流れた


「…なんなんだ、いったい?」

1人なのか?

親は?或いは仲間は居ないのか?

分からん


「ふぅ、見つけた手前、やむを得ないか」

私は、ナイフを懐にしまい両手を少女の肩や脚に回し、持ち上げる

目覚める気配はまだない


「帰るか、理由が出来た以上はぶらついてはいれない」


このお嬢さんの介抱は、『相棒』にやってもらうとしよう

同性だしな

退屈だと、駄々をこねていたしちょうどよいだろう


「…とう、さ…ん」

「……違う」

なんて寝言だ

しかし父さんか、残念だが違う

第一、そう呼ばれる資格など

私のような者が、そう呼ばれる資格などない



宿に戻ると、やはりというか灯りなど点いていない

ここの主人の部屋から鍵を拝借して正解だったな

鍵を、帳簿のあるテーブルに置き、施錠して薄暗い廊下を歩く


「問題は、起きてるかどうかか」

相棒アイツの安眠妨害は、命が幾つあっても足りない

あの女の泊まっている部屋の前に立つ


「すまない、起きてるか?」

返事はない、寝てるか?

…仕方ない、私の借りた部屋で寝かすか

そう考えた時だった

静かにゆっくりとドアが開く、僅かな隙間に脚を入れて閉じれないようにする


「なに?

今は、何時だと思ってるの?」

相棒のミリア・ハーネス、が出てきた

非難めいた視線を向けられる、声は不機嫌さを隠していない


「直に夜も明けてくる、それよりこの娘を頼む」

抱き上げたままの少女を見せる

「貴方、まさか!?」

いらん誤解を招いていそうだな

「…違う、森の中を歩いている最中に倒れてるのを見つけた

見つけた手前、放置も出来なかった」


怪訝な表情のまま、彼女は私から預かった

その時だった

「え?なに、この魔力は!?」

なぜか驚いた表情を浮かべる

「…どうした?」

「何でもない、この娘のことは任せてちょうだい

私に何も答えず、首を静かに横に振った

「…そうか、君に任せる

目を覚ましたら教えてくれ」

「はいはい、さっさと部屋に戻りなさいよ

いつまで、女の部屋の前にいるつもり?」


「…これは、失礼しました淑女レディ

それでは、私はこれにて」

恭しく一礼し、私は、少女を一瞥するとその場を去る事にした

まあ、彼女に任せておけば大丈夫だろう

私は、仮眠をとるか


「…魔力、か」

魔力自体は、誰しもが持っているモノだ

極稀に、魔力を持たないで生まれる人もいる

それをどうして?

……面倒事にならなければ、いいが

キャラが、二人も増えました

あと、突然の視点変更でございます

基本は、主人公視点です

たまに、別視点もやっていきたいと思います

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